MTGはコミュニケーション・ゲームである。

デッキそれぞれに方向性、プレイヤーはそれぞれに嗜好が異なるだろうが、それらの好みを突き詰めていけば、結局は自分はどのような人間であるのか、もしくはどのような人間が嫌いであるのかを表す事になると俺は考える。

と言う事で、俺は好きなデッキとかそう言うのじゃなくて、どんな人間を好むのか、もしくはどんな人間に嫌悪を感じるのかを書いていこうと思う。

好きな事について記述するのはともかくとして、嫌いな人間、もしくは人間の行為に言及するのは非常に心理的障壁が高い。
自分がどのような事に好意を感じるのかを周囲に表明するのは自己と他者の共感につながるが、その逆の行為は自身が所属するコミュニティ内に軋轢を生じさせかねず、かつ直接的に利害関係を持たない人間からも反発を受けやすい。

さらに何らかの対象について、嫌悪感を感じるのは、自身の処理能力が不足しているからである。
もしもその固体が環境それ自体に対して、それを変化させる能力を持っているなら、嫌悪感など生じ得ない。
何らかの問題に対して、それを解決する事が出来ないからこそ、その発露として嫌悪感を感じるのである。
つまり、何かについての嫌悪を表明する事は、自分の性質を他者に伝えるだけに止まらず、自身の能力の限界についても明かしている事と同じ事である。
だから、固体としてコミュニティのなかで生存するにあたり、自身が何に嫌悪を感じるのかを言及するのは、不利にしかならないのである。

なので、本来は隠しておきたい己の性質について言及するにあたり、今回はアルコールの力を借りた。
わざわざそこまでしなくても・・・と思われる方もいらっしゃると思うが、人間には自分を表現したい、理解されたいと言う願望がある。
例え、生存に不利な状況を生むと本能が理解しても、理性が理解しても、この願望が消えてなくなる事はない。
通常は理性によって、外に表出させるべき感情ではないとして内部で処理されているだけなのだ。

この消える事のない願望を今日はここに記述する事にする。

とは言え、まずは書きやすい内容であるところの俺が好むプレイヤーの事から書いていこうか。

俺はその育成環境から頭の良いプレイヤーが好きである。
俺の父、もしくは兄がそうだったからである。
が、頭が良いと一口に言っても様々なタイプが存在するであろう。
俺は雑多な「頭の良い人間」の中で特に物事を順序だてて理路整然と美しく説明する事が出来るプレイヤーが好きである。

単にMTGのプレイが上手く、結果的に勝率が良い人間よりも、俺はMTGの実際のゲームをそれぞれの概念を織り込みつつ、複雑怪奇に根を張った分岐の網の中から、なぜ自分がその道を選択するかに至ったのかを説明出来るプレイヤーの方が俺の中では断然価値が高く、そのプレイヤーの話を聞くのは至上である。

多くの場合は新たな発見を伴い、MTGと言うゲームを解体し、その新しい切り口を細微に見せてくれる。言語の外科医だ。

リアルの知り合いの中でこのタイプのプレイヤーはほとんどいない。
と言うより、リアルと言うインターフェイス自身がこのような記述にむいていないのではないかと思わされる。
リアルでは理論よりも人間の常として、感情が優先される場合が多く、日夜多くの議論を破綻させているのだ。

だから、俺はこのタイプのプレイヤーとは擬似的にしかあった事がない。
つまり、rainさん、高潮のさん、ペンティーノさんの翻訳されるエントリの中に彼らはいて、俺を魅了するのだ。

和訳でない文章、とさらに選択を絞っていくとarthfingさんの文章がそれにあたる。
特にラヴニカ限定構築についてのエントリ群は素晴らしい出来栄えで、俺は何度も読み返した。

さらに続けるならばだらだらMTGも秀逸である。
まつがんさんは俺がリアルで唯一あった事のあるこのタイプのプレイヤーであり、ヰチさんとの会話は聞いていて気持ちが良く、頭の良いプレイヤー同士の会話はやはり良いものだったと思わされた。

このペースで進むと、嫌いなプレイヤーに到達するのにずいぶんと時間がかかってしまいそうだが、先に進もう。

俺は議論を感情優先ではなく、数字を使ってする事が出来るプレイヤーが好きである。
人間の感情は経験の集積の結果であり、その精度が極端に低いとは言わない。
むしろ直感的に理解する事の方が人間の脳の構造的に考えれば、正しい事を言っている事の方が多いのだってことも大いにあるだろう。

