MOでWWKのプレリリースを逃してしまい、もう待ちきれない!と言う状態。
しかし冷静になると仕事が詰まっている状態なので、無事にプレイできるのかは微妙なところ。
昨日のエントリについて皆様からコメントを頂いて、考える材料を頂いた。
その中で自分が暗黙の内に前提としていた事が鮮明になった。
特に周囲との差を感じたのは緑と言う色の性格とダメージレースの仕方について。

最初の違和感はLSVのピックが《ニッサに選ばれし者/Nissa’s Chosen(ZEN)》 > 《大木口の幼生/Timbermaw Larva(ZEN)》だった事。
今から考えれば解り易い防御性能評価VS攻撃性能評価。
この時点では僕は単体評価と言う基準しかなく困惑していた。

僕は基本的に緑はビートダウン担当の色だと考えている。
理由は5色の中で1番除去能力がない色だという事だ。
緑に与えられている除去能力は例外的に《オラン=リーフの出家蜘蛛/Oran-Rief Recluse(ZEN)》のキックと
《変わり樹のバジリスク/Turntimber Basilisk(ZEN)》《残忍な競争/Feral Contest(WWK)》のみである。

カードアドバンテージと言う側面から見れば、体格の良さが戦闘面でカードアドバンテージに結びつく事を考えると、黒/青に次ぐ3番手。
ユーティリティと言う面から見ると《カビのシャンブラー/Mold Shambler(ZEN)》《秘宝の破壊/Relic Crush(ZEN)》《自然の要求/Nature’s Claim(WWK)》と粒が揃っている。
生物以外への干渉力は5色の中で最良と言って良い。
時点は《コーの奉納者/Kor Sanctifiers(ZEN)》《イオナの裁き/Iona’s Judgment(WWK)》を有する白。後はバウンスがある青か。

除去能力の有無は特にリミテッドにおいては意味が大きい。
そのデッキがコントロールデッキとしてプレイされる事を考えたとき、脅威に対する対応力が問われる事になる。
長期戦を前提とするデッキは、相手の1枚のパワーカードに沈黙してはならないのである。
例えば緑単が《エメリアの天使/Emeria Angel(ZEN)》をプレイされたとしよう。
この場合もかなりクリティカルな生物だが、備えがあれば何とか《オラン=リーフの出家蜘蛛/Oran-Rief Recluse(ZEN)》キックで対処する事ができる。
ではそれが《潮汐を作るもの、ロートス/Lorthos, the Tidemaker(ZEN)》だったら?
《ゲトの血の長、カリタス/Kalitas, Bloodchief of Ghet(ZEN)》だったら?
その場合は文字通り、死あるのみである。
レアリティを考慮すると《マーフォークの海忍び/Merfolk Seastalkers(ZEN)》も緑にとって封殺されかねない頭痛の種である。

その他、除去はダメージコントロールとしての役割も果たす。
ゲームスピードの減速が成されなければコントロールが有利になる長期戦に持ち込む事が出来ない。
このダメージコントロールと言う点は緑は《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》や高タフネスの生物を使って解決を図っている。
逆に言うと軽めで、かつ高タフネスの生物か《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》が居なければコントロール系の緑を構築する事は出来ない。
この点で、LSVのピックを考慮すると1-1《エルドラージの碑/Eldrazi Monument(ZEN)》に始まり1-2《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》であり、引けばほとんど勝利の必殺レアと
ゲームをスローダウンさせる事の出来る要素を確保していた事になる。
ソートに照らせば上家のピックは《未達への旅/Journey to Nowhere(ZEN)》であり白気配である。
ヘビーな緑にタッチ白ならばデッキとして成立し得る事を考えると1-2の時点で上家から緑が許可されたと判断するのは早計だが1-3の段階で完全に緑を託された状態だ。
1-1と1-2を考慮すればコントロールデッキに向けたピックも成立しそうには思えるが・・・。

私見を述べれば、依然としてビートダウンとしてピックするべきだと思う。
ゲームを《エルドラージの碑/Eldrazi Monument(ZEN)》ありきで組み立てなくても済むからだ。
《エルドラージの碑/Eldrazi Monument(ZEN)》は強力だが、1枚のカードに戦略を依存するデッキは非常に脆い。

ゼンディカー環境の緑の特異点は《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》であり、これを機転としてダメージレースを行う場合もある。
重要なのはあくまで「場合もある」と言うところ。
上手くピックできた緑単では主役は《大木口の幼生/Timbermaw Larva(ZEN)》だ。
環境的に、プレイヤーを緑単に誘引する要素は
《大木口の幼生/Timbermaw Larva(ZEN)》
《原初の怒声/Primal Bellow(ZEN)》
《皮背のベイロス/Leatherback Baloth(WWK)》しかない。

4マナと言うコストはゲーム中盤にプレイする事が出来るコストであり、緑単の《大木口の幼生/Timbermaw Larva(ZEN)》は他の全て生物を越える打点を誇っている。
防御性能重視で評価しようと、緑の低マナ(2~3)帯が防御力が優れているかと言うとそうではない。
その点で、緑の一般的なイメージである「序盤がっちり」は実現しにくい。
青の《クラーケンの幼子/Kraken Hatchling(ZEN)》白の《マキンディの盾の仲間/Makindi Shieldmate(ZEN)》と比較すると5色の中で3番目。
青と白がきっちりと《板金鎧の土百足/Plated Geopede(ZEN)》を抑えている事を考えるとその差は大きい。

