ファイレクシアは暴利か
2011年5月3日 TCG全般 新たな取引が始まる
新たなるファイレクシアで導入されたファイレクシアマナは、指定された色マナか、2点のライフで支払う事の出来る呪文または能力のコストである。
「ライフをマナに変換する」事から連想されるのは《チャネル/Channel(4ED)》であるが、その交換比率は1対1であり、ファイレクシアマナはその2倍である訳で、かなり高価なものと言う印象を受ける。
しかし、《チャネル/Channel(4ED)》のように変換機を必要としないし、なにより色マナを軽減してくれる点が大きい。
かつて存在した《アダーカー荒原/Adarkar Wastes(10E)》に代表されるダメージランドを考えると、無色のマナ=1ライフ。有色への変換=1ライフであり、十分に適正と呼べる範囲の取引ではある。
むしろ何の予備動作も必要とせずに使用できる点で優れているとさえ言えるだろう。
商品ラインナップ
そんな便利なファイレクシアマナだが、《チャネル/Channel(4ED)》がそうであったように、何にでも自由に使える、と言う訳にはいかない。
当然マナで支払うか、ライフで支払うかのオプションが用意されたカードには限りがある。
今回は特にリミテッドに焦点をあて、頻繁に使用されるであろうコモン、アンコモンを紹介していこう。
■White/白
白に用意されたカードは概ね防御向きのカードが多く、磁器の軍団兵以外はそれほど目を引く事はない。
その他はいずれもサイドボード候補に納まるのではないかと思う。
が、使徒の祝福は《魂の受け流し/Soul Parry(SOM)》や《死への抵抗/Withstand Death(SOM)》の上位互換とも取れるので、メインで採用される可能性は十分ある。
他のファイレクシアマナで支払う事の呪文に対する耐性を獲得する事にもなるからだ。
■Blue/青
青の候補は地味な物が多く、待望のドローであるテゼレットの計略も飛びぬけて強いと言う訳ではないし、アンコモンである。
構築戦では有用な精神的つまずきもサイドボード候補だろう。
是非ともバウンスが欲しかったところなのだが、それは強すぎるのだろう。
■Black/黒
黒は元祖ファイレクシアカラーだけあって、有用なカードが多数。
中でも四肢切断と髄掘りは高く評価出来る。
特に髄掘りは多くの増殖を抱えながら活用する事が出来なかった青にとって朗報だろう。
大霊堂のスカージも、支払った分のライフはすぐに回収できそうだ。
■Red/赤
赤は攻撃的な行動に、はらわた撃ち、さらに憤怒の抽出機と優秀なものが揃っている。
特に攻撃的な行動は色を選ばず劇的な効果を発揮する場面が必ずあるため、注意が必要だろう。
■Green/緑
緑は交換比率の良い《巨大化/Giant Growth(4ED)》系のスペルと、他のファイレクシアマナ持ちの生物と比べると優秀なとどろくタナドンを有している。
マナマイア経由で3t目に現れる5/4トランプルは脅威だが、所詮はアーティファクト。
《神への捧げ物/Divine Offering(MBS)》されない事を祈るばかりだ。
■Artifact/アーティファクト
アーティファクトのラインナップは、それぞれの色の性格を濃く反映していて、特に適切なデッキで使用される、まばゆい魂喰いと、焼身の魂喰いは脅威だ。
焼身の魂喰いに至っては、《汚れた一撃/Tainted Strike(SOM)》と組み合わせる事により《憎悪/Hatred(EXO)》さながらの効果を発揮出来るにも関わらず、本体コストは2マナと非常に安価。
リミテッドで死者が続出しそうだが、それで良いのかWotC。
取引するべきか
上記のラインナップを見ていくと、高レアリティのもの以外は、それほど環境を高速化させないように思う。
例えば、脊柱の飛行機械であるが、アーティファクトの《悪臭のインプ/Foul Imp(STH)》であり、その性能は《突風掬い/Gust-Skimmer(MBS)》と比較しても高すぎると言う事はない。
最大サイズのとどろくタナドンや、序盤の脅威となりそうな磁器の軍団兵は高速化に一役買うかも知れないが、ライフと言う形でコストを負担している事を考えると妥当なところだろう。
ファイレクシアマナ持ちの真価は、色を選ばず生物を使役出来ると言う点よりも、その色でしか出来なかった事を他の色でも行えると言う融通性にある。
例えば黒や赤の除去であり、白のプロテクションであり、緑の《巨大化/Giant Growth(4ED)》であり、青のドローである。
特にコンバットで優位に立てる白と緑は評価すべきであるし、コストが非常に割高になるものの、赤と黒の除去にも注意を払うべきであろう。
特に攻撃的な行動はアンコモンながら戦況を一変させ得る。
以上の事から、戦いを有利に進めたいなら、ファイレクシアとは取引すべきである。
重要なのは、その取引を実際に行うかどうかの選択権はこちらにあると言う事。
自由や選択と言うものを否定したファイレクシアから、これほど柔軟で、融通の利くシステムが生まれたと言うのは皮肉な事ではあるが。
