リクエストを頂いたので、NNNドラフトについて書いてみる。

人に頼まれて物を書くなんて、恐らくは人生初の出来事だ。素直に嬉しい。
これは僕自身が今までを振り返り、考えをまとめるきっかけにもなった。
機会をくれた方には感謝を。

感染を目指すべきか

まず、NNNドラフトをする際に気になるのは、感染デッキをドラフトするか、それともしないのかと言う点だろう。

結論から先に述べると感染を目指すべきではない。

NPHで用意された感染持ち生物は軒並み攻撃的な性格のもので、この事は、序盤に感染を目指した場合、そこから方向転換して別のデッキを目指すと言うのが非常に困難である事を示している。

例えばMMMにおいて、感染から恐竜への方向転換が可能だったのは、防御性能の高い《荒廃後家蜘蛛/Blightwidow(MBS)》や、防御に用いた時にアドバンテージカードになり得る《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》がいたからだ。
MSSドラフトにおいても同様で、単にブロッカーとしての性能が期待できる《荒廃のマンバ/Blight Mamba(SOM)》や感染持ちが回収できる《死体の野犬/Corpse Cur(SOM)》の存在によって、純度が低い感染デッキでもコントロールデッキのように振舞う事で、対戦相手を打ち負かす事が出来た。
NPHで融通が利くのは《病毒のドレイク/Viral Drake(NPH)》ブロッカーとして期待できるのが《シェオルドレッドの刈り取るもの/Reaper of Sheoldred(NPH)》くらい。
ハンデスと言う意味で《囁く死霊/Whispering Specter(NPH)》がコントロールデッキに入り得るがいずれもアンコモンである。

5色に感染クリーチャーが散ってしまっている事、コモンに装備品が存在しない事も理由としてあげる事が出来る。
NPHはコモンの生物の性能と比較してスペルが強いと言うのも感染を目指さない理由だ。
感染を目指す場合は、椅子取り合戦に参加しなければならないため、必然的に感染生物からピックする事になる。
その間、《電位の負荷/Volt Charge(NPH)》や《不気味な苦悩/Grim Affliction(NPH)》《血吸いの噛み付き/Leeching Bite(NPH)》《強制された崇拝/Forced Worship(NPH)》と言った強力カードを諦めなければならない。
そして、それらは感染デッキを使用する貴方にとって、大きな脅威となるのだ。
普段は強力に使える《縫合の僧侶/Suture Priest(NPH)》《グリッサの嘲笑/Glissa’s Scorn(NPH)》《ゲスの評決/Geth’s Verdict(NPH)》《蒸気の絡みつき/Vapor Snag(NPH)》《心理の障壁/Psychic Barrier(NPH)》と言ったおまけで1点ルーズが付いてくるスペルが強力に使えないと言うのもマイナスだ。

ただ、人気がない戦略と言うのはそれだけで一定の価値があるので、1-5(卓の上半分がピックを終え、傾向がより明確になる)の段階で複数の《荒廃の工作員/Blighted Agent(NPH)》や《金切り声の猛禽/Shriek Raptor(NPH)》が確保できる目処が立っているなら、《電位の負荷/Volt Charge(NPH)》や《まばゆい魂喰い/Blinding Souleater(NPH)》からピックをスタートし《荒廃の工作員/Blighted Agent(NPH)》や《剃刀の豚/Razor Swine(NPH)》が入った青赤や《まばゆい魂喰い/Blinding Souleater(NPH)》《強制された崇拝/Forced Worship(NPH)》で地上を固めて《荒廃の工作員/Blighted Agent(NPH)》《金切り声の猛禽/Shriek Raptor(NPH)》で勝利する感染デッキを組み上げる事は可能だろう。

