祭典の時来る。

新しいセットの追加は、MTGプレイヤーにとって興味深いものである。
そのセットが今ある環境にどの様なインパクトをもたらすのか。
スタンダードなどの構築では、既存のデッキに変化を与えると共に、新しい戦略の軸となるカード(例えば《ドルイドの誓い/Oath of Druids(EXO)》)から、新しいデッキタイプが誕生する可能性がある。
ドラフトなどのリミテッドでは、追加されるものが小型エキスパンションなら、今までの環境に追加される形で影響を与え、大型エキスパンションなら、全く新しい環境がプレイヤーに与えられる事になる。
今回のエルドラージ覚醒は大型エキスパンションであり、後者が該当する。

エルドラージ覚醒で用意されたプールはどの様なものなのか。
それが作り出す環境はどの様な環境なのか。

ゲームの速度は?
カードアドバンテージが得られるメカニズムはあるか?
テンポアドバンテージについては?
構築ベースは多色か?単色か?
種族を意識させるものは?
そのセットに特有のキーワード能力は?それらをサポートするものはあるか?

実際に体験しなければ、疑問は湧きあがるばかりで答えを得る事は出来ない。
それらの答えを探すため、もしくは単純に楽しみのために、エルドラージ覚醒のプレリリースに参加した。

今回使用したプールは以下の通り。
コモン/アンコモンについてはライラックさんのエントリからコピペさせて頂いた。



(白)《啓蒙》 Ins 対象エンチャント破壊
(白)《護衛の任務》 オーラ 防衛を持つ
(白)《強打》 Ins 対象のブロック「されている」生物破壊
(白)《ハイエナの陰影》 オーラ +1/+1修正と先制攻撃 族霊鎧
(1)(白)《コーの綱投げ》 0/1 (T):対象のパワー3以下生物タップ ×2
(1)(白)《差し込む光》 Ins 対象のパワー3以下の攻撃orブロック生物破壊 ×2
(1)(白)《岸壁安息所の騎士》 LvUp(3) 2/2 →[1-3] 2/3飛行 →[4] 4/4 飛行 警戒
(1)(白)《イキーラルの先導》 LvUp(4) 1/2 →[1-3] 2/6 警戒 →[4] 3/10 警戒
(1)(白)《エランドの陰影》 オーラ +0/+4修正 族霊鎧
(2)(白)(白)《無害な突撃》 Ins 攻撃生物の戦闘ダメージ全軽減

(白)《失脚》 Sor 対象生物ライブラリー2番目へ 所有者は3点ゲイン
(1)(白)《前兆の壁》 0/4 防衛 cip:1ドロー
(4)(白)《魂縛りの守護者》 4/5 防衛 飛行


低コストで限定的な除去と、壁が存在するが、アタッカーがほとんど存在しない。
サイドカラーとしては一考に値するだろうが、構築時点では《コーの綱投げ》《差し込む光》がどれだけ強いのか良く解らなかった。
現在の視点から考えれば《コーの綱投げ》《差し込む光》は強力。
今回の白は低コストで攻撃的な要素が多く、それに即した構築とプレイが求められる。
上記の2種類はそれを十分にサポートしてくれるだろう。



(青)《空見張りの達人》 LvUp(3) 1/1 →[1-2] 2/2 飛行 →[3] 4/2 飛行
(青)《一瞬の散漫》 Ins 対象生物-1/-0 1ドロー
(青)《分かち合う発見》 Sor 追加コストにアンタップ状態生物4体タップ 3ドロー
(1)(青)《長魚の陰影》 オーラ 瞬速 +1/+1修正 族霊鎧
(1)(青)《先読み》 Sor 2ドローして1枚ライブラリーに混ぜる
(青)(青)《剥奪》 Ins 追加コストで土地一つ戻す。 呪文を打ち消す。
(2)(青)《ジュワー島の小走り》 2/3
(4)(青)《霜風の発動者》 3/3 飛行 (8):自生物全飛行

(青)《蟹の陰影》 オーラ (2)(青):アンタップ 族霊鎧
(1)(青)《ハーダの巡回スパイ》 LvUp(2)(青) 1/1 →[1-2] 2/2 ブロックされない →[3] 3/3 被覆 ブロックされない。
(1)(青)(青)《幻影の嫌悪者》 5/5 防衛 呪文や能力の対象時に生贄

