「I Love You」

この言葉を「月が綺麗ですね」と訳したのは夏目漱石だったか。

日本人は古来より、言葉より雰囲気を聞き、文章より行間を読む。
古来より受け継がれてきた日本人の生きる知恵だ。

それならば。

それはドラフトにおいても然りである。
ドラフトは言葉を用いない、非言語コミュニケーションのゲームである。

それならば。

古来より脈々と受け継がれしその能力はドラフトにおいても、いやドラフトにおいてこそ、その力を発揮するだろう。

まぁそんな妄想はさておいて。今日も今日とてドラフト。

と言う訳で下記が今回のピック譜である。
http://sky.geocities.jp/wenmin0624/12-2-2009.html

さて初手候補だが・・・。何とも貧弱ラインナップである。
いわゆる下家への明確なシグナルが出せないPACK。
僕の基本方針は上家至上主義であるから最序盤から下家へのシグナルを送れない事には問題を感じない。
感じないがこれでは余りに方針が立たない気がする。
結局、候補としては
《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》
《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage(ZEN)》
《空の遺跡のドレイク/Sky Ruin Drake(ZEN)》
《崖を縫う者/Cliff Threader(ZEN)》
と言う物。
この中から流石に5マナからピックスタートはきついだろうと言う事で、《空の遺跡のドレイク/Sky Ruin Drake(ZEN)》がまず消えて《崖を縫う者/Cliff Threader(ZEN)》からどんなデッキを組んで良いのか解らず白が消える。

最終的には《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》と《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage(ZEN)》の2択になり《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage(ZEN)》を。

2手目
待望のAソートコモン抜けでかつ僕が解読できるもの。
漱石先生・・・。今なら解ります。

上家のピックにははっきりと
「吾《風乗りの長魚/Windrider Eel(ZEN)》を愛ス」
と書かれていた。
まぁ初手は上家も切るかも知れないんだけど。

3手目
《心臓刺しの蚊/Heartstabber Mosquito(ZEN)》と《コーの鉤の達人/Kor Hookmaster(ZEN)》の2択で迷いながらも《心臓刺しの蚊/Heartstabber Mosquito(ZEN)》をピック。
この後黒を引きずる事になる。

4手目
《冒険者の装具/Adventuring Gear(ZEN)》が正着な気がするが《巨大蠍/Giant Scorpion(ZEN)》を。
この時点で既に黒にかなり固執している。
経験的にこの手のピックは流れが悪くても選んだ色を継承してしまい、デッキが弱くなりがちだ。

5手目
《精神ヘドロ/Mind Sludge(ZEN)》を勇んでピック。
全体的にPACKが弱めで上家のシグナルを初手の《風乗りの長魚/Windrider Eel(ZEN)》を継承している事を前提に考えるしかない。
危険な状態である。

6手目
まー。困った。とりあえず色の合っている《不気味な発見/Grim Discovery(ZEN)》をピックしたが、どうなる事やら。

7手目
他の色に移る選択肢が無く、仕方なく《吸血鬼の一噛み/Vampire’s Bite(ZEN)》を。
こうなったら徹底的に色を絞るしかない。

8手目
遂に黒が枯渇し強制的に別の色を選ばざるを得ない。
単体評価したら《噴火滑り/Geyser Glider(ZEN)》か《コーの奉納者/Kor Sanctifiers(ZEN)》だろう。
ここで《空の遺跡のドレイク/Sky Ruin Drake(ZEN)》をピックしているのは9手目で青に乗れたら美味しいなと言う考え方だが、2手目のソートがそれを否定しているのにこの選択はなさ過ぎた。

9手目
《崖を縫う者/Cliff Threader(ZEN)》が割と明確な白の人気薄を伝えているのに《ピラニアの湿地/Piranha Marsh(ZEN)》を。
黒を絞る事しか頭になく、この時点で「強いデッキ」を作る事が難しくなる。

10手目に《風をまとう突撃/Windborne Charge(ZEN)》が取れる所を意固地に黒に拘った為《面晶体集め/Hedron Scrabbler(ZEN)》をピック。
11手目に《マキンディの盾の仲間/Makindi Shieldmate(ZEN)》と白をやっていれば美味しい順目なのだが、9、10手目の影響が大きく、カットに留まる。
その後得たものは無し。