選択できると言う事は楽しむために重要な要素である。
しかし選択すると言う事は、常に間違いを冒す可能性を孕んでいる事を忘れてはならない。だから
「ご利用は計画的に」
・・・等と月並みな事を言う彼らではあるまい。
なにせ「あの」ファイレクシアなのだから。
ぜひこの危険で、けれど魅力的な取引を楽しんでもらいたい。
新たなるファイレクシアで導入されたファイレクシアマナは、指定された色マナか、2点のライフで支払う事の出来る呪文または能力のコストである。
「ライフをマナに変換する」事から連想されるのは《チャネル/Channel(4ED)》であるが、その交換比率は1対1であり、ファイレクシアマナはその2倍である訳で、かなり高価なものと言う印象を受ける。
しかし、《チャネル/Channel(4ED)》のように変換機を必要としないし、なにより色マナを軽減してくれる点が大きい。
かつて存在した《アダーカー荒原/Adarkar Wastes(10E)》に代表されるダメージランドを考えると、無色のマナ=1ライフ。有色への変換=1ライフであり、十分に適正と呼べる範囲の取引ではある。
むしろ何の予備動作も必要とせずに使用できる点で優れているとさえ言えるだろう。
商品ラインナップ
そんな便利なファイレクシアマナだが、《チャネル/Channel(4ED)》がそうであったように、何にでも自由に使える、と言う訳にはいかない。
当然マナで支払うか、ライフで支払うかのオプションが用意されたカードには限りがある。
今回は特にリミテッドに焦点をあて、頻繁に使用されるであろうコモン、アンコモンを紹介していこう。
■White/白
使徒の祝福/Apostle’s Blessing (1)(白/Φ)
インスタント NPH, コモン
((白/Φ)は(白)でも2点のライフでも支払うことができる。)
あなたがコントロールするアーティファクト1つかクリーチャー1体を対象とする。あなたはアーティファクトか色を1色選ぶ。それはターン終了時までプロテクション(その選ばれた性質)を得る。
大聖堂の皮膜/Cathedral Membrane (1)(白/Φ)
アーティファクト・クリーチャー — 壁(Wall) NPH, アンコモン
((白/Φ)は(白)でも2点のライフでも支払うことができる。)
防衛
大聖堂の皮膜が戦闘中に戦場からいずれかの墓地におかれたとき、これは、この戦闘でこれがブロックしていた各クリーチャーに6点のダメージを与える。
0/3
骨髄の破片/Marrow Shards (白/Φ)
インスタント NPH, アンコモン
((白/Φ)は(白)でも2点のライフでも支払うことができる。)
骨髄の破片は各攻撃クリーチャーに1点のダメージを与える。
磁器の軍団兵/Porcelain Legionnaire (2)(白/Φ)
アーティファクト・クリーチャー — 兵士(Soldier) NPH, コモン
((白/Φ)は(白)でも2点のライフでも支払うことができる。)
先制攻撃
3/1
白に用意されたカードは概ね防御向きのカードが多く、磁器の軍団兵以外はそれほど目を引く事はない。
その他はいずれもサイドボード候補に納まるのではないかと思う。
が、使徒の祝福は《魂の受け流し/Soul Parry(SOM)》や《死への抵抗/Withstand Death(SOM)》の上位互換とも取れるので、メインで採用される可能性は十分ある。
他のファイレクシアマナで支払う事の呪文に対する耐性を獲得する事にもなるからだ。
■Blue/青
ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe (青/Φ)
ソーサリー NPH, コモン
((青/Φ)は(青)でも2点のライフでも支払うことができる。)
パーマネント1人を対象とし、そのプレイヤーの手札を見る。
カードを1枚引く。
精神的つまづき/Mental Misstep (青/Φ)
インスタント NPH, アンコモン
((青/Φ)は(青)でも2点のライフでも支払うことができる。)
点数で見たマナ・コストが1の呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
脊柱の飛行機械/Spined Thopter (2)(青/Φ)
アーティファクト・クリーチャー — 飛行機械(Thopter) NPH, コモン
((青/Φ)は(青)でも2点のライフでも支払うことができる。)
飛行
2/1
テゼレットの計略/Tezzeret’s Gambit (3)(青/Φ)
ソーサリー NPH, アンコモン
((青/Φ)は(青)でも2点のライフでも支払うことができる。)
カードを2枚引く。その後、増殖を行う。(あなたはカウンターの置かれているパーマネントやプレイヤーを望む数だけ選び、その後それぞれに、その上に置かれているカウンターのうち1種類を1個置く。)
青の候補は地味な物が多く、待望のドローであるテゼレットの計略も飛びぬけて強いと言う訳ではないし、アンコモンである。
