俺がMTGを初めて間もない頃、俺のあだ名は「グッピー」だった。
今にして思えば、ものすごく直截的な命名だったと思う。
これは好意的に解釈すれば、俺が押しに弱くて知識も無い典型的なシャーク対象者であり、その事を自覚させようと言う周囲からの配慮だったのだろう。
しかし自分ではそれほどまでにグッピーであったと言う自覚はなく、記憶にある中で決定的にシャークされたと言えるのは《激動/Upheaval(ODY)》と《地震/Earthquake(M10)》を1対1トレードした事くらい。
その当時はまだ《サイカトグ/Psychatog(ODY)》《激動/Upheaval(ODY)》デッキや8マンと呼ばれた緑青の《激動/Upheaval(ODY)》スレッショルドデッキは原型もなく、俺は単に《激動/Upheaval(ODY)》を(あんなにも簡潔なテキストだと言うのに!)クソレアだと認識し、半ば欲しがる人に放り投げる感覚でトレードに及んだのだと思う。
もともと、MTGは好きだけどカードに対する執着は無い方で、大会終了後にうどんが喰いたいと言う理由で「うどん屋に行く権利」と《吸血の教示者/Vampiric Tutor(VIS)》をトレードした事もあるくらいで、いま思い出せばもったいないお化けに祟られたって全く文句の言えない人間なのである。
カードに対する執着の無さは、あの頃と同じくらいの水準を維持していると言う自覚もあり、トレードに対する興味も皆無と言って良いほどないが、それでも思い出深いエピソードがあり、今回のシャーク騒動を読み当時を思い出したので書いてみようと思う。
あれは、何年か前のFinals本選会場の出来事であったかと思う。
俺は慣れないスタンダードでジャンドをプレイしており、3t目《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》4t目《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》→《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》で即座に投了し
「投了早くないですか!?」
と対戦相手を若干驚かせていた。
あの頃の俺は(現在もだが)スタンダードと言う環境を良く理解しておらず、ドラフトばかりに興じていたために上記のような圧倒的なアドバンテージの取られ方をしつつ、なお勝負に勝てると思うのは間違っていると考えていたのだ。
だって2対5交換をした後で、かつライフは既に11である。
もう無理だ・・・と思うのも無理からぬところであろう。
その後、その対戦相手の方は心配のあまりかジャンドと言うデッキはどう言うデッキで、どのように動作するのかと言う事を本当に丁寧に解説して下さり、さらに教えをこうと適切なサイドボードを俺に教示して・・・と、これ以上続けると長くなるので詳細は省くが、成績は散々だったのだが、久しぶりにオンラインからリアルの大会に出てみたら、会場には気分の良い人がいて、MTGプレイヤーはやはり紳士だなと再確認したと思って頂ければ良い。
俺がトレードを申し込まれたのはそんな折である。
話を聞けば大会に遠征してきたのは良いが、財政事情が厳しい状況であり、本日の宿代にも苦慮しているのだと言う。
一体どのような計画を立てればそんな状態になるのだと言う疑問はいったん置いて、相手が提示してきたのは《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を1枚3500円で買ってくれないか、と言うもの。
俺はその当時スタンダードにも、当然レガシーにも疎い状況だったのだが、幸いにもお気に入りのDNでレガシーの資産が高騰していると言うのは知っており、状態にもよるのだろうが《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》が1枚3500円と言うのは当時にあっても安いと言って良いだろうと判断し、特段《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》が欲しかったわけではないが、当日の宿代にも困っているのだと言われて情に流されるようにして2枚購入した。
まぁこれだけなら安い買い物が出来て人助けにもなったね、と言うので終わる話なのだが、一緒に遠征した誰か(誰だったかは忘れた)に上記を話したらえらく怒られた。
まず、俺だったら絶対に買わないと言われ、なぜ買ったのかと手厳しく追求されて、相手がお金が無くて困っていたからと話したら、そんなのは関係ないと一蹴された気がする。