(1)(青)(青)《サラカーの呪文刃》 2/1 あなたがインスタント呪文か、ソーサリー呪文を1つ唱えるたび、この上に蓄積カウンターを置いても良い。
これがいずれかのプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、置かれた蓄積カウンターに等しい枚数を引いても良い。


こちらもメインを張るには生物枚数とカードパワー不足だ。
この時点で、白青と言う選択肢は消えてしまう。
ただ、環境的には回避能力が強く、組める場合は白青は強力なアーキタイプだと思う。



(黒)《ズーラポートの処罰者》 LvUp(4) 1/1 →[1-2] 3/3 →[3] 5/5 黒でない生物にブロックされない
(黒)《死の信者》 1/1 生贄:対象1点ルーズさせて1点ゲイン
(黒)《夜霞》 Sor 対象生物に沼渡り 1ドロー
(1)(黒)《虚心の勇者》 LvUp(3) 1/1 →[1-3] 4/2 →[4] 7/3 (黒):再生 ×2
(1)(黒)《汚染された地》 オーラ 《沼》になる タップするたび2点ルーズ
(2)(黒)《血儀式の発動者》 3/1 (8):対象3点ルーズさせて3点ゲイン
(2)(黒)《思考の消滅》 Sor 対象相手は手札公開、選んだ1枚をライブラリーに混ぜる。
(3)(黒)《バーラ・ゲドの蠍》 2/3 cip:対象パワー1以下生物を破壊
(3)(黒)《ゾフの影》 2/2 (2)(黒):+2/+2
(4)(黒)《戦慄の徒食者》 4/1 cip:落とし子2体
(5)(黒)《本質の給餌》 Sor 対象人3点ルーズさせて3点ゲインし、落とし子トークン3体

(黒)《悪性の強打》 Ins ターン終了時まで対象生物+2/+0と接死
(1)(黒)(黒)《尊大な血王》 4/4 パワー1以下をブロック・ブロックされるたびこれを破壊する
(1)(黒)(黒)《ウラモグの手先》 2/2 これか他の非トークン生物が墓地におかれるたび落とし子1体
(3)(黒)《逃亡した虚心》 1/2 絆魂 ブロック・ブロックされるたび+5/+0

(2)(黒)(黒)《思考喰らい》 2/2 トランプル
思考喰らいが戦場に出たとき、あなたは手札にあるカード1枚につき、それの上に+1/+1カウンターを1個置く。
そうした場合、あなたの手札を捨てる。
思考喰らいが戦場を離れたとき、それの上に置かれている+1/+1カウンター1個につきカードを1枚引く。


デッキ構築時点では、LvUp生物の評価基準が解らず、プールへの評価にも苦労した。
最初は弱いと思っていた《虚心の勇者》《ズーラポートの処罰者》もデッキに入れても良いレベルのカードだった。
環境的にタフネスの高いものが多く、壁は概ねタフネス4。
一部の緑の生物や、LvUp後の生物にはさらにそれより堅いものが存在するが一応のラインと考えて良い。
そうすると《虚心の勇者》も評価に値する生物であり、《ズーラポートの処罰者》の回避能力が評価できる場面もあるだろう。

ちなみに《思考喰らい》は、戦場を離れた時に能力がトリガーするのだが、何を勘違いしたのか毎ターンアップキープに誘発するものだと読んでしまい、超生物誕生!とか興奮しまくっていた。
幸いデッキ構築中にそれに気が付き、大事には至らなかったのだが・・・。



