《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》はMBSのコモンとして収録された緑の感染クリーチャーである。
そのドロー能力に魅せられたファンの方々も多い事と思う。
緑系の感染に限らず、恐竜デッキのブロッカーとして採用される事もある。

《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》のテキストは以下の通りである。

Rot Wolf / 腐敗狼 (2)(緑)
クリーチャー — 狼(Wolf)
感染(このクリーチャーは、クリーチャーに-1/-1カウンターの形でダメージを与え、プレイヤーに毒(poison)カウンターの形でダメージを与える。)
腐敗狼によってこのターンにダメージを与えられたクリーチャーがいずれかの墓地に置かれるたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。

2/2


上記テキストを読むと《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》によってダメージを与えられた直後に、例えば《伝染病の留め金/Contagion Clasp(SOM)》の場に出た時の効果によって、その生物が墓地に落ちた場合、カードを引く事が出来る様に思える。

しかし、先日MOドラフトにおいて《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》と《ドロスの切り裂き魔/Dross Ripper(MBS)》が戦闘を行い《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》が墓地に落ちた後に《伝染病の留め金/Contagion Clasp(SOM)》で《ドロスの切り裂き魔/Dross Ripper(MBS)》にとどめを刺してもドローする事は出来なかった。

・・・。

腐敗狼によってこのターンにダメージを与えられたクリーチャーがいずれかの墓地に置かれるたび、あなたはカードを1枚引いてもよい・・・だと!?

《悪性の傷/Virulent Wound(MBS)》ってのはわかる。
スゲーよくわかる。実際に墓地に落ちたら毒カウンターを1個得とるからな・・・。
だが《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》でドロー出来ないってのはどういう事だああ~~っ!?
何で出来ねーんだよーーーッ!
ナメやがってこの能力超イラつくぜぇ~~ッ!!
『腐敗狼によってこのターンにダメージを与えられたクリーチャーがいずれかの墓地に置かれるたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。』ってどういう事だッ!

チクショーッ。どういう事だ!どういう事だよッ!クソッ!『このターンに』ってどういう事だッ!ナメやがって、クソッ!クソッ!

その後、取り合えずその試合には負けて、ルールを確認。
まずはMTGWikiにて「条件を満たしたクリーチャーが墓地に置かれるとき、腐敗狼が戦場にいなければカードを引く能力は誘発しない。ただし、そのクリーチャーと腐敗狼が同時に墓地に置かれる場合は誘発する。 」
と言う一文を発見し、出来ない事は分かったものの、どうにも釈然としない。

さらに調べると、頭蓋の挿入 - Cranial Insertion -様にて、以下を見つける事が出来た。
Q: 私が《腐敗狼》で攻撃し、相手はそれを3/3クリーチャーでブロックしてきました。この結果、《腐敗狼》は死亡し、ブロック・クリーチャーは1/1になりました。このターンの間にそのクリーチャーにあと1点のダメージを与えた場合、《腐敗狼》の能力でカードを引くことは出来ますか?

A: 残念ながら、引けません。《悪性の傷》の誘発型能力と違い、《腐敗狼》の能力は遅延誘発型能力ではありません。「腐敗狼によってこのターンにダメージを与えられたクリーチャーが1体いずれかの墓地に置かれるたび」というややこしい誘発条件を持つだけの、ごくごく普通の誘発型能力です。ですから、この能力は戦場でしか働きません。誘発するためには、そのダメージを受けたクリーチャーが墓地に行くのを生きている状態の《腐敗狼》が見なければ鳴りません。《腐敗狼》とダメージを受けたクリーチャーが同時に死亡する場合にもこの能力は誘発しますが、それは同時に戦場を離れるクリーチャーはお互いを見ることができるからです。この問題とは関係ありません。

なるほど。誘発型能力と、遅延誘発型能力の違いか。

因みに遅延誘発型能力の説明は以下。

遅延誘発型能力/Delayed Triggered Abilityは、誘発型能力の一種。何らかの呪文や能力が解決されたときの効果により生成される能力で、後で何かを実行する。