まぁ事の詳細はどうだったか忘れたが、とにかく俺が俺のお金を使って、買い物をしたのになぜこうも厳しく怒られるのかと思い、酷く気分が悪くなったのは覚えている。
この件で分かる事は
1.カードの価値は人それぞれで判断が異なると言う事。(まさか怒られるとは思わなかった)
2.売買は自己責任で行う事。(それを満たしても怒られる事はあるが)
3.情に流されると要らぬ出費をしやすくなると言う事。
4.将来のカードの値段は分からないと言う事。
5.痛い目を見た事は覚えていると言う事。
だろうか。
その当時に仮に3500円ではなくて、5000円で《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を買わないかと持ちかけられていたら、俺が買ったかどうかは定かではないが、現在では相当にお安い買い物ではあるだろう。
にも関わらず、同じ時間軸で生きていても持っている情報や将来に対する推測が違えば、それが安いと感じるか、高いと感じるかの違いは生じる。
価値判断に絶対はなく、個人でかなりの差があるのが見て取れる事象であろう。
それから自分の性格と支払い能力を良く考えるべきである。
情に流されやすい性格であるとか、頼まれると嫌と言えない性格であるならばその点に留意して取引を行う必要がある。
その取引に投じた金額が自分の財布から見て大きいのであればなおさらである。
人間誰だって100円や200円では許せても10万、20万では許せないと言う事はある。
後は痛い目を見ればそれは覚えていると言う事か。
(誰かは忘れたので上述と矛盾するが)まさか自分の財布で買い物をして《叱責/Rebuke(ISD)》されるとは夢にも思わなかった。
今後同様の事が起こらないとも限らないので、俺は他人からカードを買わないし(botからは買うが)買ったとしても誰にも言わないだろう。
あんな不愉快な思いはもう2度としたくない。
結局、トレードは双方が納得すれば問題がないが、情に流されやすい人は確実に損をしやすいのが対人トレードと言うものだと思うし、双方が納得した結果であっても、それを外から観察した人間の理解まで得られるとは限らないと言う事だ。
シャークorシャークではないの論争は、つまるところ価値判断の違いにあるので、決着は両者が納得したところにしかないし、一度成立した取引を後から不当だったと騒ぎ立てる事は無意味だと俺は考える。
因みに購入した《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》2枚だがFinalsから帰ってきたら無くなっていた。
購入後にろせさんと資産を共有していたので渡そうと思っていたのだが、いつの間にか入れておいたはずのデッキケースの中から姿を消していた。
だからこのエントリは俺が安い買い物できたぜ!やった!と言う要素は微塵もない。
しかも上述のようにカードに執着がないからまた繰り返すだろう。
全く、困った事だ。
今もこの部屋のどこかに今ではほとんど1万円札のようになった《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》が眠っているのだろうか・・・。
出来れば再録される前に無事に見つかって欲しいと思っている。
今にして思えば、ものすごく直截的な命名だったと思う。
これは好意的に解釈すれば、俺が押しに弱くて知識も無い典型的なシャーク対象者であり、その事を自覚させようと言う周囲からの配慮だったのだろう。
しかし自分ではそれほどまでにグッピーであったと言う自覚はなく、記憶にある中で決定的にシャークされたと言えるのは《激動/Upheaval(ODY)》と《地震/Earthquake(M10)》を1対1トレードした事くらい。
その当時はまだ《サイカトグ/Psychatog(ODY)》《激動/Upheaval(ODY)》デッキや8マンと呼ばれた緑青の《激動/Upheaval(ODY)》スレッショルドデッキは原型もなく、俺は単に《激動/Upheaval(ODY)》を(あんなにも簡潔なテキストだと言うのに!)クソレアだと認識し、半ば欲しがる人に放り投げる感覚でトレードに及んだのだと思う。
もともと、MTGは好きだけどカードに対する執着は無い方で、大会終了後にうどんが喰いたいと言う理由で「うどん屋に行く権利」と《吸血の教示者/Vampiric Tutor(VIS)》をトレードした事もあるくらいで、いま思い出せばもったいないお化けに祟られたって全く文句の言えない人間なのである。