(赤)《炎の斬りつけ》 Sor:対象生物に4点
(赤)《ゴブリンの付け火屋》 1/1 墓地に落ちた時対象に1点
(1)(赤)《グロータグの包囲抜け》 2/1 (赤),自身生贄:対象防衛生物破壊、所有者に2点
(1)(赤)《産卵の息》 Ins 対象に1点、落とし子1体
(2)(赤)《戦闘塁壁》 1/3 防衛 (T):対象生物速攻
(3)(赤)《ラガークトカゲ》 3/3
(3)(赤)《孔の歩哨》 2/4 防衛 (1)(赤),(T):対象人に防衛生物分ダメージ
(3)(赤)《戦装飾のシャーマン》 2/2 戦闘開始時に対象生物+2/+0 ×2
(4)(赤)《エムラクールの孵化者》 3/3 cip:落とし子3体
(3)(赤)(赤)《地割れの孔》 Sor 1つか2つ選ぶ「アーティファクト破壊」「非基本土地破壊」

(赤)《二股の稲妻》 Sor 対象1つか2つに2点ダメージを振り分ける
(2)(赤)《硫黄石の魔道士》 LvUp(3)(赤) 2/2 →[1-2] 2/3 対象に1点 →[3] 2/4 (T):対象に3点

(3)(赤)《欠片の双子》 オーラ
エンチャントされている生物は以下の能力を得る。
タップ:この生物のコピーを戦場に出す。そのトークンは速攻を持ち、次のターン終了ステップの開始時に追放される。


除去と微妙な生物の組み合わせと言ういつもの赤らしい赤である。
とりあえず《硫黄石の魔道士》はコストに見合った生物で、除去できなかった場合は、遠くない未来に破滅が待っている。
《戦装飾のシャーマン》は初見は非常に貧弱に見えたのだが、回避能力持ちと相性が良く、状況によってはトークンが戦力になってくれるため、評価に値する。
これを中心にデッキを構築するもの面白いかも知れない。
《産卵の息》はどちらかと言うと除去にマナブーストがついていると言うよりは、マナブーストにおまけとしてダメージがくっついていると思った方が良いかも知れない。
1ターン早く《エムラクールの孵化者》などにつながると、その後の展開が全く違ってくる。
《戦闘塁壁》はデッキを選ぶが、デッキに入れば仕事をする。

《地割れの孔》は、本日の勘違い第2弾。
僕はなぜか《秘宝の破壊/Relic Crush(ZEN)》と同じ文章だと解釈してしまい、おまけに基本地形も破壊できると思い込んでしまった為《すき込み/Plow Under(UDS)》再来!とか興奮しまくっていた。
幸い、本物の《すき込み/Plow Under(UDS)》では無かったため、デッキのメインには入らず、サイドから投入しようとしたところで、勘違いしている事に気が付き、事なきを得た。



(緑)《葉の矢》 Ins 対象飛行生物に3点
(緑)《古きものの活性》 Sor ライブラリー上5枚から無色カード1枚手札へ
(1)(緑)《巣の侵略者》 2/2 cip:落とし子1体
(2)(緑)《蛇の陰影》 オーラ +1/+1修正と「対戦相手にダメージで1ドロー」 族霊鎧
(2)(緑)《短刀背のバジリスク》 2/2 接死
(3)(緑)《コジレックの捕食者》 3/3 cip:落とし子2体
(2)(緑)(緑)《野心の発動者》 4/3 (8):対象生物+5/+5トランプル
(4)(緑)《ネーマの沈泥潜み》 3/5 ×2
(3)(緑)(緑)《もやの蛙》 2/1 瞬速 cip:他生物の戦闘ダメージ全軽減
(3)(緑)(緑)《踏みつけの仔》 5/3 トランプル

(1)(緑)《バーラ・ゲドの獣壊し》 LvUp(2)(緑) 2/2 →[1-3] 4/4 →[4] 6/6トランプル
(2)(緑)《猪の陰影》 オーラ +3/+3修正 族霊鎧
(4)(緑)(緑)(緑)《ペラッカのワーム》 7/7 トランプル cip:7点ゲイン 墓地に落ちた時1ドロー
(緑)(緑)(緑)(緑)(緑)(緑)(緑)(緑)《カルニのハイドラ》 8/8 トランプル
カルニのハイドラはあなたがコントロールする緑の生物1体につき、それを唱えるためのコストが(緑)少なくなる