だから、結論として最初から感染を目指すのではなく、あくまで「安くピック出来る勝利手段」として捉えるのが良いだろう。

逆に、非感染をドラフトした場合はどうかと言うと、φマナを含んだカードが実質、無色の様に扱えるのでピック、構築共に非常に楽になる。
例えば《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite(NPH)》を初手でピックして、それ以降上家が白をピックしている事に気が付いたとしても、白をセカンドカラーに落して他の色をピックし、空いた隙間にφマナカードを放り込む事で、デッキを完成させる事が出来る。
同様に序盤に方向を決めかねた時には《とどろくタナドン/Thundering Tanadon(NPH)》や《磁器の軍団兵/Porcelain Legionnaire(NPH)》《髄掘り/Pith Driller(NPH)》をピックする事で取るべき色を保留する事が出来る。

まぁ後者を選択すると途中から感染を選択する事が困難になるが《髄掘り/Pith Driller(NPH)》ならば除去兼ブロッカーとして使用できるし、1-5頃から参入ならば間に合う事もあるだろう。

ビートかコントロールか

これは個人の好みによるところが大きいように思うが、僕は青系のコントロールを好んで組む。
特に今回はφカードのお陰で青緑のような普通では除去が入手困難なカラーでも除去をピックする事が出来るのと、理不尽な神話レアに低コストで対応する事が出来る《心理の障壁/Psychic Barrier(NPH)》の存在は大きい。
青にはコモンで唯一複数ドローが可能な《突き刺しモズ/Impaler Shrike(NPH)》やインスタントでプレイできる《尖塔の監視者/Spire Monitor(NPH)》など魅力的なカードが多い。
《グレムリン地雷/Gremlin Mine(NPH)》や《強制された崇拝/Forced Worship(NPH)》《血吸いの噛み付き/Leeching Bite(NPH)》《電位の負荷/Volt Charge(NPH)》《不気味な苦悩/Grim Affliction(NPH)》《ゲスの評決/Geth’s Verdict(NPH)》など低コストで使用可能な除去も揃っているし《清純のタリスマン/Pristine Talisman(NPH)》の存在もコントロールデッキを後押しする。

しかし最大の理由は《髄掘り/Pith Driller(NPH)》の存在である。

この2/4と言うボディとCip能力はほとんど暴力的ですらあり、NNNドラフトがマネー・ピックされやすい環境と言うのも手伝って、複数枚入手できる可能性がある上に、どの色でも使えるφカードである。
それを考えると環境的にはコントロールが優勢なのかと考えるが、真に防御的な《強制された崇拝/Forced Worship(NPH)》以外はビートデッキでも使用できるのと、そもそもφマナと言うシステムが「相手のライフを先にゼロにする」事を目的とするビートに有利に作用している事は間違いない。
でも「上陸」メカニズムが存在したZEN×3ほどは、ビート環境でないのは確かだ。

先手か後手か

これは自分のデッキがコントロールか、そうでないかに関わらず、Game1は先手を選択するべきだ。
これはφマナの存在がやはり大きいのとMSSやMMMで後手を選択する事が可能だったのは、《危険なマイア/Perilous Myr(SOM)》《眼魔/Oculus(MBS)》《絡み線の壁/Wall of Tanglecord(SOM)》《ニューロックの模造品/Neurok Replica(SOM)》と言った防御的な生物が多数プールに存在したからである。
NPHにおいてはそう言った防御的な生物は《髄掘り/Pith Driller(NPH)》しか存在せず、コントロールデッキにおいても《清純のタリスマン/Pristine Talisman(NPH)》からの加速の意味やライフゲインの回数を考えると先手を取るべきだろう。
コントロール対決においてはデッキの内容によって大きく左右されるだろうが、雌雄を決するであろう《限界無き力の祭殿/Shrine of Limitless Power(NPH)》を先における事《突き刺しモズ/Impaler Shrike(NPH)》を《使徒の祝福/Apostle’s Blessing(NPH)》で守りつつプレイする事などを考えると先手で問題ない気はする。
もちろん4マナまで止まらずにセットできるマナベースは必要になるが。
それらが無い場合、もしくは《心理の障壁/Psychic Barrier(NPH)》《グリッサの嘲笑/Glissa’s Scorn(NPH)》で対処可能な場合は後手のメリットが勝る事になる。