しかし残念ながら感情から得られた結論は、他者に伝達しようとすると、当然自分の中では常識になっているところから説明しなければならず、普通のプレイヤーはお互いが常識を共有しあっていると錯覚しているため、話は食い違い、お互いが理解したと思っていてもやはり両者の理解には開きがある。
この差を埋めてくれるのが数字である。
1は誰が見ても1であり、1+1は誰が結論付けても2であるからだ。
数字は議論に必要な共通の土俵を用意してくれるのだ。
だから、議論を有意義にしようと考えるプレイヤーは良く数字を使う。
数字は状況を解体し、変形させてより理解しやすい形に変えてくれる。
だから俺は数字を使って話をするプレイヤーが好きなのだ。

それから、今までの話と全く違うが、俺は前向きなプレイヤーが好きだ。
彼らは常に目標を持っている。
最近で身近なところだとkukekeさんが該当するだろうか。
日本選手権でブレイクして以来、その闊達な行動力を駆使して1歩1歩高みへと昇って行く様に見える。
確固とした意志、具体的な目標、それに伴う行動力。
いずれも素晴らしい。例えるなら太陽の如きプレイヤーである。

対を成すのは悩みつつも目標に向かうDPSさんの月の如きプレイヤーが好きである。
DPSさんは良く弱音を吐き、弱みを見せるが、どう言う形にせよ挑戦する。
そしてそれが失敗し、挫折したとしてもDPSさんはまた挑戦する。
恐らくは苦しそうに弱音を吐きながら。

恐らく、俺はもうちょっとだけ若い頃の自分とDPSさんを重ねて見ているのだろう。どこかしら共感するところがあるから好きなのだと思う。

さて。これで理論面とメンタル面で好きなプレイヤーについては言及した。
次は好きなコミュニティについてだ。
FB岐阜を中心としたコミュニティはGさんを筆頭にとにかくテンションが高く、高いながらも良く考えられた言葉運びを聞いているのは気分が良い。
話術が巧みであるのは良い事である。
Gさんの言い回しを良いなぁと思いつつ、俺の能力では上手く再現する事が出来ないのが歯がゆいところである。

それからもーふさんを中心とした三重のコミュニティはゆったりとした優しげな空気を持っていて、これまた居心地が良い。

岐阜を激しいコミュニティと表現するなら、三重は優しいコミュニティである。

と。まだまだ俺の好きなプレイヤーの話は終わりを迎えないのであるが、このまま続けていくとどこまでも続いて行ってしまうので、強制的に打ち切って、今度は遺憾ながら嫌いなプレイヤーの話をしていこうか。

俺は説明が下手なプレイヤーが嫌いだ。

その多くは議論を感情的に行い、ある一点だけに固執する。
既に議論の通り道として、その点を妥協したとしても拘るか、その地点が終わると議論自体も終了してしまう。
恐らくはその決死防衛地点を防衛しきった瞬間に今まで費やしてきたリソースが巨大すぎて戦闘継続不可能な状況に追い込まれてしまうのだろう。

もしくはDN上でも時々見られる、単に「強い」「弱い」と言った情報量が極端に少ないコメントが嫌いだ。

冒頭で述べたようにこれは俺の処理能力の問題だ。
有能な人物ならこの程度のコメントでも、エントリの趣旨とコメントを結びつけ、何らかの結論を導く出すだろう。
しかし、俺にはそれが出来ない。
単に「強い」「弱い」と書かれたそれには「なぜそれが強いのか、もしくは弱いのか」と言った重要な情報が抜け落ちていて、能力の足らない俺にはそれが見えてこない。
人間は何か理解出来ないものをそのままにする事が出来ない。
高次のものとして扱うか、あるいはゴミのように無視するか、大きく分けるとその2択であろう。
もし、もうちょっとでも情報が与えられるなら。有意義になったかも知れない情報であるのに。
何かについて、理解する事が出来ないと言う事は俺にとっては苦痛でしかない。
しかもそれが俺の好きなMTGの話題であるならなおさらの事である。
全く許せない。類推を否定するほど短い文言で結論だけを述べるプレイヤーは根絶されてしまえば良い。

