読まない。もしくは読んだとしても意味や来歴は理解していない(結論)

と言っても他の環境要因とか本人の資質に関わるんだろうが。
何の話かって言うとドラフトの話。

現在、俺は先輩と同居してて、その先輩も4thからONSくらいまではMTGをプレイしていた。
若干トーナメント志向だったからGPTとかPTQには少しだけ参加していた様に思う。
つまり現代にあってもMTG英語は読めるわけで、そう言う意味ではドラフトする下地はあるのだ。
ここ最近では特に俺がドラフトする頻度も上がっているし、先輩も興味がないわけではないようで、PCの画面をのぞきこんで色々聞いてきたりする。
俺自身もRTRドラフトに苦手意識が強い事もあって、このカードをピックする理由と、そこから派生する展望を人に説明する事は自分の考えを明確にし、再考するきっかけともなるわけで、ありがたがっていたのだ。

これは昨日の事であるが、そんな先輩がドラフトをプレイしたいと言う。
いつもなら俺がドラフトをやるので出来ない相談だが、疲労困憊でドラフトどころではない俺は、ちょうど良いタイミングだろうと言う事で席を譲った。

俺はその後に即就寝。
今日、結果を聞いてみると1没、2没、1没だったとの事。
MO特有のクリックミスについては自分がコントロールするクリーチャーに打ち上げをプレイしたくらいで特にはなかったようだが、ピックにはかなり苦労したらしい。

まず第一にカードのテキストと絵が一致していない。
これはいちいちテキストを確認しなければならないので、ぱっと見てわかる場合と比較するとかなりのリソースを要する。
試しに慣れたフォーマットであっても英語名が書かれたテキストデータだけでシールドのデッキ構築をしてみると良い。
実際にカードを手に取ってマナカーブやスペルの強弱を見る場合と比べて時間がかかるはずだ。
第二にプールの全体像を把握していない。
これはカード同士の相互作用が分からない事に加えて、個々のカードで判断に迷った時に「この色だから」と言う思考ができない。
そして何よりコンバットトリックや除去の範囲が分からない。
これはピックのみならずプレイにも多大に影響してくるので、勝敗を分ける事になるだろう。
そうは言いつつ無事に(Submit忘れで81枚デッキになったりせずに)プレイする事はできたりと、今まで見ていた事が全くの無駄と言うわけではなかったようだ。

戦績を聞いた後、楽しめたか?と問うとこれにはNOが返ってきた。
先輩はわりとドラフトが好きだったはずなので、アレ?と思って話を聞くと
曰く

「強いプレイヤーに負けたのなら納得するが、そうは感じられなかったから」

らしい。
それを聞いてちょっと考えさせられた。
先輩がどうしてそのように感じたのか。先輩は特に変なカードをプレイされたわけでもなかったし、変なプレイをされたわけでもなかったらしい。
他人事として考えると、その場合には結果だけをみて自分より相手が強かったから負けた、もしくは自分が相手より弱ったから負けたと考えるのが普通であろう。納得できないところはない。

先輩もリアルならそんな事は感じなかったかも知れない。
リアルには「相手がプレイしたカード」以外にも相手を知る事の出来る情報が多く存在する。

表情
目線
仕草
体格
格好
雑談

etc・・・。

これらは直接的にゲームに関与するわけではないが、対戦相手が何者であるかを示す情報であり、いずれもMOには存在しない要素である。
誰だって対戦相手のシャッフルを見ただけで強そうだと感じたり、ゲーム中の雑談の中で対戦相手の知性を感じたりと言った事はあるだろう。

極端な話をするとリアルでの対戦相手は間違いなく『人間』であるが、MOにおける対戦相手は単に相手がプレイしてきた『カード』であり『結果』なのである。
画面の向こうには間違いなく人間がいると認識しつつも、しかしそれを補強する情報がMOには存在しない。
加えて、俺たちは『人間でない相手』に慣れ過ぎている。
ゲームのNPCはそのままの存在だし、何も言わずに物を売ってくれる自動販売機やほとんど何でも教えてくれる検索サイトなど、便利だと思う事はあってもお礼を言うなどと言う事はしない。
まぁ後半部分は突っ込みどころ満載、と言った感じだがMOがPCの向こう側にいる対戦相手を消臭し、無機的な存在に変えてしまうのは確かであると思うし、そう言った存在を多くの人が軽く扱っているというのも確かな事であろう。
自尊心あふれる人間のプレイヤーが、存在の軽いものに敗北を喫して心穏やかであるはずがないのだ。