2PACK目初手は《ヘルカイトの突撃者/Hellkite Charger(ZEN)》から。
1PACK目の経緯を踏まえて、どう考えても黒単は組みようが無くセカンドカラーを模索する。
と言う訳で一番強いものを。ピックがぐちゃった時にはとにかくカードパワーを優先する事を心がけている。
綺麗にまわっても勝てないデッキに価値はない。
とはいっても、これからの黒の流れ次第ではあるのだが。

それ以降は黒を中心としたタッチ赤ピック。
8手目の《風乗りの長魚/Windrider Eel(ZEN)》はミス。
素直に《反逆の印/Mark of Mutiny(ZEN)》だった。

3PACK目初手は《信頼おける山刀/Trusty Machete(ZEN)》から。
《審判の日/Day of Judgment(ZEN)》が非常に気になるところだが、自分のデッキが出来ておらずカットしている余裕は無い。

その後も黒赤ピックだが、5手目に《見栄え損ない/Disfigure(ZEN)》と《グール・ドラズの死霊/Guul Draz Specter(ZEN)》の2択。
スペルは足りておらず4マナ域はパンパンの状態だったが、《グール・ドラズの死霊/Guul Draz Specter(ZEN)》を。
ここも先ほど述べた様にカードパワー優先のピックである。

7手目の《殺戮の祭壇/Carnage Altar(ZEN)》は割りと真面目にデッキ投入を考慮したが結局墓地回収が《不気味な発見/Grim Discovery(ZEN)》しかない状態では採用のしようが無かった。
この時点ではほぼプールが出尽くした後であり、デッキ投入の目がほぼ無い事は理解していた。

8手目で《精神ヘドロ/Mind Sludge(ZEN)》を。
デッキが弱い時には、相手のデッキにも弱くなってもらわねばならず、勝ち手段の一つとして《ゴブリンの戦化粧/Goblin War Paint(ZEN)》よりも優先。
装備品が取れていた事も一因だ。

9手目で嬉しい《ゴブリンの近道抜け/Goblin Shortcutter(ZEN)》
11手目で《冒険者の装具/Adventuring Gear(ZEN)》を。

選択した色を意固地に継承し続けるとデッキが弱くなると言う典型的なドラフト。
1PACK目に分岐点があっただけに、残念な結果である。

MO 8-4 BR Deck

10 《沼/Swamp》
8 《山/Mountain》

1 《グール・ドラズの吸血鬼/Guul Draz Vampire》
1 《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator》
1 《板金鎧の土百足/Plated Geopede》
1 《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》
1 《面晶体集め/Hedron Scrabbler》
1 《ゴブリンの近道抜け/Goblin Shortcutter》
1 《巨大蠍/Giant Scorpion》
1 《松明投げ/Torch Slinger》
1 《ハグラのクロコダイル/Hagra Crocodile》
2 《心臓刺しの蚊/Heartstabber Mosquito》
1 《バーラ・ゲドの盗賊/Bala Ged Thief》
1 《刃牙の猪/Bladetusk Boar》
1 《グール・ドラズの死霊/Guul Draz Specter》
1 《ヘルカイトの突撃者/Hellkite Charger》

1 《信頼おける山刀/Trusty Machete》
1 《冒険者の装具/Adventuring Gear》
1 《墓所王の探索/Quest for the Gravelord》
1 《ゴブリンの戦化粧/Goblin War Paint》
1 《忌まわしい最期/Hideous End》
2 《精神ヘドロ/Mind Sludge》

何とか形になったが、決して強くは無い。

ちなみに卓配置は以下の通り。

赤黒 ← 僕
青緑
赤白
赤緑黒 同盟者
黒タッチ緑 緑要素見ず
赤青
赤白
青緑 ライブラリアウト

席配置からは失敗ではないかも知れないが1PACK目8手目か9手目から白に入っていれば違う結果になっただろうと考える。

上家が素直に青に行っているのがせめてもの救いか。

1戦目 黒タッチ緑 緑要素見ず。

GAME1
こちら先手。1t目《信頼おける山刀/Trusty Machete(ZEN)》
3t目に引いてきた《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator(ZEN)》に装備する展開。
相手4t目初動で《ニマーナの売剣/Nimana Sell-Sword(ZEN)》
その後すぐ相打ちをしてこちら《巨大蠍/Giant Scorpion(ZEN)》
相手が6t目に《マラキールの血魔女/Malakir Bloodwitch(ZEN)》を出撃させるが無事に《心臓刺しの蚊/Heartstabber Mosquito(ZEN)》キックで撃退。
その後《ヘルカイトの突撃者/Hellkite Charger(ZEN)》が除去られず、《マラキールの血魔女/Malakir Bloodwitch(ZEN)》が《不気味な発見/Grim Discovery(ZEN)》で回収されるも《心臓刺しの蚊/Heartstabber Mosquito(ZEN)》でもう一度落として勝ち。

