Grand Prix–Brussels
2010年3月29日 TCG全般 コメント (4)先日行われたGPブリュッセルの結果が出ていた。
環境初心者の僕が、現在の勝ち組は何か、またそれは何故なのかを知る良い機会である。
そんな訳で、GPブリュッセルのベスト8のデッキを見ていく事にした。
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/gpbru10/top8decks
今回のエントリは、スタンダードに関してあまり知識がなく、経験にも乏しいプレイヤーからの目線で書いていく事となる。
既に世間一般では答えが出ている、ないしは環境に対する無知丸出しの話題になってしまうかも知れない。
御一笑頂くと共に、環境を理解するための助言など頂ければなお幸いだ。
まずベスト8の内訳は
ジャンド 5名
バント 2名
ナヤ 1名
である。
アラーラ限定構築でも猛威を振るったジャンドの直系の子孫たちが半数以上を占める。
それ以外は世界選手権でZvi Mowshowitzが持ち込んだ形とほぼ同じ形のバント。
それからこちらも世界選手権で活躍したナヤだ。
ジャンドが5名と言っても完全に同一と言う訳ではない。
除去や生物構成、それからサイドボードには差異が見られる。
しかし同時に同一の要素も見られる。
大きくは《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARBの採用と《不屈の自然/Rampant Growth(M10)》の不採用だ。
《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》はWWKで各種ミシュラランドが登場したため、デッキの継戦能力が向上し、ビートしやすくなったために採用されたと考える。
世界選手権では土地26~27枚に加えて《不屈の自然/Rampant Growth(M10)》と《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》採用するタイプが存在したが、今回はSteve Bernsteinがその形式を継承するのみ。
個人的には、スタンダードはリミテッドと違い、自分のデッキに入れるカードを任意に選べるのだから強いカードは4枚入れるべきだと考える。
特に《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》や《不屈の自然/Rampant Growth(M10)》の様に、コストが軽く、序盤に強いカードはそうするべきだろう。
それ以外の差異は《瀝青破/Bituminous Blast(ARB)》や《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》の採用と不採用。
《瀝青破/Bituminous Blast(ARB)》は強力な続唱スペルで、特にジャンド同系において《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon(ALA)》に対抗できる数少ないカードだ。
しばしば5マナと言うコストを取り上げられて「本当に除去したい生物は除去できない」と言われるが、それでもデッキ構築の根幹に続唱と言うメカニズムを取り入れているジャンドにおいて、採用しない理由としては弱いのではないか。
ただ、《瀝青破/Bituminous Blast(ARB)》を4点火力として評価するとかなり重いスペルである事は確かで、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》と比較してもプランが立てにくい感はある。
不採用のデッキはその分《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander(M10)》や《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon(ALA)》が多めに取られていて、アドバンテージ面では《瀝青破/Bituminous Blast(ARB)》を埋めている。
次に《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》について。
僕は浅い経験の中ではあるが、《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》が欲しいと思ったタイミングはほとんどなく、特に後手において運用が非常に難しいので《不屈の自然/Rampant Growth(M10)》を採用しないのならば、《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》を採用しなくても良い様に思える。
かつて《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》はローウィンブロック期の緑黒エルフで猛威を奮ったが、緑黒エルフはマナ基盤とマナ加速がしっかりしており、《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher(LRW)》《傲慢な完全者/Imperious Perfect(LRW)》などでビートする事が出来た上、《不敬の命令/Profane Command(LRW)》と言うフィニッシュ手段もあり《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》を非常に強く使う事が出来た。
最近では一時期のように《瀝青破/Bituminous Blast(ARB)》《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon(ALA)》を4枚ずつ採用しているデッキも減っているので、《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》のアンタップからつながるものも、特に多い様には思えない。
今回のデッキ群では《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》と各種ミシュラランドが採用されているので、若干扱いやすくはなっているのだろうが・・・。