構築戦では有用な精神的つまずきもサイドボード候補だろう。
是非ともバウンスが欲しかったところなのだが、それは強すぎるのだろう。
■Black/黒
四肢切断/Dismember (1)(黒/Φ)(黒/Φ)
インスタント NPH, アンコモン
((黒/Φ)は(黒)でも2点のライフでも支払うことができる。)
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで-5/-5の修整を受ける。
髄掘り/Pith Driller (4)(黒/Φ)
アーティファクト・クリーチャー — ホラー(Horror) NPH, コモン
((黒/Φ)は(黒)でも2点のライフでも支払うことができる。)
髄掘りが戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とする。それの上に-1/-1カウンターを1個置く。
2/4
死後の一突き/Postmortem Lunge (X)(黒/Φ)
ソーサリー NPH, アンコモン
((黒/Φ)は(黒)でも2点のライフでも支払うことができる。)
あなたの墓地にある、点数で見たマナ・コストがXのクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。それは速攻を得る。次の終了ステップの開始時に、それを追放する。
大霊堂のスカージ/Vault Skirge (1)(黒/Φ)
アーティファクト・クリーチャー — インプ(Imp) NPH, コモン
((黒/Φ)は(黒)でも2点のライフでも支払うことができる。)
飛行
絆魂(このクリーチャーがダメージを与える場合、さらにあなたは同じ点数のライフを得る。)
1/1
黒は元祖ファイレクシアカラーだけあって、有用なカードが多数。
中でも四肢切断と髄掘りは高く評価出来る。
特に髄掘りは多くの増殖を抱えながら活用する事が出来なかった青にとって朗報だろう。
大霊堂のスカージも、支払った分のライフはすぐに回収できそうだ。
■Red/赤
攻撃的な行動/Act of Aggression (3)(赤/Φ)(赤/Φ)
インスタント NPH, アンコモン
((赤/Φ)は(赤)でも2点のライフでも支払うことができる。)
いずれかの対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とし、ターン終了時までそれのコントロールを得る。そのクリーチャーをアンタップする。それはターン終了時まで速攻を得る。
はらわた撃ち/Gut Shot (赤/Φ)
インスタント NPH, アンコモン
((赤/Φ)は(赤)でも2点のライフでも支払うことができる。)
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。はらわた撃ちはそれに1点のダメージを与える。
憤怒の抽出機/Rage Extractor (4)(赤/Φ)
アーティファクト NPH, アンコモン
((赤/Φ)は(赤)でも2点のライフでも支払うことができる。)
あなたがマナ・コストに(Φ)を含む呪文を1つ唱えるたび、クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。憤怒の抽出機はそれに、その呪文の点数で見たマナ・コストに等しい点数のダメージを与える。
無情な侵略/Ruthless Invasion (3)(赤/Φ)
ソーサリー NPH, コモン
((赤/Φ)は(赤)でも2点のライフでも支払うことができる。)
このターン、アーティファクトでないクリーチャーではブロックできない。
切りつける豹/Slash Panther (4)(赤/Φ)
アーティファクト・クリーチャー — 猫(Cat) NPH, コモン
((赤/Φ)は(赤)でも2点のライフでも支払うことができる。)
速攻
4/2
赤は攻撃的な行動に、はらわた撃ち、さらに憤怒の抽出機と優秀なものが揃っている。
特に攻撃的な行動は色を選ばず劇的な効果を発揮する場面が必ずあるため、注意が必要だろう。
■Green/緑
腐食の突風/Corrosive Gale (X)(緑/Φ)
ソーサリー NPH, アンコモン
((緑/Φ)は(緑)でも2点のライフでも支払うことができる。)
腐食の突風は飛行を持つ各クリーチャーにX点のダメージを与える。
変異原性の成長/Mutagenic Growth (緑/Φ)
インスタント NPH, コモン
((緑/Φ)は(緑)でも2点のライフでも支払うことができる。)
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+2/+2の修整を受ける。
有毒の蘇生/Noxious Revival (緑/Φ)
インスタント NPH, アンコモン
((緑/Φ)は(緑)でも2点のライフでも支払うことができる。)
いずれかの墓地にあるカード1枚を対象とし、それをオーナーのライブラリーの一番上に置く。