カードに対する執着の無さは、あの頃と同じくらいの水準を維持していると言う自覚もあり、トレードに対する興味も皆無と言って良いほどないが、それでも思い出深いエピソードがあり、今回のシャーク騒動を読み当時を思い出したので書いてみようと思う。
あれは、何年か前のFinals本選会場の出来事であったかと思う。
俺は慣れないスタンダードでジャンドをプレイしており、3t目《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》4t目《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》→《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》で即座に投了し
「投了早くないですか!?」
と対戦相手を若干驚かせていた。
あの頃の俺は(現在もだが)スタンダードと言う環境を良く理解しておらず、ドラフトばかりに興じていたために上記のような圧倒的なアドバンテージの取られ方をしつつ、なお勝負に勝てると思うのは間違っていると考えていたのだ。
だって2対5交換をした後で、かつライフは既に11である。
もう無理だ・・・と思うのも無理からぬところであろう。
その後、その対戦相手の方は心配のあまりかジャンドと言うデッキはどう言うデッキで、どのように動作するのかと言う事を本当に丁寧に解説して下さり、さらに教えをこうと適切なサイドボードを俺に教示して・・・と、これ以上続けると長くなるので詳細は省くが、成績は散々だったのだが、久しぶりにオンラインからリアルの大会に出てみたら、会場には気分の良い人がいて、MTGプレイヤーはやはり紳士だなと再確認したと思って頂ければ良い。
俺がトレードを申し込まれたのはそんな折である。
話を聞けば大会に遠征してきたのは良いが、財政事情が厳しい状況であり、本日の宿代にも苦慮しているのだと言う。
一体どのような計画を立てればそんな状態になるのだと言う疑問はいったん置いて、相手が提示してきたのは《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を1枚3500円で買ってくれないか、と言うもの。
俺はその当時スタンダードにも、当然レガシーにも疎い状況だったのだが、幸いにもお気に入りのDNでレガシーの資産が高騰していると言うのは知っており、状態にもよるのだろうが《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》が1枚3500円と言うのは当時にあっても安いと言って良いだろうと判断し、特段《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》が欲しかったわけではないが、当日の宿代にも困っているのだと言われて情に流されるようにして2枚購入した。
まぁこれだけなら安い買い物が出来て人助けにもなったね、と言うので終わる話なのだが、一緒に遠征した誰か(誰だったかは忘れた)に上記を話したらえらく怒られた。
まず、俺だったら絶対に買わないと言われ、なぜ買ったのかと手厳しく追求されて、相手がお金が無くて困っていたからと話したら、そんなのは関係ないと一蹴された気がする。
まぁ事の詳細はどうだったか忘れたが、とにかく俺が俺のお金を使って、買い物をしたのになぜこうも厳しく怒られるのかと思い、酷く気分が悪くなったのは覚えている。
この件で分かる事は
1.カードの価値は人それぞれで判断が異なると言う事。(まさか怒られるとは思わなかった)
2.売買は自己責任で行う事。(それを満たしても怒られる事はあるが)
3.情に流されると要らぬ出費をしやすくなると言う事。
4.将来のカードの値段は分からないと言う事。
5.痛い目を見た事は覚えていると言う事。
だろうか。
その当時に仮に3500円ではなくて、5000円で《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を買わないかと持ちかけられていたら、俺が買ったかどうかは定かではないが、現在では相当にお安い買い物ではあるだろう。
にも関わらず、同じ時間軸で生きていても持っている情報や将来に対する推測が違えば、それが安いと感じるか、高いと感じるかの違いは生じる。
価値判断に絶対はなく、個人でかなりの差があるのが見て取れる事象であろう。
それから自分の性格と支払い能力を良く考えるべきである。
情に流されやすい性格であるとか、頼まれると嫌と言えない性格であるならばその点に留意して取引を行う必要がある。
その取引に投じた金額が自分の財布から見て大きいのであればなおさらである。