大きめの体格と、マナフィックスを受け持つ、いつもながらの緑と言った印象。
今回は、各種エルドラージが存在するため、マナブーストの持つ意味は大きいと言える。

《バーラ・ゲドの獣壊し》はQueenのフレディ・マーキュリーと《子守り/Cradle Guard(USG)》を思い起こさせる。
《巣の侵略者》はそのまま《灰色熊/Grizzly Bears(10E)》にかなり強めなおまけがついた良い生物。
《猪の陰影》は《樫変化/Oakenform(M10)》の完全上位互換。さすがはアンコモンだ。
全体的に見たままの強さと言った感がある。

その他

(2)《予言のプリズム》 cip:1ドロー (1),(T):好きな色のマナ1点加える
(8)《ウラモグの破壊者》 8/8 毎ターン強制攻撃 滅殺2
(9)《エムラクールの手》 7/7 落とし子4体生贄でも出せる。 滅殺1

(2)《戦争売りの戦車》装備(3) 装備生物+2/+2 防衛持ちでも攻撃可能
(7)《この世界にあらず》Ins
あなたがコントロールするパーマネントを対象としている呪文1つか、能力1つを対象としてそれを打ち消す。
これは、それが対象としている呪文や能力があなたがコントロールしているパワー7以上の生物を対象としている場合、それを唱えるためのコストが7少なくなる。

(4)《面晶体のマトリックス》 装備(4) 装備生物+X/+X Xは装備している生物のコスト

(12)《背くもの》 11/11 滅殺4
いずれかの対戦相手がトークンでないパーマネントを生贄に捧げるたび、そのカードをあなたのコントロール下で戦場に出す。

《進化する未開地》=《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse(M10)》


今回の目玉である各種エルドラージだが、デッキ構築に使う色を選んで、プールをきちんと選定すれば、8マナまではストレス無くプレイできる。
問題はそれ以上になると本当にプレイできるのか、もしくはプレイできたとしてもそれ相応の見返りがあるかどうかを考える必要がある。
デッキ構築時点では、試験運用の意味合いも込めて全種を採用。
《面晶体のマトリックス》《戦争売りの戦車》も採用した。

今回のセットではコモンに《予言のプリズム》《進化する未開地》が存在するため、緑ならずとも3色目をタッチする事も出来る。
デッキ内のLvUpも含めた色の濃さを考慮してデッキを組まないといけないが、タッチできると言う選択肢はいつでも念頭に置いておくべきだろう。

と言う訳で以下が今回使用したデッキである。

Rise of the Eldrazi Prerelease Event Seald Deck

8《森/Forest》
7《山/Mountain》
2《沼/Swamp》
1《進化する未開地》

1《バーラ・ゲドの獣壊し》
1《巣の侵略者》
1《短刀背のバジリスク》
1《戦闘塁壁》
1《硫黄石の魔道士》
1《コジレックの捕食者》
1《野心の発動者》
1《エムラクールの孵化者》
1《戦慄の徒食者》
1《ペラッカのワーム》
1《ウラモグの破壊者》
1 《エムラクールの手》
1《背くもの》

1《炎の斬りつけ》
1《二股の稲妻》
1《予言のプリズム》
1《産卵の息》
1《猪の陰影》
1《戦争売りの戦車》
1《面晶体のマトリックス》
1《欠片の双子》
1《本質の給餌》

見直すと割りと正気に見えない(と言うかはっきりと狂気を感じる)構成である。
タッチした黒からは《戦慄の徒食者》と《本質の給餌》を。
《本質の給餌》をキャストするためには、その時点で既に6マナがある状態なのだが、そこからでも、さらにマナジャンプを必要としている。
デッキを組んだ時点では、エルドラージ覚醒と言うセットで提示された巨大なエルドラージを召喚する事に情熱を感じていた様な気がする。
かつてゼンディカーのシールドにおいて、地上が脆弱な黒青を組み上げた際に《浅瀬の海蛇/Shoal Serpent(ZEN)》の投入を断固として認めなかった者の所業とは思えない豹変ぶりである。
《背くもの》の点数で見たマナコストは12。《浅瀬の海蛇/Shoal Serpent(ZEN)》のちょうど2倍である。
一言で「ちょうど2倍」と言うと大した事がなさそうな感じがするが、明日から「今までのちょうど2倍働け」と言われた場合を考えると、戦慄を禁じ得ない。

