※このエントリはWWKドラフト未経験の人間が書いています。
お目を通される際には十分ご注意下さい。

今回は特に妄想分多め。
ゼンディカーの緑は好きだから、普段以上に個人補正がかかってるかも。Caution!
と言う事でWWKについての考察を。
今回は緑について。主にコモンを中心に考察する。

WWKの緑のプールについて触れる前に、ゼンディカーの緑を振り返ってみよう。
緑と言えば中盤からの打点の高さ。それから後ろ向きのダメージレース。
そして《巨大化/Giant Growth(M10)》だ。

環境初期。緑は最弱色と言われた。
何故か。
緑には除去がない。
緑には回避能力がない。
緑には威嚇を止める手段がない。
緑には序盤の攻撃的な生物がいない。

攻めれず。守れず。

恐らくこれが環境初期の緑のイメージだろう。
確かにゼンディカーの代表的なコモンを挙げていけば

赤には《噴出の稲妻/Burst Lightning(ZEN)》《板金鎧の土百足/Plated Geopede(ZEN)》
黒には《忌まわしい最期/Hideous End(ZEN)》《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder(ZEN)》
白には《未達への旅/Journey to Nowhere(ZEN)》《コーの空漁師/Kor Skyfisher(ZEN)》
青には《天空のアジサシ/Welkin Tern(ZEN)》《ウマーラの猛禽/Umara Raptor(ZEN)》
そして緑には《ニッサに選ばれし者/Nissa’s Chosen(ZEN)》《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》である。
明らかに他の4色が高速でダメージレースを展開する中、緑だけが浮いている。
他の色が《冒険者の装具/Adventuring Gear(ZEN)》を纏い除去と回避能力でしのぎを削る中、緑だけは別だった。
確かに《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》はやっかいだ。
だけど結局は死ぬまでの時間稼ぎに過ぎない・・・。
別ベクトルの異端児。それが環境初期の緑だった。

しかし環境が成熟するにつれ、緑は牙を研いでいく。

まず威嚇を止める為の手段として《石造りのピューマ/Stonework Puma(ZEN)
《面晶体集め/Hedron Scrabbler(ZEN)》が認知される。
次にタフネス3の重要性が認識され《オラン=リーフの出家蜘蛛/Oran-Rief Recluse(ZEN)》
《ニッサに選ばれし者/Nissa’s Chosen(ZEN)》が基本パーツに。
さらに《巨森の蔦/Vines of Vastwood(ZEN)》《カビのシャンブラー/Mold Shambler(ZEN)》で除去と生物以外のパーマネントに対応。
そして《大木口の幼生/Timbermaw Larva(ZEN)》《領地のベイロス/Territorial Baloth(ZEN)》がその爆発的な攻撃力を認められ、攻撃力を獲得。
その攻撃力を生かすために緑単に《飛翔する海崖/Soaring Seacliff(ZEN)》が投入され、
《オラン=リーフの出家蜘蛛/Oran-Rief Recluse(ZEN)》の活躍の場が広がった。

こうして環境初期、ただ死ぬまでの時間を稼ぐだけと言われた
《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》は、今は対戦相手を倒す為の時間を稼いでいる。

MOでは特に敬遠される傾向にある緑は確かに不器用で、決して使いやすい色ではないかも知れない。
だが特にシングルエリミネーションの8人ドラフトと言う特殊な環境においては「人気がない事」はただそれだけで価値がある。
そしてきちんと組み上げられた緑の攻撃に耐えるだけの正面装甲を備えたデッキはほとんど存在しないと言って良い。
多少プールが特殊だろうと、過度にドラフトされた色や複数人によって分けられた色を圧倒するくらいの力は、ほとんど独占された緑にはあるのだ。
そう。参入人数が少ない事と単色志向が強い事が緑と言う色のパワーの源泉なのである。

そしてWWKの参入。新環境にあって緑を再評価する機運が高まっている。
いよいよWWKの緑のコモンを見て行こう。まずはこれを。

地うねり/Groundswell  (緑)
インスタント WWK, コモン
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+2/+2の修整を受ける。
上陸 ― このターン、土地があなたのコントロール下で戦場に出ている場合、代わりにそのクリーチャーはターン終了時まで+4/+4の修整を受ける。