さらにMTGと言う数字で語られるべきゲームにおいて、多数決で答えを決定すると言う方法を俺は嫌悪する。
世界の100万人が1+1を3だと言ったって、依然として1+1が2である事に間違いはないのである。
中世の天文学者であったガリレオガリレイは

「それでも地球は動く」

と言った。
圧倒的マイノリティが事実を語ったのだ。

以上から多数決で得られた結論は正しいのだとする言説を俺は信頼する事が出来ない。
MTGプレイヤーであるなら、もっと別の方法でアプローチするべきである。

さらに俺は「~について考察する」と書かれたエントリに感想程度の事しか書かれていない事が嫌いだ。
考察とは「事実から、物事を明らかにするために深く考える」と言う意味である。
と言う事は実際に試してみて、その結果を分解してどの理論ならその結果が説明出来るのか、またその説明した結果から何が見えてくるのか。
見えてきた事から発展させるとしたらどのような理由でどう言う方法で発展させていくのかまでは書くべきである。

別に俺は何かについての感想を書く事を否定しているわけではない。
感想適度の事しか書かず、どの事象がどのように説明出来るのかも書かず、将来の展望にも触れていないのに「考察」を名乗る事が許せないのである。

と言うわけで、ずいぶんと抽象的な内容になってしまったし、まだまだ書き足りないのだが、そろそろアルコールが切れてきて、今度は頭痛や吐き気と戦う時間が来てしまったようだ。

と言うわけでタイム・オーバー。

残念ながら、エントリはここまでである。
本当ならもっと好きなプレイヤーについてや、許す事の出来ない行為について延々と書き連ねていきたかった。
だが、それで制限時間が延長されるわけではない。
俺と言う人間の今日と言う1日はこれで終わらざるを得ない。

分かりにくい内容かつ、分かりにくい文章であった事を最後にお詫びしつつ筆を置く事とする。

コメント

いく
2012年5月22日21:36

すばらしい!

JAL
2012年5月22日21:52

感情を表に出すことは悪くないですよ!好きなプレイヤーの話はガンガン書いていいと思います\(^o^)/

ペンティーノ
2012年5月22日22:01

自分の翻訳は人様の言葉を借りてるだけだからなぁ。むしろbunさんの日記読んでると自分の考えの浅さと人に読ませるために順序立てて説明することの下手さを思い知らされるのだが。

だらだらMTGの読み物としての面白さはガチ

rain
2012年5月22日22:51

「考察」と書いておきながら感想程度~、情報量が極端に少ない~、にとても共感します。
ですので翻訳する時は、文章が堅くなろうが読みづらくなろうが情報量を減らさないことを最重要視しています。
意訳しながら要点だけを繋げた方が読む方も読みやすいでしょうし、訳す方も書きやすいんですけどね。
なので、情報量を減らさずに読みやすい訳文を掛ける人って本当に凄いと思います。

私の翻訳エントリの中にいる彼らは、彼らの書いた文章を読むだけで「マジックの一部分が理解できた、マジックが上手くなった」と思わせてくれる、とてもsmartなプレイヤー達ですよね。

レオの飼い主@大佐☆
2012年5月23日0:13

いろいろ刺さって辛いです…

bun
2012年5月23日6:25

おはようございます。二日酔いで頭が痛いです・・・。
俺も一晩経過したので読み返してみたんですが、嫌いなプレイヤーの項は

×右手だけで負けた
○オナニーする方の手に負けた

などと、表現方法で対戦相手に与える印象が随分変わるので楽しくやりましょう的な内容にするつもりだったのに、どうしてこうなった・・・。
でも言いたかった内容ではあるので、これはこれで良しかと思います。

>いくさん
ありがとうございます。
エントリの内容が両極端で、どこら辺を褒めていただいているのかちょっとわかりかねますがw

>JALさん
そうだよね。
《毒吐き小栗/Spitting Oguri(MTG)》はしばらく隠居させるにしてもポジティブ方向の話は継続的に書いていくつもりだよ。

>ペンさん
俺はペンさんの和訳は面白いし、読みやすいと思うけど。
訳者のお仕事って、

訳す記事を選択する
記事の趣旨を違えずに翻訳する
元の文章の構成がどうであれ読者が読みやすくするetc...