まぁそれはさておき。

少なくともこの時点ではある程度構築に満足しており、僕が各種マナブーストから颯爽とプレイした《背くもの》の脅威に相手が四苦八苦する様を見て楽しむと言う荒唐無稽なプランを夢想していた。
以下のレポートはMOの様にリプレイ機能が無いため、僕の記憶に頼っている。
実際とは若干異なる記述があるかも知れないが、ご容赦頂きたい。

参加人数71人の5回戦。
勝敗によってパックがもらえる形式である。
5-0は1BOX。次いで4-1には6パックと言う事で、4回戦終了時で4-0か、それとも3-1かで天と地ほどの差がある。
となれば目標は4-0か。

1戦目 緑白タッチ赤 2-0
Game1
こちら先手。
2t目《巣の侵略者》からのグッドスタート。
相手は2t目の《前兆の壁》(0/4 防衛 cip:1ドロー)でそれに応える。
その後こちらの《戦闘塁壁》
→《エムラクールの孵化者》
→《ウラモグの破壊者》と言う非常にエルドラージらしい動きで圧殺。
勝ち。
ちなみに《ウラモグの破壊者》をプレイした次のターンのドローが《背くもの》
場には、いまセットしたばかりの土地を含めて6マナしかなく、そのコストはちょうど2倍w

「名は体を表す」と言う諺を思い出し、速攻で《踏みつけの仔》と交換した。

Game2
相手先手。
2t目《草茂る胸壁》(0/4 防衛 (T):自防衛生物分(緑)加える)から。これは即座に《炎の斬りつけ》を。
さらに相手の《前兆の壁》に対して《短刀背のバジリスク》をプレイ。
相手から《戦争売りの戦車》が追加されるが、《猪の陰影》を着地させ、確実に5点づつ削っていく。
その後こちらは《コジレックの捕食者》と《エムラクールの孵化者》をプレイ。
相手も普通に《ウラモグの破壊者》をプレイしてくるが、こちらもそれに続く。
結局強制アタック効果のせいで相手も《ウラモグの破壊者》でアタックせざるを得ず、ブロッカーが足りなくなってしまい、勝ち。

2戦目 緑白タッチ赤 2-0
Game1
相手先手。
1t目の《闘争の学び手》(LvUp(白) 1/1 →[2-6] 3/3先制攻撃 →[7] 4/4二段攻撃)からスタート。
名前と効果が一致していなかったため、相手の方に見せてもらい、途中まで読んで・・・秒で除去w
その後相手が生物をほとんど展開してこない中で《巣の侵略者》 《野心の発動者》《ペラッカのワーム》と展開していくと、飛んできたのは

《全ては塵》(各プレイヤーは全ての有色のパーマネントを生け贄に捧げる。)!

これで戦力は全て吹き飛んでしまったが、幸いな事に《ペラッカのワーム》の能力で《ウラモグの破壊者》を引いてくる。
1回これが殴った後で《ウラモグの破壊者》を相手が出すが、こちらがさらに《戦争売りの戦車》をトップして、それが止まらず。
勝ち。

さて。サイドボードなのだが、僕にはまだ「点数で見たマナコストが12」と言う現実が、一体何を表すのか理解出来ていなかったのか《背くもの》をサイドイン!
まさかの《背くもの》リターンズである。

Game2
相手先手。こちらの初手が

《山/Mountain》
《山/Mountain》
《産卵の息》
《予言のプリズム》
《猪の陰影》
《ウラモグの破壊者》
《背くもの》

心なしか、いつもより手札が少なく見える。あれおかしいぞ。少ないな。
まさかと思って数えなおして見ても、やっぱり手札は7枚である。
マリガンか・・・。
そう思い、手札を見ると《背くもの》が
「ちょっと!この手札でマリガンなんて何考えてんですか!折角サイドインした俺がいるのに、マリガンしないでくださいよ!」
と猛抗議。
確かに、サイドインしたカードが初手に含まれる場合は、その手札をキープする理由の1つには成り得る。
マナ基盤に問題が無く、序盤のゲームプランが立ちそうならば、尚更そうである。
今回のケースは《産卵の息》《予言のプリズム》で序盤の立ち回りは出来そうだ。
いよいよと成ればトークンに《猪の陰影》をエンチャントする選択肢もあるだろう。