さらにゼンディカー環境では上陸の関係で攻撃側が圧倒的に有利だ。
これはゼンディカー×3パックの経験を基に評価が行われていると言う点を考えるとWWK後は若干改善されたかも知れない。
だが、WWK参入後もパワーボーナスを含む上陸が減ったとは言え、防御側に有利な要素が増えたとは言えない。
依然として《板金鎧の土百足/Plated Geopede(ZEN)》《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder(ZEN)》《天空のアジサシ/Welkin Tern(ZEN)》は止めにくいし、緑では特定のパーツを起用する事でしか防げない。

と言う事は防御的にダメージレースを行うのではなく、こちらからも積極的にマイナス方向でダメージレースをする必要があると言う事だ。
だいたいのケースにおいて、上陸→アタックと言う流れになるのだから、相手の防御も薄いはずなのである。
この事から《大木口の幼生/Timbermaw Larva(ZEN)》の打点の高さは評価に値するし、テンポを維持もしくはアドバンテージを得る事が出来る《巨森の蔦/Vines of Vastwood(ZEN)》は評価に値する。
僕が緑を使う場合は2マナ帯を高く評価する様にしているが、これは序盤にダメージレースをするためだ。
《ニッサに選ばれし者/Nissa’s Chosen(ZEN)》も同様に評価が高いが、パワー2を受け止められると言うより、攻撃時に2/2もしくは2/1では止められないと言う意味合いの方が強い。
結局緑が重いところで勝負しようとすれば周りの環境の早さもあいまって、1枚の《忌まわしい最期/Hideous End(ZEN)》で戦線が崩壊したりしやすくなるし、何よりデッキ全体が重くなると言う事はマリガン率を上昇させ、さらにマリガンに弱い構造にするという事だ。
土地が有用なリソースとして認識されるゼンディカー環境では、他の環境に比べてマリガンの影響が大きい。
上記の3点、除去能力の欠如。プール的にみて防御性能が十分ではない事。マリガンの影響。
これらを考慮すると緑のダメージレースは序盤には他の色に優位を譲らざるを得ないが、それでもある程度はマイナス方向にせざるを得ないのである。

とは言え、今まで述べた事は過去の事になりつつあるのかも知れない。
相変わらず緑に与えられた除去能力はなく、長期戦を目指した場合はパワーレアや青黒などのさらに長期戦に特化したデッキに負ける可能性はあるものの
全体としては環境は減速傾向であり、重くて強い生物も再評価される機運にある。
それらとあいまって《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》で得られるライフの点数も以前より増えているだろう。
WWKでシステムが追加されたかと言えば《狡猾な火花魔道士/Cunning Sparkmage(WWK)》が挙げられるだろうが、緑単に対する影響は薄い。
と言う事は緑はもっとコントロール寄りにピックされ、プレイされるべきなのかも知れない。

前回のエントリの最大の収穫は僕が暗黙に規定していた緑と言う色に対する再評価の機会を得たと言う事。
WWKが追加され、大幅に環境が変化したのだから、硬直的に考えて良いはずがない。
最終的な結論が、やはり緑はビートダウンを担うべきなのだと言う結論になる可能性はあるが、それはまた別の話である。
以前の経験に囚われず物事を評価するのは難しい。
だから大切なのは常に環境が変化し続けると言う事を意識する事だ。
そうすればもう一度環境を見直し、仮説を立て直し、実践によって仮説を確かめる事ができるだろう。

僕にとってMOはその為の場なのだから。

コメント

cramcram
2010年2月24日9:58

むしろ私が気になったのは、1-3「砕土」じゃなかったことでした。
鹿と相性が良く、いざという時にタッチを簡単にしてくれるカードですので、環境の減速したWWK以降の評価を高く見ていました。
それよりもニッサを上に見るというのは、未だにうまく説明できません。

bun
2010年2月24日19:23

こんばんは。

>優先順位

ピック全体を通しての傾向をみると
序盤をきちんと固められる生物 > 打点が高い生物 > その他
と言う選択で首尾一貫しています。

1-3《ニッサに選ばれし者/Nissa’s Chosen(ZEN)》> 《砕土/Harrow(ZEN)》もそうですがその後のピックでも
《オラン=リーフの出家蜘蛛/Oran-Rief Recluse(ZEN)》> 《緑織りのドルイド/Greenweaver Druid(ZEN)》であり、
《噛み付く忍び寄り/Snapping Creeper(WWK)》> 《地うねり/Groundswell(WWK)》でした。

僕も個人的には謎ピックでしたので、これを参考に自分でもやってみようと考えています。
《砕土/Harrow(ZEN)》についてはキタヤマさんが《砕土/Harrow(ZEN)》>《大木口の幼生/Timbermaw Larva(ZEN)》でピックされていたので、高く評価されているなと言う印象でした。
僕は今の所、単色志向を引き継いでいますから《大木口の幼生/Timbermaw Larva(ZEN)》>《砕土/Harrow(ZEN)》です。
キタヤマさんは他にも《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》>《巨森の蔦/Vines of Vastwood(ZEN)》と言うピックも見られますから
全体としてマナフィックスの評価が高くされているようですね。

結果を見るとLSVは3-0だった訳ですから、ピックも肯定されるべきところがあるはずです。(プレイも大きいかも知れませんが。)
判らないなりに実践してみれば、理解できる所もあるんじゃないかな?と思いますので、とりあえずやってみます。
bun

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