WWKで「上陸 ― このターン、土地があなたのコントロール下で戦場に出ている場合、~はターン終了時まで+X/+Xの修整を受ける。」と書かれているコモンのカードはこれを含めて2枚だけ。
もう1枚はみんな大好き「フルアーマー面晶体カスタム」こと《面晶体の流浪者/Hedron Rover》 だけだ。

これは一見《巨森の蔦/Vines of Vastwood(ZEN)》や《原初の怒声/Primal Bellow(ZEN)》の様にも見えるが《原初の怒声/Primal Bellow(ZEN)》ほど色拘束と爆発力はなく
《巨森の蔦/Vines of Vastwood(ZEN)》ほど万能性はない。
だから《地うねり/Groundswell》はそれ以下でもそれ以上でもない。単に第3の選択肢なのだ。
緑における《巨森の蔦/Vines of Vastwood(ZEN)》の重要性を考えると緑がこれを「得た」と考えるのは早計かも知れない。

東屋のエルフ/Arbor Elf  (緑)
クリーチャー — エルフ(Elf)・ドルイド(Druid) WWK, コモン
(T):森(Forest)1つを対象とし、それをアンタップする。
1/1

一刻も早く序盤を抜け出したい緑でマナ加速は重要である。
これで加速すれば上陸できる回数は増えるし《巨森を喰らうもの/Vastwood Gorger(ZEN)》といった重いところも運用可能になる。
またゼンディコンシリーズを攻防一体とする事も出来る。

灰色革の狩人/Graypelt Hunter  (3)(緑)
クリーチャー — 人間(Human)・戦士(Warrior)・同盟者(Ally) WWK, コモン
トランプル
灰色革の狩人か他の同盟者(Ally)があなたのコントロール下で戦場に出るたび、あなたは灰色革の狩人の上に+1/+1カウンターを1個置いてもよい。
2/2

緑を同盟者方向に導く新しい可能性と見るか緑の卓参加者を増やす破滅の導師と見るか。
単体でのスペックが比較的優秀であるため黒緑同盟者や赤緑同盟者と言った新しいアーキタイプを作る可能性はある。
ただし緑単にとってこれが《大木口の幼生/Timbermaw Larva(ZEN)》のポジションを埋める事は決してない。

残忍な競争/Feral Contest  (3)(緑)
ソーサリー WWK, コモン
あなたがコントロールするクリーチャー1体と、他のクリーチャー1体を対象とする。前者の上に+1/+1カウンターを1個置く。このターン、後者は可能ならば前者をブロックする。

特筆するべきカードではないが思考実験の材料として見つけた。
これが考えさせるのは「テンポ」についてである。
例えば《残忍な競争/Feral Contest》で《ニッサに選ばれし者/Nissa’s Chosen(ZEN)》を除去したとする。相対的なマナ効率で言えば2マナの損である。
しかしこれは同時に「良いビート」を追加したとも言える。
状況にもよるが「良いビート」を追加した事によって「見かけ上のテンポ」の無力化にも繋がるかも知れない。
さて。この場合僕らは《残忍な競争/Feral Contest》をどの様に評価すれば良いのだろうか。
上記の例で「テンポ」は維持できているだけだろうか。それとも「テンポ」を失っているのだろうか。この種の問題は強化型エンチャントにも当てはまる。
この件については別途エントリを書くかも知れない。

今回のサンプルデッキは、どっぷりMTG様から。

8PlayersDraft Mono Green

16《森/Forest(ZEN)》
1《巨森、オラン=リーフ/Oran-Rief, the Vastwood(ZEN)》
1《セジーリのステップ/Sejiri Steppe》

2《東屋のエルフ/Arbor Elf》
2《オラン=リーフの生き残り/Oran-Rief Survivalist(ZEN)》
2《ニッサに選ばれし者/Nissa’s Chosen(ZEN)》
2《変わり樹のバジリスク/Turntimber Basilisk(ZEN)》
1《皮背のベイロス/Leatherback Baloth》
1《灰色革の狩人/Graypelt Hunter》
1《カビのシャンブラー/Mold Shambler(ZEN)》
2《領地のベイロス/Territorial Baloth(ZEN)》
1《巨森を喰らうもの/Vastwood Gorger(ZEN)》
1《テラストドン/Terastodon》