でも・・・。それでもやっぱりマリガンである。だって《背くもの》がいる時点で、マリガン状態。
解るかな。既にマリガンは完了しているんだ!
その上《ウラモグの破壊者》がいるならこの初手は、既にダブル・マリガンに等しい。
僕はやっと「点数で見たマナコストが12」が何を示すのかを理解した。

「点数で見たマナコストが12」≒マリガン

なのである。

6枚に減った手札には幸いな事に《背くもの》 の姿はなかった。
試合自体は対戦相手の方が酷いマナトラブルに見舞われて勝ち。

3戦目 黒赤 2-0
Game1
相手先手。だが、相手の土地が2枚で止まって勝ち。

Game2
相手先手。
こちらの初動4t目(!)の《コジレックの捕食者》から出てきたトークンに対して《減縮》(Sor 全生物-1/-1)が飛んでくる。
これで若干のプラン修正を迫られたが《野心の発動者》でプレッシャーをかけ、終始攻勢に。
相手がプレイした《狂乱のサルカン》でも、マナが揃ってしまった《野心の発動者》は止める事が出来ず、そのまま勝ち。

4戦目 緑赤 0-2

Game1
フレディ・マーキュリーこと《バーラ・ゲドの獣壊し》に 《猪の陰影》が着地して大惨事に。
力強い右ストレートで負け。

Game2
だからフレディ強いって!
トークンでチャンプ計画がフレディの最終形態がトランプル持ちだったため崩壊。
負け。

4-0の目標は達成できず。残念。

5戦目 赤白 トス

席まで行くと対戦相手の方から「トスってもらえませんか?」の声。
トス?IDではなく。
この状況でその言葉が出てくるのは、4-0か4-0-1の方からだけだろう。
即座に快諾した。

その後遊びでプレイしたら
2t目《巣の侵略者》
3t目《戦闘塁壁》
4t目《エムラクールの孵化者》
5t目《ウラモグの破壊者》
のブンブン。
《ウラモグの破壊者》こそ除去されるが、後続が《野心の発動者》《踏みつけの仔》と展開できて勝ち。

試合後に対戦相手の方から
「トスってもらえて良かったです」
とのお言葉を頂いて大変満足した。
確かに毎回これくらいのブンブンだったら強いデッキだがw

と言う訳で3-2。
その後はドラフトに参加して黒/赤除去単を組み上げるも2没。
さらにグループドラフトに参加して権謀術数が渦巻く中、運良く火力をトップしてThe Last oneに。
1日中イベントを堪能した。

今回はプレリリースと言う事もあり、解りやすく緑赤系統のマナ加速からエルドラージにつなげると言うデッキを選択された方が非常に多かった様に思う。
僕自身もマナブースト=エルドラージタイプの戦略を選択した訳だが、構造的にマリガンに弱く、マナ加速を引けないと、機能不全に陥ってしまう。
赤/緑と言う色が相手のエルドラージに対抗する手段を持たないので「相手より早くエルドラージを出す」事自体を対策とする他無い訳だが、元々不安定なデッキコンセプトである事も踏まえると、尚更安定している等とは言えない。
対応としては、メインの色が赤緑系ならば、積極的にサードカラーを採用して確定除去を採用する事。
カードプールとして極端に除去が枯渇しているなら、回避能力主体のテンポデッキを構築する他はない。
その際は、メインカラーとして用意されたプールを評価して、青または白を採用し、セカンドカラーに黒を持ってくる。
カラーバリエーションとして白黒は禁忌とされる場合もあるが、この環境では特に否定される要因もない気がする。
また、回避能力主体のデッキを組み上げるなら、赤の特に《戦装飾のシャーマン》((3)(赤) 2/2 戦闘開始時に対象生物+2/+0)は注目に値する。