遅延誘発型能力を生成するような呪文や能力が解決される前に誘発イベントが発生したとしても、その遅延誘発型能力が誘発することはない。その結果、誘発条件が満たされることがなくなることもありうる。

例:落とし格子/Portcullisの誘発型能力が解決される前に落とし格子が戦場を離れてしまうと、この誘発型能力によって追放されたカードが戦場に戻ることはなくなる。
期限が明記されていない限り、次に誘発イベントが起こったときに一度だけ誘発する。

特定のオブジェクトに影響する遅延誘発型能力は、そのオブジェクトの特性が変化しても影響を及ぼすことができるが、そのオブジェクトがその領域を離れた場合(指定された時点までに戻ってきたとしても)、影響を及ぼさない。

例:御霊の復讐/Goryo’s Vengeanceによって伝説のクリーチャー・カードを戦場に戻した場合、「次の終了ステップの開始時に」誘発する遅延誘発型能力は、そのクリーチャーが終了ステップ以前に戦場を離れていた場合は何もしない。
呪文によって生成された遅延誘発型能力の発生源はその呪文であり、他の能力によって生成された遅延誘発型能力の発生源はその能力の発生源と同じである。遅延誘発型能力のコントローラーは、そのプレイヤーが既にその発生源のコントローラーでなくなっていたとしても、それを生成した時点での呪文や能力のコントローラーである。


とすると《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》の能力は普通の誘発型能力なので、
《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》でアタック→コンバットで《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》は死んだけど《火膨れ杖のシャーマン/Blisterstick Shaman(MBS)》でダメージを追加して、倒してドローとかは出来ない訳だ。

リアルだとわりにやっていそうな光景ではある。
《腐敗狼/Rot Wolf(MBS)》のテキストは「このターン」と言う一文で直感と反する働きをするので注意が必要だ。

・・・と言う知っている人にとっては謎でも何でも無い話。

コメント

listener
2011年4月13日12:46

勉強になりましたm(_ _)m

nophoto
森暁
2011年4月13日14:27

なるほど(^_^;)
僕も腐敗狼の謎が分からなかったので、凄く勉強になりました(`(゚∀゚∩
もっとルールの勉強せなあかんなぁ…

re-giant
2011年4月13日17:15

やっぱりこれ、分かりづらいですよね。直感的に飲み込みづらいことは
作った側も分かっているらしく、02月03日のCard of the Dayでもネタにされてました。
(アタックした《腐敗狼》が巨大化したマナマイアにブロックされて死んだ場合、
 ターンエンド時に縮んだマナマイアが墓地へ行ってもカードが引けない、という例で)

おんたい
2011年4月13日17:54

プレリリースにて、私のマッチ終了後、他のマッチでre-giantさんの状況が起こって、「ルールがわかる人?」って、FAQもプリントしていたし「はいはい」って首つっこんで、もう1人マジック歴長い方にも確認の上、「ドローできます」って言っちゃいましたw

bun
2011年4月13日23:34

こんばんは。

>listenerさん
ドラフトでは特に起こりそうな状況ですし、そう言って頂けるとこの件で散っていった友人も浮かばれますw

>森暁さん
僕もジャッジを目指す身としては、ミスをする前に気が付かないといけないんだけど、文章がちょっとややこしいよね。
ルールは色々調べていくと面白いよ。
フェイジングとバンドは《頭の混乱/Addle(INV)》するけどw

>re-giantさん
ぬお。Card of the Dayでも取り上げられていたんですね。
もしかすると既に見ていたかも・・・。
テキスト的に簡潔にはしたいでしょうから、製作側が出来るのはそう言ったコラムとかFAQですね。
WotCは頑張ってますよね。

>おんたいさん
それはwww
でも、その時点では間違いなく僕も「引けますよ」って言っちゃいますw
「このターン」ってのが継続して記憶してるように錯覚しちゃうんですよね。
bun

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