色毎の特徴

白は《強制された崇拝/Forced Worship(NPH)》《倒れし者の記憶/Remember the Fallen(NPH)》がある事から防御的な色だと思われる。
《縫合の僧侶/Suture Priest(NPH)》や《まばゆい魂喰い/Blinding Souleater(NPH)》は攻防一体。
《磁器の軍団兵/Porcelain Legionnaire(NPH)》は無色に等しいので、それらを考えるとやはり防御的な色か。
組み合わせは青か、同じくゴーレムカラーの緑との組み合わせになるだろうか。

青は《蒸気の絡みつき/Vapor Snag(NPH)》《心理の障壁/Psychic Barrier(NPH)》《突き刺しモズ/Impaler Shrike(NPH)》を考えると攻撃的な色。
しかし、どれもがコントロール寄りにも使う事が出来る。
色の組み合わせは、他のどの色と組み合わせてもデッキになる。

黒は《髄掘り/Pith Driller(NPH)》《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》が他のプレイヤーにもピックされ《不気味な苦悩/Grim Affliction(NPH)》も優秀なため、タッチでも運用される事からほとんど《死の犬/Mortis Dogs(NPH)》と《ゲスの評決/Geth’s Verdict(NPH)》のための色となる。
となると、メインで使われる場合にはほとんどが攻撃的なデッキとして組まれるべきだろう。
となると《石弾化/Artillerize(NPH)》のある赤だろうか。

防御的に運用するならば《寄生的移植/Parasitic Implant(NPH)》と《強制された崇拝/Forced Worship(NPH)》を組み合わせた防御的な白黒を組んだ事があるが、線が細すぎてダメだった。
《とどろくタナドン/Thundering Tanadon(NPH)》などで補えば良いかも知れない。

赤は《電位の負荷/Volt Charge(NPH)》《石弾化/Artillerize(NPH)》《剃刀の豚/Razor Swine(NPH)》《オーガの使用人/Ogre Menial(NPH)》と若干かみ合わない感があるが、感染と《電位の負荷/Volt Charge(NPH)》はかみ合っている。

ラインナップを見ると、ほとんどメインで採用される事がないのでは?と思ってしまう。
《剃刀の豚/Razor Swine(NPH)》《オーガの使用人/Ogre Menial(NPH)》が安いなら《荒廃の工作員/Blighted Agent(NPH)》とあわせて感染ビートだろうか。

以前に馬鹿みたいにアグロな《石弾化/Artillerize(NPH)》デッキを作ったを作ったが、相手が《清純のタリスマン/Pristine Talisman(NPH)》をプレイしていると軽く死にたくなる。
経験が足りないため、どの色と組み合わせるのがベストなのかは分からないが、青単タッチ《電位の負荷/Volt Charge(NPH)》《石弾化/Artillerize(NPH)》は普通に強そうだ。

緑は・・・これもメインではあまり使った事がないな。
《とどろくタナドン/Thundering Tanadon(NPH)》はほとんど無色の生物。
人気薄なので《生命の接合者/Vital Splicer(NPH)》クラスでもスイスイ流れるとか。
ならばゴーレムカラーの白か緑、もしくは除去が存在する赤か黒が適正なパートナーか。

環境で唯一気軽にアーティファクトに対処できるのと《血吸いの噛み付き/Leeching Bite(NPH)》がコモンに存在するのは偉大。
個人的には青緑とかはかなり好みだ。

って事はどの組み合わせでも良いと言う事なのか。
意外に懐が広いな。緑。

終わりに

と言う事で、NNN環境に対する考察をざっと。
読み返してみると、最終項の出来が特に酷い。
たった10回に満たないドラフト回数なので、使った事のない色の組み合わせや戦略が多く、カードのテキストを読んだ感覚しか分からないものも多い。

しかしながら、感染は目指すべきかどうかや非感染デッキのメリットなど以前から書きたいなぁと考えていた事は書けたので、個人的には楽しんで書けた。

伝えたい事を明確にするために、普段は良く使う~と思うとか、~だろうなどの表現は出来るだけ避けた。
が、上記の内容がこれで間違いない!と言うものではないと思うし、これを読まれた方が「これは違うだろ」と突っ込みを入れて頂けるとなお嬉しい。