他の部分ではFrancesco Cipolleschi の《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk(ZEN)》が異彩を放つ。
彼は同時に《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon(ALA)》全抜きと言う暴挙にも踏み切っている。
個人的にはとても信じられないが、結果はGPベスト8と言う輝かしいもの。
一見すると赤黒バーン相手に活躍しそうだが、そうそう生き残るとも思えない。
さらにジャンド同士でも除去が足りないなどと言う事は無さそうだが・・・。
これがただの異端で終わるか、それともジャンドが新しい分岐点に立っているのか興味深いところである。
と言うか《バジリスクの首輪/Basilisk Collar(WWK)》ではダメだったんだろうか・・・。
サイドボードはそれぞれ一般的なものを使っていて、差異はあるものの、突飛と思えるものはない。
強いて言えば、1名を除けば赤対策と思えるものをとっていない。
追加の除去は《死の印/Deathmark(M10)》が大半だ。
これは主にバントや、ナヤにサイドインされる事になるのだろうが、《破滅の刃/Doom Blade(M10)》ではいけないのだろうか。
素人考えだが、インスタント除去をサイドボードに積めるのは、赤単や赤黒にインスタントの除去を増やせると言う意味で、効果があるような気がするのだが。
・・・一度は誰もが考えて、結局通り過ぎた道を辿っているような気がするなw
次にバント。
バントと言えばZvi Mowshowitzが持ち込んだバントを想起するが、基本的なカード選択や構築はほとんど同じだろうと思われる。
往年のファイアーズさながらのマナ基盤で、《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》まで含めると30枚をゆうに越えてしまう。
その内の7枚はミシュラランドだし、《最高の時/Finest Hour(ARB)》や《数多のラフィーク/Rafiq of the Many(ALA)》が機能していれば、生物は何でも良いのかも知れない。
それにしても尖ったデッキで《エメリアの天使/Emeria Angel(ZEN)》すら採用されていない。
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》は恐らくだが、装備品の性質が《数多のラフィーク/Rafiq of the Many(ALA)》と《最高の時/Finest Hour(ARB)》と被るので却下され、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》なんかは入っていると強そうだが、調整の結果として入っていないのだろう。
GPで結果を残すようなデッキが調整されていないはずがない。
が、このデッキが強いのかどうかは正直解らない。
ブンブンすれば強そうなのは、強そうなのだが。
7枚入っているミシュラランドが引きすぎたマナは処理してくれるんだろうか。
メインボードを理解していないので、サイドボードを理解できるはずも無く。
《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》は何にサイドインするのか。
《危害のあり方/Harm’s Way(M10)》はどう使うのか。
要勉強である。
最後にナヤ。
これはWWKで《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》と《バジリスクの首輪/Basilisk Collar(WWK)》そして各種ミシュラランドを得た。
さらにこのデッキには《地盤の際/Tectonic Edge(WWK)》が入っている。
《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》からのオプションの1つだが、ベスト8に入ったデッキ全てにミシュラランドが搭載されいる事を考えると、マナ基盤に問題がなければ、非常に有効だろう。
ジャンドほど露骨ではないが、全体的にカードアドバンテージを獲得できるデッキ構成になっており、継戦能力はジャンドに引けをとらない。
ミシュラランドの起動や装備品の装備にマナを使う事が出来るため、全体的にデッキが軽いとは言えない構成な事とあわせて土地24枚+マナ生物が6枚。
上記のバントと比較すると少なく思えるが、これでもデッキの半分がマナである。
以下にバントがマナだらけで構成されているかが判ろうと言う物。
そんな構成を可能にしているのが賛美付きの《貴族の教主/Noble Hierarch(CON)》であり、各種ミシュラランドなのである。
話をナヤに戻すと、このデッキのメインエンジンは《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos(ALA)》と《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》と《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》
《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos(ALA)》は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》ほどのテンポを得る事は出来ないが、持ってくるカードを選択する事ができるため、遥かにプランが立てやすい。
単純に考えて、プレイできれば3対1のアドバンテージを確約するのは強力以外の何物でもない。それが4マナとは破格である。
ナヤのジャンドに対するゲームプランは、より多くのカードアドバンテージを獲得する方向に向いている。
これは赤黒が速度でジャンドに勝とうとしているのとは対称的だ。
赤黒のプランが電撃戦なら、ナヤのプランは人海戦術だと言える。
それを可能にしているのが、前述のメインエンジンと、マナ基盤である。