GAME2
相手先手だがまたもゆっくりな展開で4t目《心臓刺しの蚊/Heartstabber Mosquito(ZEN)》スタート。
こちらの《精神ヘドロ/Mind Sludge(ZEN)》が直撃して勝ち。

2戦目 青緑ライブラリーアウト
こちら先手。4t目《ハグラのクロコダイル/Hagra Crocodile(ZEN)》スタートと言う何ともゆっくりだが《信頼おける山刀/Trusty Machete(ZEN)》装備で一気にライフを削り、《心臓刺しの蚊/Heartstabber Mosquito(ZEN)》キックで相手の防御網を破り勝ち。
《面晶体のカニ/Hedron Crab(ZEN)》《書庫の罠/Archive Trap(ZEN)》のトラウマセットだが押し切る事に成功した。

さて問題のサイド。いきなりkaenbinさんからのご指摘を実践するチャンスである。

とはいえ、前回はデッキが強く、サイドボードも充実だったためライブラリを厚くする事に全く問題がなかったのだが今回はデッキがデッキである。
きちんと引くところを引けないと勝てないため、あえてライブラリを増やさず。
一応削られる事を前提に《不気味な発見/Grim Discovery(ZEN)》をサイドイン。

GAME2
5t目からライブラリを《面晶体のカニ/Hedron Crab(ZEN)》に攻められるが、流石に5t目からでは遅すぎる。
結局《書庫の罠/Archive Trap(ZEN)》を打たれ、《無謀な識者/Reckless Scholar(ZEN)》でぎりぎりまで追い詰められるも相手の《無謀な識者/Reckless Scholar(ZEN)》で有効牌が引けた為勝ち。

3戦目 赤白
いつもの僕であれば喜び勇んで尻尾を振りながらSPLITなのだが、これは練習を目的としたドラフトなのである。
恐怖に震える心を押さえつけ、playを選択。

・・・maaさん。僕に力を!

GAME1
こちら先手。
《精神ヘドロ/Mind Sludge(ZEN)》で5t目に4枚捨てさせるも相手が出した《エメリアの天使/Emeria Angel(ZEN)》が強すぎて負け。

GAME2
こちら先手。
1t目《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator(ZEN)》
3t目《巨大蠍/Giant Scorpion(ZEN)》
4t目《ハグラのクロコダイル/Hagra Crocodile(ZEN)》

と言うヒャッハー!な展開だが相手の《審判の日/Day of Judgment(ZEN)》でプランが崩壊。
その後《髑髏砕きの巨人/Shatterskull Giant(ZEN)》に殴りきられる。負け。

いやはや。流石決勝。およそ別次元の強さだった。

と言う訳で3没。

こういうのを経験するとカットピックの重要性を再評価するべきだと考えられるようになる。
今回は流石に自分のデッキを作るのに精一杯だったが、これからは新しいステージでピックを見る事が出来そうだ。

何はともあれ自分のデッキが強くないとカットピックする余裕も無くなる訳で、今回の様なピックは出来る限り回避すべきだな。

コメント

nophoto
fff
2009年12月2日23:04

もし自分だったら下記な感じですね

1-2 shatterskull_giant
1-4 adventuring_gear
1-7 ruinous_minotaur
1-8 geyser_glider
1-9 akoum_refuge
1-10 goblin_bushwhacker
2-8 mark_of_mutiny
2-11 kabira_crossroads
3-7 hagra_crocodile
3-10 pillarfield_ox

maa
maa
2009年12月3日8:24

ヘドロ考えたら、山と沼の比率が間違いな気がする。どうなんかな?

