3月20日はMO内でコモンスタンダードのトーナメントが開催される。
情報の詳細はこちら。arthfingさんのHPに。
http://bastermtg.blog117.fc2.com/

コモンスタンダードとは、その名の通り、スタンダードで使用可能なコモンだけで構築を行うフォーマットである。
「コモンだけ」と言う特殊な制約を受け、独自のメタゲームが形成されている。
前環境に置いて支配的な地位を占めていたのは《冒険者の装具/Adventuring Gear(ZEN)》をキーカードとした上陸デッキだ。
ビートか、コントロールかと言う構図においてはビート側の圧勝に終わったと言える。

その環境はWWK参入後、どの様に変化するのか。
まずは各色が得たカードを列挙して行こう。

白が手に入れたものは
《巣立つグリフィン/Fledgling Griffin(WWK)》
《兵員への参加/Join the Ranks(WWK)》
《疲弊の休息/Rest for the Weary(WWK)》
《セジーリのステップ/Sejiri Steppe(WWK)》

一応《イオナの裁き/Iona’s Judgment(WWK)》と言うユーティリティもあるが、いかんせんコストが重すぎる。
《湿地を縫う者/Marsh Threader(WWK)》も黒が環境の主役と言う訳ではないため、インパクトは小さいだろう。

前環境で隆盛を誇ったNayaLandfallに《巣立つグリフィン/Fledgling Griffin(WWK)》《セジーリのステップ/Sejiri Steppe(WWK)》が採用される可能性があるが、それぞれ《板金鎧の土百足/Plated Geopede(ZEN)》《ぐらつく峰/Teetering Peaks(ZEN)》を押しのけるほどの性能とは言えない。
が、白赤上陸においては採用される可能性がある。

《兵員への参加/Join the Ranks(WWK)》はもちろん同盟者デッキ向け。
コスト4と重めである事を考えると、見合った効果を得られるほど生物を並べられる環境なのかと言う事が問われる。
そして残念ながら、前環境はその様な環境ではなかった。

《疲弊の休息/Rest for the Weary(WWK)》は《陽の泉の探検/Sunspring Expedition(ZEN)》のほぼ上位互換。
問題なくそのまま入れ替わるだろう。

青が手に入れたものは
《上天の貿易風/AEther Tradewinds(WWK)》
《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper(WWK)》
《ハリマーの採掘者/Halimar Excavator(WWK)》
《ハリマーの深み/Halimar Depths(WWK)》
《宝探し/Treasure Hunt(WWK)》
《深遠の謎/Mysteries of the Deep(WWK)》
《サラカーの消し去り/Surrakar Banisher(WWK)》
《風のゼンディコン/Wind Zendikon(WWK)》

因みにコモンは各色10種類である。そう考えると青が得たものは数多い。
だが、それぞれ性格が異なるため、青を使ったデッキが単純に強化されるかは未知数だ。

《上天の貿易風/AEther Tradewinds(WWK)》は以前見られた《命拾い/Narrow Escape(ZEN)》《未達への旅/Journey to Nowhere(ZEN)》コンボの追加要素。
以前より柔軟性のあるアクションが取れる様になった。

《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper(WWK)》は青期待のブロッカー。
殴ってくる生物がほぼ上陸持ちか《冒険者の装具/Adventuring Gear(ZEN)》で武装しているため、単体でブロッカーとして機能するとは言えないものの、複合的に脅威の排除を行えば十分活躍できそうだ。
それにブロック専用の要素はデッキに入れ辛いが、状況が整えば《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper(WWK)》は優秀なダメージソースになる。

《ハリマーの採掘者/Halimar Excavator(WWK)》は環境的に除去されそう。
だが、相手のデッキが全ての《オンドゥの僧侶/Ondu Cleric(ZEN)》と《ハリマーの採掘者/Halimar Excavator(WWK)》と《マキンディの盾の仲間/Makindi Shieldmate(ZEN)》を排除するのは困難だ。

《ハリマーの深み/Halimar Depths(WWK)》
《宝探し/Treasure Hunt(WWK)》
《深遠の謎/Mysteries of the Deep(WWK)》

今まで青の最良のドロースペルは《急使の薬包/Courier’s Capsule(ALA)》か《予言/Divination(M10)》だった。
上記3種類は、それぞれスロット、コスト、引ける枚数で十分デッキに入り得る。