と言う感じで色々あると思うし、どれかが失敗しても良い記事にはならないと思うからすごいと思うのだけどね。他人様から言葉を借りてきていたとしても、それをつなげて文章にして、エントリが完成すれば、それはもうペンティーノさんの作ったものだと思うよ。

だらだらMTGの面白さはガチ

>rainさん

>情報量を減らさずに読みやすい訳文を掛ける人って本当に凄いと思います。
これは俺も本当に思います。
とは言っても俺は英文をあまり読めないので、日本語のコメントを返す時に、短いんだけど必要な部分はまとめて入ってるってのを見ると気分が良くなります。

>彼らの書いた文章を読むだけで「マジックの一部分が理解できた、マジックが上手くなった」と思わせてくれる
これもすごくあります。なんと言うか感動しますよね!もう大好き。

>クロシマさん
刺さってしまったのか!
どの部分が刺さってしまったのか不明だが、大丈夫だ。こんなアルコールインしてお前の頭は大丈夫か状態の奴が言っている事だから、ふーん・・・。で済ませてしまえば良いんだよ。

nophoto
わーむうんこちんちん
2012年5月23日13:57

>もしくはDN上でも時々見られる、単に「強い」「弱い」と言った情報量が極端に少ないコメントが嫌いだ。

○さ○な○さんとかですかね。

確かにあの人はlistenerさんがなぜあんなに持ち上げるかさっぱりわからないですね。

傍から見ればとりあえず短いコメントや茶化したコメントでぼろが出ないようにしてるとしか思えないです。



…こんな事bunさんの日記に書く事じゃなかったですね
すいません失礼しました(/_)

bun
2012年5月23日17:46

隠してない!それは隠してないよ!

確かにこんなエントリを書けば「いつか誰かが俺を倒すだろう」とかそんな感じでいつかこんなコメントが来るかと思っていたけど、来てしまったか・・・。
むしろ見る人によっては、待っていたのにそれ系のコメントが来ないから、小栗さん自作自演しちゃったんじゃないの?お疲レーションと思われても仕方がない展開とも言える。

俺としてはアルコールインして書いたよ、とわざわざ緩衝地帯を作って書いたのだから許しておくれ・・・と思わなくもないが、これにはきちんと対応せねばと思う。
取り合えず、第一印象は打ち難い球投げやがってと言うところか。
そして、調和と平和からなり、無償の生産物を共有しようと言うDN社会において、不要な火種を振りまいた俺と君は平和と人道に対する罪を犯した事からA級戦犯であると言える。自覚と覚悟はあるな。俺は出来てる。

正直に告白すれば、うさぎなべさんのコメントは、君の言う通り俺が嫌うタイプに属する。
が、これをもってうさぎなべさんの行動、人格を否定する事はしない。
単に俺が俺の能力不足から、意図を汲み取る事が出来ずに嫌悪感を感じているだけだからだ。これはエントリにも書いた。

それからlistenerさんとの関係についてだが、俺が言及する事ではないし、両者の関係は良好そうであるからそれで良いのではないかと思うよ。

何かのエントリにコメントすると言う事は、それなりのエネルギーと意志がないと出来ない事だと俺は考えるので、スルーするのが大人の対応だろうと思うところをそれに応えるためにあえて反応させてもらった。

今はこのコメントにもある通りに、やはり批判的な内容を含むエントリは穏便でないものを生み出すのだと言う反省を胸中に残すのみだ。

今後、批判的な内容を含むエントリを再び書く際にはこの経験と反省を生かしたいと思う。

nophoto
上の者ですが
2012年5月23日19:52

まじめか!!

いや、あの、色々とごめんなさい

ちょっと鬱憤晴らすのに利用してしまいました申し訳ないm(__)m

bun
2012年5月23日20:15

うぬぬ。俺には冗談があまり通じないのだ。真面目なんだ。
だが、既に済んでしまった事であるし、今回の件で学べた事も多々ある。
その点では感謝である。

本来なら、波風が立たない様に関連コメントを全て削除するべきなのだろうが、俺の所業の痕跡として、反省と共に残す事にする。

あなたも既に反省して俺に謝っているのだから、これで終わりにしよう。

うさぎなべさんが傷付いてどうしようもないって事もあるかも知れないが、そん時はまた方法を考えようね。俺も考える。

灰色熊
2012年5月24日5:00

「好きなプレイヤー・嫌いなDN」っていう内容では……。
いや、耳が痛いw

bun
2012年5月24日8:16

いやいやいや。
嫌いの部分には当然リアルも含みますし。
お耳に痛い部分がありましたら何卒スルーしてやって下さいませm(_ _)m
bun

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