ジャンドが続唱に特化し、その根幹にランダム要素を内包している事と比較するとナヤはプランが立てやすく、非常に好みだ。
メインボードの構成を見ていくと環境の5マナ最強生物である《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》は1枚のみ。
前環境のとにかく除去しなければならない生物を連打して《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》に向く除去を無くす、と言う方向性とは一線を画す様だ。
もしくは装備品の影響で、生物ならば何でも除去しなければならなくなるのかも知れない。
サイドボードには追加の装備品と《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》
《バジリスクの首輪/Basilisk Collar(WWK)》とのコンボで相手を封殺する《狡猾な火花魔道士/Cunning Sparkmage(WWK)》
それからやっぱり《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》
前述のバントのサイドボードにも用意されていた。
どうやら《バジリスクの首輪/Basilisk Collar(WWK)》などの装備品を割るために用意されているようだ。
今回のベスト8を見る限り、やっぱり《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》は強いなぁ・・・と言う当たり前の感想しか出てこない。
世界大会より前は、世界は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》と《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》を中心に回っていた。
WWK後は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》と《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》を中心に回ると思っていたが今回のベスト8に《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》の姿はない。
《熟考漂い/Mulldrifter(LRW)》以来、カードアドバンテージの獲得は、スペルより生物によってなされる様になってきた感がある。
《熟考漂い/Mulldrifter(LRW)》以前は、《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》があり、《熟慮/Think Twice(TSP)》があり、《神秘の指導/Mystical Teachings(TSP)》があった。
《熟考漂い/Mulldrifter(LRW)》後は《目覚ましヒバリ/Reveillark(MOR)》があり、《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos(ALA)》があり、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》がある。
ジャンドやナヤの強さは、相手によって、自分のゲームプランを変えられるその柔軟性にあると思う。
それを支えているのが、比較的低コストで、高い打点をを持ち、カードアドバンテージを与えてくれる優秀な生物たちだ。
そこに各種ミシュラランドが加わり、強固なマナ基盤と継戦能力を与えた。
WWKで《ハリマーの深み/Halimar Depths(WWK)》
《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice(WWK)》
《司令官の頌歌/Marshal’s Anthem(WWK)》
《天界の列柱/Celestial Colonnade(WWK)》
《宝探し/Treasure Hunt(WWK)》
そしてもちろん《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》を手に入れた、オールドライクな青白コントロールデッキが復権する様な事はありえるだろうか。
生物の優秀さと比較すると、スペルのアドバンテージカードは、不器用であったり、重かったりする。
だが、環境の最後には、いつもストロングスタイルのコントロールデッキが花開くものである。
今後のメタゲームはジャンドやナヤを中心に、いや《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》を中心に回っていくだろうが、一人のコントロール好きとして、オールドライクなスペル中心のコントロールデッキの復権を祈っている。
環境初心者の僕が、現在の勝ち組は何か、またそれは何故なのかを知る良い機会である。
そんな訳で、GPブリュッセルのベスト8のデッキを見ていく事にした。
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/gpbru10/top8decks
今回のエントリは、スタンダードに関してあまり知識がなく、経験にも乏しいプレイヤーからの目線で書いていく事となる。
既に世間一般では答えが出ている、ないしは環境に対する無知丸出しの話題になってしまうかも知れない。
御一笑頂くと共に、環境を理解するための助言など頂ければなお幸いだ。
まずベスト8の内訳は
ジャンド 5名
バント 2名
ナヤ 1名
である。
アラーラ限定構築でも猛威を振るったジャンドの直系の子孫たちが半数以上を占める。
それ以外は世界選手権でZvi Mowshowitzが持ち込んだ形とほぼ同じ形のバント。
それからこちらも世界選手権で活躍したナヤだ。
ジャンドが5名と言っても完全に同一と言う訳ではない。
除去や生物構成、それからサイドボードには差異が見られる。
しかし同時に同一の要素も見られる。
大きくは《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARBの採用と《不屈の自然/Rampant Growth(M10)》の不採用だ。