《サラカーの消し去り/Surrakar Banisher(WWK)》は追加の《セドラクシスの錬金術師/Sedraxis Alchemist(CON)》として。
コストが重く、使用可能なタイミングが微妙なためデッキに入るかどうかは未知数だ。

《風のゼンディコン/Wind Zendikon(WWK)》
2マナ2/2飛行・速攻と聞くと非常に強そう。
実際デッキ次第では十分入り得るが《コーの空漁師/Kor Skyfisher(ZEN)》はガンだ。

黒が手に入れたものは・・・えっと。何かあるかな。
単色/準単色で使われる《ぬかるみの代価/Mire’s Toll(WWK)》
以外はあまり魅力的ではないと思う。

赤が手に入れたものは《焼尽の猛火/Searing Blaze(WWK)》
それからニッチな所では《乱動する地形/Roiling Terrain(WWK)》か。

《焼尽の猛火/Searing Blaze(WWK)》はこれから良く見る事になるだろう呪文で、赤黒、赤白、ステロイドでの運用が可能だ。
上陸持ちのスペルであるため、若干赤黒では使いにくいかも知れない。
《国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger(M10)》《コーの空漁師/Kor Skyfisher(ZEN)》が自然に入る緑や白ではそれなりに使いやすいはずだ。

緑が手に入れたものは《自然の要求/Nature’s Claim(WWK)》と《地うねり/Groundswell(WWK)》それから《灰色革の狩人/Graypelt Hunter(WWK)》か。

先の2つは《帰化/Naturalize(M10)》《巨森の蔦/Vines of Vastwood(ZEN)》の存在を考えると採用されるかどうかは未知数だ。
だが、環境に存在するだけで、相手がケアせざるを得ない状況と言うものは存在する。
《灰色革の狩人/Graypelt Hunter(WWK)》は同盟者次第だが、トランプルは結構重要だ。

アーティファクトと土地からは《巡礼者の目/Pilgrim’s Eye(WWK)》と《流砂/Quicksand(WWK)》
前者は緑を含まない多色デッキが成立しやすくなる。
とは言え今までも《天球儀/Armillary Sphere(CON)》は存在した訳だから、実際はどうなるのだろうか。
例えば白黒赤なんかは《巡礼者の目/Pilgrim’s Eye(WWK)》はかなり重宝しそうだ。

《流砂/Quicksand(WWK)》は2色、例えば白青のコントロール向け。
もしくは黒単コントロールには朗報か?
結局《冒険者の装具/Adventuring Gear(ZEN)》の所為で《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander(CON)》は除去できない気がするが・・・。

こうやって見ていくと、ビート系が純粋に手に入れたものは《焼尽の猛火/Searing Blaze(WWK)》のみ。
これも赤のダブルシンボルを要求するため、前環境のようなナヤカラーの上陸はマナ構成が一層難しくなる。

逆にコントロール系の得た物はそれなりにある。
《疲弊の休息/Rest for the Weary(WWK)》
《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper(WWK)》
《巡礼者の目/Pilgrim’s Eye(WWK)》
《ハリマーの深み/Halimar Depths(WWK)》
《宝探し/Treasure Hunt(WWK)》
《深遠の謎/Mysteries of the Deep(WWK)》

これが、上陸と装備品と言うビート側に有利に働いていた要素に匹敵するかと言うと、そうとは言えないだろう。
結局、コントロール側の抱える問題と言うのは、使用可能なレベルの全体除去の不在であり、効率的なドローカードの不在なのだ。
今回新しく加入した青の3枚が、ドローの問題を解決する要素はあるものの《熟考漂い/Mulldrifter(LRW)》ほど強いかと言うとそんな事はないだろう。

今回大幅に選択肢の増えた同盟者はどうなるだろう。
特に青白のライブラリ破壊重視のデッキの動向は気になるところだが、ここまで火力が充実した環境で、4枚の《ハリマーの採掘者/Halimar Excavator(WWK)》を守り通すのは至難の業だろう。
だが、白青黒ならば《グレイブディガー/Gravedigger(M10)》を筆頭に再利用が可能なので、強力な戦略である可能性はある。
コントロール対ビートの構図に、コンボ要素を持つデッキが参入する事は環境を面白くする。
追加されたカードを見るだけだと、前環境に続いてビート戦略が優位に立つ事になりそうだ。

