最近、構築に手を出したせいか、以前より色々考える事が増えた。
加えてヤナギさん(いつもお世話になってます)からエキサイティングなサイト(http://mtgoversears.blog.jp/)を教えて頂いた事もそれに拍車をかけている。
しかしそれを外に出さないのでは曖昧な形のままぐるぐると頭を回るばかりなので、書きながら考えをまとめて整理できればと思っている。

さて。それでは構築に影響するプレイ経験について書いていこう。
まずはこのドラフトデッキを見て頂きたい。
テーロスドラフト

10《森/Forest(THS)》
3《山/Mountain(THS)》
2《島/Island(THS)》
2《未知の岸/Unknown Shores(THS)》

1《葉冠のドライアド/Leafcrown Dryad(THS)》
1《旅するサテュロス/Voyaging Satyr(THS)》
2《ケンタウルスの武芸者/Swordwise Centaur(BNG)》
1《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion(THS)》
1《ニクス生まれの狼/Nyxborn Wolf(BNG)》
1《ネシアンの狩猟者/Nessian Courser(THS)》
1《彼方の工作員/Agent of Horizons(THS)》
1《恭しき狩人/Reverent Hunter(THS)》
1《ナイレアの信奉者/Nylea’s Disciple(THS)》
1《パーフォロスの使者/Purphoros’s Emissary(THS)》
2《地平線のキマイラ/Horizon Chimera(THS)》
1《都市国家の破壊者/Polis Crusher(THS)》
1《ケイラメトラの侍祭/Karametra’s Acolyte(THS)》
1《ネシアンのアスプ/Nessian Asp(THS)》

1《ケイラメトラの好意/Karametra’s Favor(BNG)》
1《ナイレアの存在/Nylea’s Presence(THS)》
1《槌の一撃/Fall of the Hammer(BNG)》
1《ナイレアの弓/Bow of Nylea(THS)》
1《食餌の時間/Time to Feed(THS)》
1《職工の悲しみ/Artisan’s Sorrow(THS)》
1《落岩/Boulderfall(THS)》

おっと。見て頂きたい・・・から出てきたものが汚デッキ《落岩/Boulderfall(THS)》入り(ウンコーンも真っ青だ)だった事で、ブラウザバックするならどうか待って欲しい。
今回の話はまさに「どうして間違った(もしくは間違いと思える)方法を選択してしまうのか」と言う話だからだ。

まず、前提としてテーロスドラフトは初速こそ極端にハイスピードではないものの相手の脅威に対応する方法が乏しく、かつ殴り側が有利な事もあってすれ違いのダメージレースが行われやすい。
つまり序盤の土地のつまづきはそれが枚数的なものであっても、色的なものであっても行動回数に影響を受けた瞬間不利になり、押し切られやすい。
この事からデッキに安定性を求めるのならメインカラーに寄せた2色が望ましい。と言うような事は俺も理解している。

ではなぜ理解していながらもこのようなデッキをピックしてしまうのか。
考えられる要因は複数あるが

1.ピックした強カードをデッキに投入する事で対応できる幅を広げたい。
2.環境要因から比較的多色化パーツが入手しやすい。
3.単純に多色化したデッキやビッグ・スペルをプレイするのは楽しい。

と言うのが即座に思いつく。
理由1にはデッキの安定性を持ち出す事で反論可能で、理由2にはピック手番の浪費を持ち出す事で反論可能だが、理由3に反論するのは難しい。
なぜなら理由1と2が「このゲームに勝つ事」を目的としているのに対して理由3は「楽しいゲームをプレイする事」を目的としているからである。
言い換えれば理由1と2は結果を重視し、理由3は過程を重視しているので、反りが合わないのだ。

しかも時として理由3はそう意識させる事なくプレイヤーの意思決定に関与してしまう。
なぜなら人間には確証バイアス(自分の考えを正当化する情報だけを収集し、それ以外の情報を軽視する事)が働いているため、その決定が単に「楽しい・気持ち良い」からスタートした事であっても後付けで正当化されてしまうのだ。
上記例で言えば《落岩/Boulderfall(THS)》の8マナ(!)と言うマナコストは軽視され5点インスタント、かつケアされ難いと言う面が強調される事になる。

これだけだと、馬鹿じゃねぇの(嘲笑)と思うかも知れないが、例えばあなたは常に適切にサイドボード出来ているだろうか。
その《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》は本当に必要?
《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars(RTR)》は?

こう言った決定は恐らく厳密な確率計算の結果、と言うようなものより、自分の今までのプレイ経験や知識から決定されるであろう。
しかしその決定は確証バイアスの影響を受けている。

そしてサイドボードのみならず、実際のプレイやデッキ選択も確証バイアスは影響を与える。
今まであなたが練習してきたデッキが勝ち過ぎ、サイドボードに専用カードが取られる事が予想されるような状況でもそのデッキをあきらめきれず、つい使用してしまったと言う経験は誰しもあるしだろうし、勝つ時は圧倒的に勝つ事から実際の勝率以上にそのデッキを評価してしまう事もあるだろう。
これらはプレイ経験とそれから発生した確証バイアスによるものである。
ではこれを回避するには、どうすれば良いか。

ひとつは確証バイアスの存在自体を知る事であり、自分の意思決定の不確かさを知る事だ。
そしてふたつ目は数字を導入する事である。
例えば占術土地1キープから3t目に3枚目の土地がアンタップインでセット出来る確率とか、緑黒ドレッジで4t目の《夜の咆哮獣/Nighthowler(THS)》の平均サイズはいくつかと言った事や《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》と《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie(M14)》を4枚ずつ採用した場合、相手の《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa(DGM)》が5t目に着地するのは何%なのかと言った事を計算してみれば良い。
次に、そこから出された数字を持って人に相談してみる事である。
これは算出された数字自体が確証バイアスの影響で過小(もしくは過大)評価されるからであるが、計算してみる事や相談してみる事で頭がリセットされたり、考え直すきっかけになったりするだろう。
上記を持って今回の結論としたい。

いや、しかしデッキがバレて《弧状の稲妻/Arc Lightning(USG)》と《略奪/Pillage(ALL)》《なだれ乗り/Avalanche Riders(TSB)》が取られた後のトリニティ・グリーンの惨死っぷりは酷かった。
いっぱいマナを出して圧倒的な動きで相手を轢死する素敵デッキだったのだが。
その他デッキ選択については悲しい思い出が山ほどあるな。
デッキに未練を感じたら、既にそのデッキは死んでいると思った方が良いよ多分。
それを感じるだけの問題が持ち上がったと言う情報が既に入っているんだろうからね。

※蛇足

以下は蛇足だが、思うところがあったので。
数字はウソをつかないと言うが、結局のところそれが起こってみるまでは誰にも分からない。
以前にニコニコ生放送で彌永さんがメタゲームうんぬんと言っていたが、俺はその言葉を仮にその大会のデッキ分布が100%分かったとしても各対戦の組み合わせまでは知りようがなく、いわんや結果など分かるわけがないと言う意味に解釈して、そうだよなぁと思ったのだが、あの言葉の意味はどう言う事だったのか。
やや過激な「言い方」のせいだと思うが、俺の知るところではあまり意見交換が行われる事がなく残念に思った。
今回、考え方の寄る辺として数字の話が出てきて連想的に思い出したので書いておく。

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bun

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