toshiya k
2009年12月3日10:12

黒単でもおっしゃっている程、弱くはなかったと思います。先日「相手が強かった」とご自身で言った黒単に、そのまま自分が作れた可能性もあったかと。

「Mindless Null」など、弱いけどデッキに入る2~3マナ帯を埋めてくれる生物の出現が少なかったですが、装備品も複数枚とれてる上、「ヘドロ×2」は、かなり安定して打てそうで、「蚊」も含めて除去もそこそこあるので、安い「Hagra Crocodile」あたりがフィニッシャーというゲームプランがしっかり描けると思われます。
(出現カード的に4マナに偏っていたので、「グールドラズの死霊」はデッキにぴったりなところですが、涙を飲んで流して、「見栄え損ない」をピックなどの判断は必要ですが)

「黒単ヘドロ×2」があれば、「Day of Judgement」などのコントロールカードを持つ相手には苦手感はないでしょう。とはいえ、勝負は時の運。3勝できるかは巡り合わせによります・・・。

今回も、きちんと3戦目まで勝ち残っているので、結果的には申し分ないです。。。とくに、周囲の状況、ピックの流れを読む洞察なんかは、私のレベルを遥かに超えています。こちらも勉強させてもらってます。
でも、やっぱり、まだまだbunさんもまだ理解していない強いデッキというのは存在すると思います。ほんとうの意味でのビートダウン的なプレイングもあわせて、構築力にしていってください!!

ろせ
2009年12月3日14:18

リンクさせていただきました。MO8-4出会ったらお手柔らかにw

bun
2009年12月3日18:46

>fffさん
こんばんは。初めまして^^
コメントありがとうございます。
やっぱり1-4は《冒険者の装具/Adventuring Gear(ZEN)》ですよね。
ご指摘頂いてから気がついたんですが1-9の《ピラニアの湿地/Piranha Marsh(ZEN)》は無かったです。
既に《精神ヘドロ/Mind Sludge(ZEN)》をピックしている状態では、ほとんどの場合デッキに入らないのは明白でした。
赤黒と言う色を選択した事は良かったでしょうか。
僕としては白が本筋かなぁと考えています。

>maaさん
《精神ヘドロ/Mind Sludge(ZEN)》はx=3で撃てれば、と考えていたのですが、計算してみたら10枚では5t目に期待値が2.75枚と言う事で、足りていませんでした///

《板金鎧の土百足/Plated Geopede(ZEN)》や《ゴブリンの近道抜け/Goblin Shortcutter(ZEN)》を考えて《山/Mountain(ZEN)》を8枚投入したのですが、計算上6枚でも大丈夫らしく、《沼/Swamp(ZEN)》12の《山/Mountain(ZEN)》6ないし《松明投げ/Torch Slinger(ZEN)》にまで考慮すると《山/Mountain(ZEN)》7が適正でした。
体感で組んでしまいましたが、実際計算すると違いますね。
ご指摘ありがとうございます。

>toshiya kさん
黒単は1pack目に《愚鈍な虚身/Mindless Null(ZEN)》と《魂の階段の探検/Soul Stair Expedition(ZEN)》がどちらも1周しなかった事を踏まえて考慮しなかったのですが、ご指摘を受けて改めて見返した結果、黒単でも組めていますね。
その場合、《精神ヘドロ/Mind Sludge(ZEN)》が非常に強く使えていた事を考えると有りな組み方でした。
前回ボコボコにされた黒単も黒が3つ続いた一番下でしたもんね。

どの段階まで単色を考慮するのかと言うのは難しい問題ですね。
今回の様に1pack目中盤から黒が枯渇していたとしても結果としては単色が組めている訳で・・・。うーん。
ピック中はとにかく自分のデッキがこのままでは勝てないと考えていましたから、根本的な認識が間違っているかも知れません。

具体的には、デッキの軽い部分が足りなさ過ぎて《ハグラのクロコダイル/Hagra Crocodile(ZEN)》が有効に使えないだろうと考えて《グール・ドラズの死霊/Guul Draz Specter(ZEN)》を優先したりしました。

この点は実際に経験したり、意見を頂いたりして補正していけたらと思います。

3戦目の相手にやすやすと《審判の日/Day of Judgment(ZEN)》を喰らったり(初見ではありましたが)プレイングもまだまだです・・・。
諸々がんばりますね^^

>ろせさん
リンクありがとうございます。
以前よりブログを拝見させて頂いておりました。お気軽にご意見など頂けたらと思います。
こちらこそお手柔らかに。
こちらからもリンクさせて頂きました。よろしくお願いします。



bun

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