1《原初の怒声/Primal Bellow(ZEN)》
1《巨森の蔦/Vines of Vastwood(ZEN)》
2《信頼おける山刀/Trusty Machete(ZEN)》
1《砕土/Harrow(ZEN)》
1《野蛮な影法師/Savage Silhouette(ZEN)》
1《巨森のゼンディコン/Vastwood Zendikon》

大変きれいな構成の緑単。
ゼンディカー環境までの緑単の方向性を色濃く残している。非常に好みな構成だ。
番外編として《セジーリのステップ/Sejiri Steppe》も緑単が得たものの1つ。
《飛翔する海崖/Soaring Seacliff(ZEN)》と同じくダメージを通しやすく出来る上
《麻痺の掌握/Paralyzing Grasp(ZEN)》を剥がす事も出来る。
装備品要素もきちんとあり、本来苦手な《巨大蠍/Giant Scorpion(ZEN)》を苦にしない。
懸念材料は《オラン=リーフの出家蜘蛛/Oran-Rief Recluse(ZEN)》の不在だろうか。

WWKで緑が得た物は確かにある。
主に同盟者方向で新しいアーキタイプに発展する可能性もあるだろう。
《帆凧/Kitesail》も緑にはぴったりと合っている。
ゼンディコンが環境に登場した事によって《カビのシャンブラー/Mold Shambler(ZEN)》
《秘宝の破壊/Relic Crush(ZEN)》は力を増した。
またWWK後は純粋に《板金鎧の土百足/Plated Geopede(ZEN)》や《サラカーの匪賊/Surrakar Marauder(ZEN)》《天空のアジサシ/Welkin Tern(ZEN)》が減るので緑にとっては追い風だ。
見方を変えれば今まで緑が単体で立っていた土俵にようやく他の色が下りてきたとも言える。
コモンに《流砂/Quicksand(9ED)》が採録された事や《巡礼者の目/Pilgrim’s Eye》を得た事で威嚇に対する耐性は高まった。

だが同時に失った物もまた多い。
特に《巨森の蔦/Vines of Vastwood(ZEN)》や《大木口の幼生/Timbermaw Larva(ZEN)》は代替品に乏しい。
他の要素を見れば相手の《帆凧/Kitesail》は頭痛の種だし《サラカーの消し去り/Surrakar Banisher》は厄介だ。
白を見れば安く取れるであろう《イオナの裁き/Iona’s Judgment》がある。
先ほど「得た物」の中に挙げた《流砂/Quicksand(9ED)》は相手に回すと厄介だ。
緑のダメージレースはほぼ正面突破のみであり《大木口の幼生/Timbermaw Larva(ZEN)》も死んでしまう等、その影響は大きい。

そして最重要は、他の色の弱体化による緑への参入人数増加がある。
これはWWKの緑が同盟者志向を誘引しているのとも関連している。今までの緑の強みはその不人気さにあったのだ。
WWKは「緑が得た」と言うよりは「他の色が失った」と捉える方がより的確であり、緑への参入人数の増加は単純に緑にとってマイナスだ。

今後の緑がどうなるかはかなり不透明だが、願わくば緑が「僕の一番好きな色」であり続けますように。

コメント

Fの人
2010年2月4日23:22

《帆凧/Kitesail》はリミテッド環境に与える影響が非常に大きいカードの一つだかと。
プレリリースでも良く使われているのを目にしましたが、
「なんでこいつパワーもあがっちゃうの?」
と思うほどの強さでした。

wwk参入により、装備品が大量強化されたことによる茶破壊の要求、あるいは多色同盟者の基本色として、緑人気は間違いなく上がると自分は予想してます。

bun
2010年2月5日21:17

>Fの人さん
《帆凧/Kitesail》は何故かコモンなんですよねw
《冒険者の装具/Adventuring Gear(ZEN)》を考えればコモンも妥当なのかも知れませんが・・・。

周囲の反応を見ていると、今までと比較すると参入人数が増えそうですね。
今までは卓でやらせてもらえたら普通に入っていましたけど、そうもいかなくなるのかな・・・。
《流砂/Quicksand(9ED)》とかの影響を考えると地味に《蜘蛛糸の網/Spidersilk Net(ZEN)》の点数が上がったりしないかなーと思っていますw

bun

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