《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》はWWKで各種ミシュラランドが登場したため、デッキの継戦能力が向上し、ビートしやすくなったために採用されたと考える。
世界選手権では土地26~27枚に加えて《不屈の自然/Rampant Growth(M10)》と《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》採用するタイプが存在したが、今回はSteve Bernsteinがその形式を継承するのみ。
個人的には、スタンダードはリミテッドと違い、自分のデッキに入れるカードを任意に選べるのだから強いカードは4枚入れるべきだと考える。
特に《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》や《不屈の自然/Rampant Growth(M10)》の様に、コストが軽く、序盤に強いカードはそうするべきだろう。
それ以外の差異は《瀝青破/Bituminous Blast(ARB)》や《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》の採用と不採用。
《瀝青破/Bituminous Blast(ARB)》は強力な続唱スペルで、特にジャンド同系において《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon(ALA)》に対抗できる数少ないカードだ。
しばしば5マナと言うコストを取り上げられて「本当に除去したい生物は除去できない」と言われるが、それでもデッキ構築の根幹に続唱と言うメカニズムを取り入れているジャンドにおいて、採用しない理由としては弱いのではないか。
ただ、《瀝青破/Bituminous Blast(ARB)》を4点火力として評価するとかなり重いスペルである事は確かで、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》と比較してもプランが立てにくい感はある。
不採用のデッキはその分《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander(M10)》や《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon(ALA)》が多めに取られていて、アドバンテージ面では《瀝青破/Bituminous Blast(ARB)》を埋めている。
次に《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》について。
僕は浅い経験の中ではあるが、《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》が欲しいと思ったタイミングはほとんどなく、特に後手において運用が非常に難しいので《不屈の自然/Rampant Growth(M10)》を採用しないのならば、《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》を採用しなくても良い様に思える。
かつて《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》はローウィンブロック期の緑黒エルフで猛威を奮ったが、緑黒エルフはマナ基盤とマナ加速がしっかりしており、《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher(LRW)》《傲慢な完全者/Imperious Perfect(LRW)》などでビートする事が出来た上、《不敬の命令/Profane Command(LRW)》と言うフィニッシュ手段もあり《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》を非常に強く使う事が出来た。
最近では一時期のように《瀝青破/Bituminous Blast(ARB)》《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon(ALA)》を4枚ずつ採用しているデッキも減っているので、《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》のアンタップからつながるものも、特に多い様には思えない。
今回のデッキ群では《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》と各種ミシュラランドが採用されているので、若干扱いやすくはなっているのだろうが・・・。
他の部分ではFrancesco Cipolleschi の《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk(ZEN)》が異彩を放つ。
彼は同時に《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon(ALA)》全抜きと言う暴挙にも踏み切っている。
個人的にはとても信じられないが、結果はGPベスト8と言う輝かしいもの。
一見すると赤黒バーン相手に活躍しそうだが、そうそう生き残るとも思えない。
さらにジャンド同士でも除去が足りないなどと言う事は無さそうだが・・・。
これがただの異端で終わるか、それともジャンドが新しい分岐点に立っているのか興味深いところである。
と言うか《バジリスクの首輪/Basilisk Collar(WWK)》ではダメだったんだろうか・・・。
サイドボードはそれぞれ一般的なものを使っていて、差異はあるものの、突飛と思えるものはない。
強いて言えば、1名を除けば赤対策と思えるものをとっていない。
追加の除去は《死の印/Deathmark(M10)》が大半だ。
これは主にバントや、ナヤにサイドインされる事になるのだろうが、《破滅の刃/Doom Blade(M10)》ではいけないのだろうか。