思うに今のMOには圧倒的に臨場感や共感が足りないのである。
そしてそれは情報量不足に起因していて、MOが未だに(制度的にではなく)MTGとして見做されない事の一因であると思う。
だから俺はMOが好きだが、あまりMOを好ましくない、もしくはMOはMOであってMTGではないと感じるMTGプレイヤーも(ごく最近)理解できるようになった。

MOがMTGにより近づいていく事が(MOのPTQはリアルのPTQから騒音と悪臭を取り除いたものだ、と表現するプレイヤーがいる事から)最善の道であると言えるかは分からないが、まだまだ実装されるべき機能は多いと思う。
これからも発展していくであろうMOとMTGの前途が明るいものである事を祈って筆をおく事とする。

コメント

ヤジマ
2013年1月18日21:42

昔少しMTGをやった事がある知り合いにMOを紹介したところ
「こんな淡々とプレイするのは嫌だなぁw」という感想を頂きました。
知り合いもその先輩と同じような感覚だったんでしょうね。

bun
2013年1月18日22:36

俺がMO始めた動機が「いつでもドラフトができる」ってので魔法のツールや!と思ってましたけど、リアルMTGの楽しさは色々ありますしね。
先輩もそんな感じだったんですかね。

四日市
2013年1月19日7:44

逆にそういった情報が排除されるからこそ良いって人も居るはず。
表情から手札読まれて負けたり、それを防ぐために無表情の練習したりとかは嫌でしょう。

まあ、MOでも「相手勝てそうなのに長考してるってことは、手札ひどいんだろうな」とかありますけどね。

re-giant
2013年1月19日14:01

ちょっと違う話かもしれませんけど、初めて遊ぶ不慣れなドラフト環境は、一緒に始める仲間とわいわいやりたいですね。「これ強すぎない!?」とか「ちょっと待って、まだ読んでる」とか「なんかあんたが好きそうなカード入ってる」と言いつつ回したり。

通りすがりのゴブナイト
2013年1月19日15:05

まぁ、MOやり始めのころなんて操作ミスで戦闘フェイズスルーとか余裕ですからね。対戦相手の情報が希薄化されることに加えて自分の操作ミスがなければ、というのもありがち。勝ち確の場面をスルーして負けた経験はMOプレイヤーならきっとあるはず。
私は対人の方が基本的には好きなんですけどね。ブラフ三味線深めてゲームと。

dds666
2013年1月19日18:38

まぁ8-4の決勝で戦噛みの猟犬2体にやられた自分もいますのでねw

やっぱり対人戦のほうが好きですし面白いと思います。ブラフとかも含めて空気がね、やはり。

bun
2013年1月19日21:00

>四日市さん
確かにそう言うのあるよねー。リアルではポーカーフェイスって大事だけど、あんまりクローズアップされるのもね。
あと数少ないMOにしかない利点の話をすると「持ち時間制」ってのがあるよね。
リアルだと試合時間は共有のリソースだけど、MOではそうじゃない・・・わけじゃないか。
対戦相手が動作してる時間も考えたりできるもんね。
まぁリアルよりはフェアかな。

>re-giantさん
あー。そう言うのってリアルにしかないよね。
俺も高校生の時はそんな感じですげー楽しかったなぁ・・・。懐かしい。

>ゴブさん
いわゆる「MOの洗礼」的な負け方をするとどうにも納得をしろと言う方が無理な話ですよね。
遊戯王みたいにゲームから入りましたってプレイヤーなら大丈夫なんだろうけど、MTGに関しては先にMOとかDoPから入ったプレイヤーが果たしているのかと。

>三味線
俺はブラフはともかく三味線は(両者の線引きは難しいけど)かなり苦手だから、その点ではMO向きなのかな。
リアルでしかない楽しみも、もちろん分かりますけれど。

>ddsさん

>《戦噛みの猛犬/Warclamp Mastiff(M13)》
どんだけ賛美なんだwせめて《苛まれし魂/Tormented Soul(M13)》にしてくれとw
あ。《苛まれし魂/Tormented Soul(M13)》だったら普通にグッドデッキか。
やっぱり、リアルのが楽しい派は多いすな。
MOは便利なんですが、プレイしてて寂しいって状況が結構あるからインターフェイスの進化に期待!
まずはチャットの日本語対応。話はそれからだ。

四日市
2013年1月20日5:52

デッキ組む画面が見やすく、マナコストや色でソートできて、
対戦も、時間がかかって面倒なシャッフルが無かったりと、
デッキ組んでみたり、対戦しつつ調整する環境としてはとても良いと思いますねー。

bun
2013年1月20日10:13

おお。確かに。
MOに慣れてるとスリーブの出し入れとかカードの整理とか改めてした時に苦痛で仕方ないですし。
デジタルならではの良さですね。
bun

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索