言わば、現状は僕が(真面目に書いているが)ボケた後の突っ込み待ちの状態であるのだ。

もしくは、直接反応がなくても、こんな事が書いてあったよ。どう思う?とか実際に試してみようと言うきっかけになれば嬉しく思う。

最後にこのエントリを書くきっかけを下さった方に、重ねての感謝を。

コメント

nophoto
通りすがり
2011年6月8日2:22

この間書き込ませていただいた通りすがりです。
せっかく2週間しかプレイできない環境なので、逆境を承知の上で赤青感染を決め打ち気味に組んでみたりしています。
今日で2回目のトライで、1回目は土地事故も絡んで1没でしたが、2回目の今日は3連勝できました。
今までNNNをやってきた限りではほとんど競合しない気がしていて、荒廃の工作員は安定して3~4枚取れる印象です。
なにせ、普通にドラフトしていると感染にいくきっかけがほとんど無いですからね……。
バックアップ用の変異原性の成長や使徒の祝福、相手のφクリーチャーから身を守るためのグレムリン地雷あたりを複数確保できれば割と何とかなるかな、といったところ。まぁ、それでもいろいろきついことはきついですが。
あ、相手がブロッカーにアーティファクトクリーチャーしか残していないような場合、繋がれた喉首追い+使途の祝福で即死を狙えたりもw

bun
2011年6月8日10:39

3-0おめでとうございます^^

確かにNNNにおいては感染に誘引される要素がほとんどなく、決め打ちするのも有効なのかも知れません。
自分は感染持ちが十分確保できるかどうかは、出現数にも寄るし、相手にカットされるかどうかにもかかってくるので、どうしてもチキってしまいます。

普通のデッキ相手とのダメージレースに勝つために《グレムリン地雷/Gremlin Mine(NPH)》とか《蒸気の絡みつき/Vapor Snag(NPH)》《変異原性の成長/Mutagenic Growth(NPH)》はどうしても必要になってきますね。

嵌めパターンがあったり、ほとんどワンショット・キルみたいな事が出来るデッキは好きですよ。
1回くらい試してみるべきだったかと思わされます。

nophoto
ななし
2011年6月9日15:41

素晴らしい内容ありがとうございます。
装備はないし、除去は多いしで確かに感染は厳しそうですね。
接合者を集めたゴーレムデッキが強そうに感じるのですがどうでしょうか?
コモンは2種類しかいないのでちょっと難しいですかね?

bun
2011年6月10日0:39

こんばんは。

NNNにおけるゴーレムデッキは、アンコモンの《生命の接合者/Vital Splicer(NPH)》がなぜか安いらしく、《清純のタリスマン/Pristine Talisman(NPH)》と共に大量に集めるターボ《清純のタリスマン/Pristine Talisman(NPH)》が戦略として成立しているようです。
僕自身はプレイした経験がないのですが、上述のように感染に向かうプレイヤーが少ない中で、やはりライフゲインは有効はようで、その加速から繰り出される《大槌の接合者/Maul Splicer(NPH)》は脅威となりえるようです。

恐らく、MSSにおける恐竜みたいなポジションで、白に《強制された崇拝/Forced Worship(NPH)》と《まばゆい魂喰い/Blinding Souleater(NPH)》があり、緑にも《血吸いの噛み付き/Leeching Bite(NPH)》が存在するので、軽い除去で序盤を押さえ、加速からファッティ連打と言う戦略は有効に思えます。
アンコモン以上の《接合者/Splicer(NPH)》のスペックは異常で、もし上手く行かなかったとしても青緑系のコントロールに逃げるなどと言ったプランが立てられるので、ピックの方針としては良いのではないでしょうか。

《清純のタリスマン/Pristine Talisman(NPH)》は他のタイプをドラフトするときと比べて早めに確保しなくてはいけないみたいです。
複数枚ないとダメですし。
bun

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