とどろくタナドン/Thundering Tanadon (4)(緑/Φ)(緑/Φ)
アーティファクト・クリーチャー — ビースト(Beast) NPH, コモン
((緑/Φ)は(緑)でも2点のライフでも支払うことができる。)
トランプル
5/4
緑は交換比率の良い《巨大化/Giant Growth(4ED)》系のスペルと、他のファイレクシアマナ持ちの生物と比べると優秀なとどろくタナドンを有している。
マナマイア経由で3t目に現れる5/4トランプルは脅威だが、所詮はアーティファクト。
《神への捧げ物/Divine Offering(MBS)》されない事を祈るばかりだ。
■Artifact/アーティファクト
まばゆい魂喰い/Blinding Souleater (3)
アーティファクト・クリーチャー — クレリック(Cleric) NPH, コモン
(白/Φ),(T):クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。((白/Φ)は(白)でも2点のライフでも支払うことができる。)
1/3
焼身の魂喰い/Immolating Souleater (2)
アーティファクト・クリーチャー — 猟犬(Hound) NPH, コモン
(赤/Φ):焼身の魂喰いはターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。((赤/Φ)は(赤)でも2点のライフでも支払うことができる。)
1/1
強欲な魂喰い/Insatiable Souleater (4)
アーティファクト・クリーチャー — ビースト(Beast) NPH, コモン
(緑/Φ):強欲な魂喰いはターン終了時までトランプルを得る。((緑/Φ)は(緑)でも2点のライフでも支払うことができる。)
5/1
黒死病の魂喰い/Pestilent Souleater (5)
アーティファクト・クリーチャー — 昆虫(Insect) NPH, コモン
(黒/Φ):黒死病の魂喰いはターン終了時まで感染を得る。((黒/Φ)は(黒)でも2点のライフでも支払うことができる。感染を持つクリーチャーは、クリーチャーに-1/-1カウンターの形でダメージを与え、プレイヤーに毒(poison)カウンターの形でダメージを与える。)
3/3
侵害の魂喰い/Trespassing Souleater (3)
アーティファクト・クリーチャー — 構築物(Construct) NPH, コモン
(青/Φ):このターン、侵害の魂喰いはブロックされない。((青/Φ)は(青)でも2点のライフでも支払うことができる。)
2/2
アーティファクトのラインナップは、それぞれの色の性格を濃く反映していて、特に適切なデッキで使用される、まばゆい魂喰いと、焼身の魂喰いは脅威だ。
焼身の魂喰いに至っては、《汚れた一撃/Tainted Strike(SOM)》と組み合わせる事により《憎悪/Hatred(EXO)》さながらの効果を発揮出来るにも関わらず、本体コストは2マナと非常に安価。
リミテッドで死者が続出しそうだが、それで良いのかWotC。
取引するべきか
上記のラインナップを見ていくと、高レアリティのもの以外は、それほど環境を高速化させないように思う。
例えば、脊柱の飛行機械であるが、アーティファクトの《悪臭のインプ/Foul Imp(STH)》であり、その性能は《突風掬い/Gust-Skimmer(MBS)》と比較しても高すぎると言う事はない。
最大サイズのとどろくタナドンや、序盤の脅威となりそうな磁器の軍団兵は高速化に一役買うかも知れないが、ライフと言う形でコストを負担している事を考えると妥当なところだろう。
ファイレクシアマナ持ちの真価は、色を選ばず生物を使役出来ると言う点よりも、その色でしか出来なかった事を他の色でも行えると言う融通性にある。
例えば黒や赤の除去であり、白のプロテクションであり、緑の《巨大化/Giant Growth(4ED)》であり、青のドローである。
特にコンバットで優位に立てる白と緑は評価すべきであるし、コストが非常に割高になるものの、赤と黒の除去にも注意を払うべきであろう。
特に攻撃的な行動はアンコモンながら戦況を一変させ得る。
以上の事から、戦いを有利に進めたいなら、ファイレクシアとは取引すべきである。
重要なのは、その取引を実際に行うかどうかの選択権はこちらにあると言う事。
自由や選択と言うものを否定したファイレクシアから、これほど柔軟で、融通の利くシステムが生まれたと言うのは皮肉な事ではあるが。
選択できると言う事は楽しむために重要な要素である。
しかし選択すると言う事は、常に間違いを冒す可能性を孕んでいる事を忘れてはならない。だから
「ご利用は計画的に」
・・・等と月並みな事を言う彼らではあるまい。
なにせ「あの」ファイレクシアなのだから。
ぜひこの危険で、けれど魅力的な取引を楽しんでもらいたい。
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