素人考えだが、インスタント除去をサイドボードに積めるのは、赤単や赤黒にインスタントの除去を増やせると言う意味で、効果があるような気がするのだが。
・・・一度は誰もが考えて、結局通り過ぎた道を辿っているような気がするなw
次にバント。
バントと言えばZvi Mowshowitzが持ち込んだバントを想起するが、基本的なカード選択や構築はほとんど同じだろうと思われる。
往年のファイアーズさながらのマナ基盤で、《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》まで含めると30枚をゆうに越えてしまう。
その内の7枚はミシュラランドだし、《最高の時/Finest Hour(ARB)》や《数多のラフィーク/Rafiq of the Many(ALA)》が機能していれば、生物は何でも良いのかも知れない。
それにしても尖ったデッキで《エメリアの天使/Emeria Angel(ZEN)》すら採用されていない。
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》は恐らくだが、装備品の性質が《数多のラフィーク/Rafiq of the Many(ALA)》と《最高の時/Finest Hour(ARB)》と被るので却下され、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》なんかは入っていると強そうだが、調整の結果として入っていないのだろう。
GPで結果を残すようなデッキが調整されていないはずがない。
が、このデッキが強いのかどうかは正直解らない。
ブンブンすれば強そうなのは、強そうなのだが。
7枚入っているミシュラランドが引きすぎたマナは処理してくれるんだろうか。
メインボードを理解していないので、サイドボードを理解できるはずも無く。
《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》は何にサイドインするのか。
《危害のあり方/Harm’s Way(M10)》はどう使うのか。
要勉強である。
最後にナヤ。
これはWWKで《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》と《バジリスクの首輪/Basilisk Collar(WWK)》そして各種ミシュラランドを得た。
さらにこのデッキには《地盤の際/Tectonic Edge(WWK)》が入っている。
《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary(CON)》からのオプションの1つだが、ベスト8に入ったデッキ全てにミシュラランドが搭載されいる事を考えると、マナ基盤に問題がなければ、非常に有効だろう。
ジャンドほど露骨ではないが、全体的にカードアドバンテージを獲得できるデッキ構成になっており、継戦能力はジャンドに引けをとらない。
ミシュラランドの起動や装備品の装備にマナを使う事が出来るため、全体的にデッキが軽いとは言えない構成な事とあわせて土地24枚+マナ生物が6枚。
上記のバントと比較すると少なく思えるが、これでもデッキの半分がマナである。
以下にバントがマナだらけで構成されているかが判ろうと言う物。
そんな構成を可能にしているのが賛美付きの《貴族の教主/Noble Hierarch(CON)》であり、各種ミシュラランドなのである。
話をナヤに戻すと、このデッキのメインエンジンは《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos(ALA)》と《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》と《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》
《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos(ALA)》は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》ほどのテンポを得る事は出来ないが、持ってくるカードを選択する事ができるため、遥かにプランが立てやすい。
単純に考えて、プレイできれば3対1のアドバンテージを確約するのは強力以外の何物でもない。それが4マナとは破格である。
ナヤのジャンドに対するゲームプランは、より多くのカードアドバンテージを獲得する方向に向いている。
これは赤黒が速度でジャンドに勝とうとしているのとは対称的だ。
赤黒のプランが電撃戦なら、ナヤのプランは人海戦術だと言える。
それを可能にしているのが、前述のメインエンジンと、マナ基盤である。
ジャンドが続唱に特化し、その根幹にランダム要素を内包している事と比較するとナヤはプランが立てやすく、非常に好みだ。
メインボードの構成を見ていくと環境の5マナ最強生物である《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》は1枚のみ。
前環境のとにかく除去しなければならない生物を連打して《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》に向く除去を無くす、と言う方向性とは一線を画す様だ。
もしくは装備品の影響で、生物ならば何でも除去しなければならなくなるのかも知れない。
サイドボードには追加の装備品と《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》
《バジリスクの首輪/Basilisk Collar(WWK)》とのコンボで相手を封殺する《狡猾な火花魔道士/Cunning Sparkmage(WWK)》
それからやっぱり《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》
前述のバントのサイドボードにも用意されていた。
どうやら《バジリスクの首輪/Basilisk Collar(WWK)》などの装備品を割るために用意されているようだ。