以上はシールド戦における所感だが、ドラフトでもある程度は応用可能だろう。
とは言え、特にマナブースト=エルドラージは赤/緑/黒に方法が限定されている。
緑には必要なマナブーストが、赤/黒には同じくマナブーストと魅力的な除去が存在するため、卓内での奪い合いは避け難いものになりそうだ。
そして、上家/下家被りが発生した時にはデッキの弱体化が避けられない。
今まで以上に的確なシグナリングが必要とされるだろう。

青/白を中心としたLvUp戦略は《敬慕される教師》((2)(青) cip:自LvUp持ち生物にLvカウンター2個)が存在するため青は外しにくい。
青はこの環境での主要なカードアドバンテージ獲得手段を持ち、同時に回避能力持ちも豊富も持っているため、戦略の幅が広いと同時に方向性を考えないとデッキ内容がちぐはぐになりやすい。
強力な色であるのは間違いないが、自分がどのようなデッキをドラフトしているのかについては、きちんと意識する必要があるだろう。

白についてはLvUpを中心に低コストの攻撃的なデッキをドラフトする事になるだろう。
LvUpは、マナを消費する代わりに低コストでキャストした生物を、そのままの貧弱な戦力で留まらせる様な事はしない。
デッキ構築に際しては、軽めなマナカーブの割には大目の土地が必要になるだろう。
例えばローウィン環境では白単キスキンと言うデッキタイプが存在したが、《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》の存在もあって、土地を16枚ないし、それ以下に切り詰めた例もある。
が、この環境ではLvUpが存在するため、土地を18枚入れたとしても機能するだろう。

興味深いのは、このような環境の中で、マナカーブと言う概念が何を説明可能なのかと言う事。
今まで僕たちが慣れ親しんできたマナカーブと言う概念は、それに影響を及ぼす、エコーだったり、キッカーだったり、待機だったり、マッドネスだったり、消散だったり、その他諸々の新しいメカニズムが導入された環境を経ても、今なお僕たちのデッキ構築に影響を与え、1つの指針とされている。

多量の落とし子トークン関連カードと、それに支えられているエルドラージ戦略。
低コストで召喚された未熟な兵士を、大量のマナで英雄へと成長させるLvUp戦略。

エルドラージ覚醒を象徴するこの2つの戦略は、既存のマナカーブと言う考え方では、恐らく説明出来ないのではないか。
いや。そうではない。
マナカーブ自体は、対象のデッキのスペルのマナコストを並べただけのものに過ぎない。だからどの様な環境の変化を経ても、マナカーブは指針として存在してきたのだ。
僕たちが必要としているのは(そして、話題にする時に暗黙に想定しているのは)ただの数字ではなく、ある環境の、ある戦略における「理想のマナカーブ」だ。
では、この環境における理想のマナカーブとはどの様なものだろう。
そして、それはどの程度重要なのだろう。
僕が思うに、それは環境におけるそれぞれのデッキタイプの完成系。それのものだ。
まず最初に用意されたプールからデッキの完成系が想定される。
例えば青白のLvUp戦略であるなら、こう言うデッキが理想だと言う1つの形が。
青白の「理想のマナカーブ」はそのデッキのマナカーブとして規定されるはずだ。
まず最初にマナカーブがあるのではなく、デッキが最初にあるべきだ。(でも、そうするとスライのマナカーブは?)

うん。良く解らない。

ともあれ、エルドラージ環境を体験する事は出来た。
これからそれを基に色々妄想できればと思う。

コメント

ラッチ
2010年4月18日19:22

大変面白くレポ読ませて頂きました。
前回のコラムも非常に面白かったです。
やはりレベルアップクリーチャーの評価には戸惑いますよね。
これからどんなアーキタイプが確立されていくのか、非常に楽しみであります。

bun
2010年4月18日20:33

こんばんは。
そういっていただけると嬉しいです^^

>コラム
あのコラムは、今まで僕が影響されてきたものばかりです。
特に「Eye of the Tiger」と「Magic的思考法 第一文書:イントロダクション
」はMTG関連で凹んだり、僕は何でMTGやってるんだっけ…?と思った時に読み返したりします。

ゼンディカーの「上陸」と比較して、今回用意されたコンセプトはどちらも考えさせられるもので、デッキ構築やプレイに気をつけないと強く使えない感があります。
ですが、それだけに楽しそうです^^
bun

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