最後にIsland Walker様にて公開されているフルコモン構築戦(=コモンスタンダード)の結果を。
下記リンクに大会参加者18名全てのデッキがサイドボード込みで公開されている。
http://islandwalker.at.infoseek.co.jp/report/10_03/10_03_14.html

特に注目したいのがそれぞれ4-1と言う成績を上げられた1位の緑黒デッキと4位の青白デッキ。
緑黒は《命取りの出家蜘蛛/Deadly Recluse(M10)》と《グレイブディガー/Gravedigger(M10)》のラインが非常に固そうだ。
このデッキには《野蛮な影法師/Savage Silhouette(ZEN)》が搭載されており、これを越えられないデッキはとことん越えられない。
MO内のメタゲームを考えるならこのスロットに《巨大蠍/Giant Scorpion(ZEN)》を投入するとより適応できそうだ。
《カビのシャンブラー/Mold Shambler(ZEN)》と《心臓刺しの蚊/Heartstabber Mosquito(ZEN)》はビート相手に序盤/中盤を押さえ込んだ後の優位を揺ぎ無いものにするだろう。

4位の青白は《忘却の輪/Oblivion Ring(ALA)》と《真面目な捧げ物/Solemn Offering(M10)》で様々な脅威に対処する。
《取り消し/Cancel(ZEN)》をすり抜けてしまった脅威に上手く対処する事が出来れば《器用な決闘者/Deft Duelist(ALA)》と《方解石のカミツキガメ/Calcite Snapper(WWK)》を乗り越えるのは容易ではない。

コモンスタンダードは、その特殊な制約があるために、通常のスタンダードとは異なった環境になっている。
しかし、通常のスタンダードに負けず、楽しく奥深いものだ。
もし、貴方がMOプレイヤーなら、大会に参加するのに必要なのは75枚のコモンと、アイデアだけ。
ぜひ一度参加されてみてはいかがだろうか。

コメント

Fの人
2010年3月16日23:25

こんばんわ。
前回は日にちを勘違いして参加できなかったため、今度こそ!と思っていたのですが、20日は開始時間に帰宅できるかどうかが非常にあやしい(むしろ無理っぽい)ので今回も不参加になってしまいそうな感じです( ;∀;)カナシイナー

HAMA研の主水(もんど)
HAMA研の主水(もんど)
2010年3月17日0:14

かなり面白い上にお安く済むので実際にお勧めですね。
あと、土地に関しては《カルニの庭/Khalni Garden》がやり手です。
上陸クリーチャーは1回止めればそれだけ息切れが近づくし、《コーの空漁師/Kor Skyfisher》等での再利用が可能。しかも《野生のナカティル/Wild Nacatl》の成長を邪魔しない、と予想以上に使える子でした。
当日勇気を出して採用してればと後悔することしきりです。

kaenbin
2010年3月17日1:33

自分も参加したいのですがいかんせん時間的な折り合いが・・・
焼尽の猛火も入ったのでこんなだるいかんじのデッキも作れますね。



4Burst Lightning
3Doom Blade
3Lava Axe
4Lightning Bolt
4Magma Spray
4Quenchable Fire
4Searing Blaze
4Seismic Strike
4Spire Barrage


3Grixis Panorama
2Swamp
4Terramorphic Expanse
17Mountain

bun
2010年3月17日19:31

>Fの人さん
あらら。残念です。
またタイミングが合いましたら是非。

>HAMA研の主水さん
構築に必要なカードが全てコモンなので、参入障壁がほとんど無いのは良いですね。

>《カルニの庭/Khalni Garden(WWK)》
確かに!
コモンスタンダードは生物同士の殴りあいが基本ですから、かなり強そうです。

>kaenbinさん
除去単・・・と思いきやフルバーンですね。
赤以外の除去が不要敗になるので、メインはかなり強そうです。
《焼尽の猛火/Searing Blaze(WWK)》と言い《噴出の稲妻/Burst Lightning(ZEN)》《稲妻/Lightning Bolt(M10)》と言い、昨今の火力は強力ですね。
bun

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