今回のベスト8を見る限り、やっぱり《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》は強いなぁ・・・と言う当たり前の感想しか出てこない。
世界大会より前は、世界は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》と《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》を中心に回っていた。
WWK後は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》と《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》を中心に回ると思っていたが今回のベスト8に《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》の姿はない。
《熟考漂い/Mulldrifter(LRW)》以来、カードアドバンテージの獲得は、スペルより生物によってなされる様になってきた感がある。
《熟考漂い/Mulldrifter(LRW)》以前は、《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》があり、《熟慮/Think Twice(TSP)》があり、《神秘の指導/Mystical Teachings(TSP)》があった。
《熟考漂い/Mulldrifter(LRW)》後は《目覚ましヒバリ/Reveillark(MOR)》があり、《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos(ALA)》があり、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》がある。
ジャンドやナヤの強さは、相手によって、自分のゲームプランを変えられるその柔軟性にあると思う。
それを支えているのが、比較的低コストで、高い打点をを持ち、カードアドバンテージを与えてくれる優秀な生物たちだ。
そこに各種ミシュラランドが加わり、強固なマナ基盤と継戦能力を与えた。
WWKで《ハリマーの深み/Halimar Depths(WWK)》
《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice(WWK)》
《司令官の頌歌/Marshal’s Anthem(WWK)》
《天界の列柱/Celestial Colonnade(WWK)》
《宝探し/Treasure Hunt(WWK)》
そしてもちろん《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》を手に入れた、オールドライクな青白コントロールデッキが復権する様な事はありえるだろうか。
生物の優秀さと比較すると、スペルのアドバンテージカードは、不器用であったり、重かったりする。
だが、環境の最後には、いつもストロングスタイルのコントロールデッキが花開くものである。
今後のメタゲームはジャンドやナヤを中心に、いや《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》を中心に回っていくだろうが、一人のコントロール好きとして、オールドライクなスペル中心のコントロールデッキの復権を祈っている。
コメント
・サイドの死の印について
自分もサイドには死の印を入れていたのですが、やはりミシュラランドに対応ができるということで、破滅の刃のほうが融通が利いていいのではないかという場面がとても多かったです。
終止を入れるという手段も考えられますが、破滅の刃の場合は最近見かけるコーの火歩きなどにも対応できるという点も大きいですね。
拙い一個人の意見ですが少しでも参考になれば幸いです。
はじめまして。非常に参考になりました。
自分もサイドに死の印は4積みです。
これは聖威の騎士など、やはり白絡みに対処するためです。
破滅の刃でもいいんですが、ジャンドでプレイするときには
マナを余らせる事が自分的に少ないので。
少しでもお役にたてれば。
リンクさせて頂きました。よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
確かに、ミシュラランドに対応できると言うのは大きいですね。
そうなるとやはりネックはコストだと言う事になるんでしょうか。
ジャンドは大量のタップインランドを抱えている訳で、序盤の1マナが優先されたのかな・・・?
《貴族の教主/Noble Hierarch(CON)》や《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》に対応するのに、《死の印/Deathmark(M10)》でないと間に合わないのかも知れませんね。
個人的には、序盤から除去を使ってしまうと、除去しなければいけない生物が除去できないと言う状況になりかねない事から、最序盤に除去を使ってしまって良いのか気になるところですが、決勝のジャンドvsバント戦では、ジャンド側が序盤の《極楽鳥/Birds of Paradise(M10)》に《死の印/Deathmark(M10)》を使っていた様ですから、そう言うゲームプランを立てるのなら、《死の印/Deathmark(M10)》を優先する理由の1つになりそうです。
>さんたさん
こんばんは。初めまして。
なるほど。やはり序盤から積極的に除去をして・・・と言うプランでしょうか。
個人的には、相手にもよりますが、短期決戦なら《死の印/Deathmark(M10)》が、中・長期戦なら《破滅の刃/Doom Blade(M10)》が適役なのかなと思うようになりました。
特にナヤやバントのマナ生物に単体除去を使ってしまって良いのかは難しいところなんじゃないかなと思います。
出来る事なら単体除去は取っておいて、マナ生物は《ジャンドの魔除け/Jund Charm(ALA)》などの全体除去で対処したいところですが、実際には難しいのかも知れません。
リンクして頂いてありがとうございます。
こちらもリンクさせて頂きました。よろしくお願いします。