人間誰だって100円や200円では許せても10万、20万では許せないと言う事はある。
後は痛い目を見ればそれは覚えていると言う事か。
(誰かは忘れたので上述と矛盾するが)まさか自分の財布で買い物をして《叱責/Rebuke(ISD)》されるとは夢にも思わなかった。
今後同様の事が起こらないとも限らないので、俺は他人からカードを買わないし(botからは買うが)買ったとしても誰にも言わないだろう。
あんな不愉快な思いはもう2度としたくない。
結局、トレードは双方が納得すれば問題がないが、情に流されやすい人は確実に損をしやすいのが対人トレードと言うものだと思うし、双方が納得した結果であっても、それを外から観察した人間の理解まで得られるとは限らないと言う事だ。
シャークorシャークではないの論争は、つまるところ価値判断の違いにあるので、決着は両者が納得したところにしかないし、一度成立した取引を後から不当だったと騒ぎ立てる事は無意味だと俺は考える。
因みに購入した《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》2枚だがFinalsから帰ってきたら無くなっていた。
購入後にろせさんと資産を共有していたので渡そうと思っていたのだが、いつの間にか入れておいたはずのデッキケースの中から姿を消していた。
だからこのエントリは俺が安い買い物できたぜ!やった!と言う要素は微塵もない。
しかも上述のようにカードに執着がないからまた繰り返すだろう。
全く、困った事だ。
今もこの部屋のどこかに今ではほとんど1万円札のようになった《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》が眠っているのだろうか・・・。
出来れば再録される前に無事に見つかって欲しいと思っている。
コメント
オンライン、リアル問わずに基本そうですよね。
逆に相手が不要なものでトレードを成立させられるのって、一種の技術だと思います。
近いところだと保険の勧誘みたいなもん・・・ですかね?
あれも将来的な事はどうなるか分からない部分を情で契約させている側面もありますし。
俺は要・不要を割り切れずに頼まれると嫌だと言えないタイプなので、話の持って行かれ方によっては簡単にシャークされそうですw
…跡形も無くなっていたってことは、相手がタヌキで葉っぱで出来ていたのかも知れないw
確かに会場では金銭トレード禁止だっと思うので、会場から出て裏取引してました。
>タヌキ
葉っぱの《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》ですかw
ちょうど緑だし、タヌキなら仕方ないですね。可愛いしw
ただ単に3500円は高いから買うな、という調子だとするとちょっとよく意味がわからないですねえ。
まったく論外な話(甲鱗⇔バッパラみたいな)なわけでもないんですし、
納得ずくの取引であればなぜそこでそこまで言われたんでしょうね。。。
そして見つかるといいですね。。。
個人的にはお互いが納得する指標で取引したのであれば脇から言う筋合いなんてないと思いますけどね。
自分だったらこのくらいで出してただろうからもったいなかったね、くらいのことはあるにせよ。
そうですよねぇ。あの時はいきなり怒られたと言う印象が強くって感情的になってしまい、なんでそんなに怒るのかと言う詳細を聞くまでには至りませんでした。
値段の問題ではないとすると、俺の「頼まれたから買った」と言う受身の姿勢が気に入らなかった・・・のかな。それでもほっとけよと言う範疇だし、何より俺はこの時《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を安く買えたと思って喜んでましたから、まぁ理由の方はさっぱりです。
その人がこのコメントを読んでいるかどうか分かりませんが、もしも読んでいて、それで何の反論も無かったなら、この推測が正しい証拠になるでしょう。
bunさんには信じられないかもしれませんが、この世の中には生まれながらのクズが何人もいます。
カード・ゲームをやっている者の中には特に多いと思います。
友達は選んだ方がいいですよ。
俺は性善説を信じていて、同時に自分には他人を正確に判断する能力が欠如している事は自覚しています。
逆説的にだから性善説を信じているのだとも言えますが。
他人の良し悪しが判断出来ないなら、全員を良い人だと判断して、裏切られた時の心構えだけしておく方が効率的ですからね。
あえて厳しい言葉を選んで頂いたお陰で、仰りたい事がストレートに伝わってきました。
気にかけて下さった事に感謝を。