MOにはPauperと言うフォーマットがある。
PauperとはMO内で発売された全てのコモンのみが使用可能なフォーマットである。
使用可能なカードがコモンに限定されるが故に独自のメタゲームが存在し、奥が深い。

今日は、そのPauperのスタンダード版のお話。

こちらのリンクはMO内で行われているコモンスタンダードの告知ページ。
興味を持たれた方がいたら、ぜひ参加して頂きたい。

http://73420.diarynote.jp/200911142205548293/

caution!

以下の内容は完全脳内妄想です。
本当ならコモンスタンダードを1回でも体験して、考察すれば良いのですが、コモンスタンダードが面白そうなので、記事を書きたいと言う欲求を優先しました。
事実誤認や過大評価等があるかも知れません。
その場合は、無知ゆえの錯誤と御一笑下さい。


MTGには独自のフォーマットが数多ある。
それぞれに規定があり、独自のメタゲームがある。
僕が思うに、人間と言うのは「問題を解決する」事が好きだ。
規定が問題を生み、解決策がまた新たな問題を作る。
だから、それぞれのフォーマットは独特で、かつ魅力的だ。

コモンスタンダードはPauperと比較しても参入障壁が低い。
僕のようなドラフト専門で、ピックしたレアはすぐさまtixへ姿を変えてしまうようなプレイスタイルでも、コモンは手元に残り、デッキ構築を楽しむ事が出来る。

コモンスタンダードを象徴するのは、とにかく生物だ。

コモンには、リミテッドへの影響を考慮して、全体除去は限定的なものしか存在しない。
もちろん全く存在しない訳ではないけれど、スタンダードに

《審判の日/Day of Judgment(ZEN)》
《軍部政変/Martial Coup(CON)》
《次元の浄化/Planar Cleansing(M10)》
《溶岩崩れ/Lavalanche(ARB)》
《溶岩の玉の罠/Lavaball Trap(ZEN)》
《ジャンドの魔除け/Jund Charm(ALA)》
《紅蓮地獄/Pyroclasm(M10)》
《蔓延/Infest(ALA)》

とぱっとあげただけでも数多く出てくるが、これらは全てアンコモンかレアだ。
だから必然的にコモンスタンダードの主役は生物になり、それらをサポートする単体強化や単体除去が主役になる。
もちろん全体除去が全く存在しない訳ではなく、これらをどう生かすかが課題になる。

とは言え前提としては、コモンスタンダードは生物が闊歩する世界だ。
特に最近の生物のパワーインフレはそれに拍車をかける。
それに伴って生物除去も力を増し、昔はExtended、最近ではLegacyを代表する火力《稲妻/Lightning Bolt(M10)》だって、今はstandardのものだ。

まずは環境を代表する彼らを紹介しよう。

《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》

言わずと知れた2マナ4/4。
かつての《肉裂き怪物/Flesh Reaver(USG)》は一体何だったのかと思うスペックだ。
後述するが、この環境を規定する火力は《稲妻/Lightning Bolt(M10)》で、加えて黒除去にも耐性を持つ彼は存在感十分である。
黒緑と言う色を選択する理由の1つになるだろう。

《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》

1マナ3/3と今やExtendedやLegacyの常連となっている。
もちろん環境にそれを生かすマナ基盤が存在する事が重要だが、コモンスタンダードでも《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse(M10)》や《ナヤの全景/Naya Panorama(ALA)》ゼンディカーでは《砕土/Harrow(ZEN)》が追加され、注目に値する。

《ナヤの静刃/Naya Hushblade(ARB)》
《グリクシスの邪刃/Grixis Grimblade(ARB)》
《バントの信刃/Bant Sureblade(ARB)》
《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade(ARB)》
《エスパーの嵐刃/Esper Stormblade(ARB)》

これらハイブリッドの2マナ帯は高スペックで非常に重要だ。
これらを生かし、同時にマナ基盤を整備するために、コモンスタンダードでは境界石が良く用いられる。

《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》

2マナ2/2のボディに賛美を備え、《解呪/Disenchant(TSB)》までその身に宿す超生物である。
前述の境界石もあり、対象には事欠かない。

《国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger(M10)》

3マナ2/2と凡庸だが、環境を代表するアドバンテージクリーチャー。
環境にタフネス2が多い事も採用を後押しする。

《器用な決闘者/Deft Duelist(ALA)》

2マナ2/1先制攻撃、被膜と言う能力が環境に非常にマッチしている。
最近ではstandardにおいてもその特性から赤単対策として注目された。

《ゾンビの異国者/Zombie Outlander(CON)》
《ヴィダルケンの異国者/Vedalken Outlander(CON)》
《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander(CON)》
《ナカティルの異国者/Nacatl Outlander(CON)》
《ゴブリンの異国者/Goblin Outlander(CON)》

各種プロテクションシリーズ。
相手の色にもよるが、生物が主体の環境ゆえ活躍の機会も多い。

・・・とこのまま紹介を続けたら切がないので残念ではあるが割愛。

最近のトレンドを継承して、低コスト高スペック化が顕著であるが、その分高コスト、高スペック化が進行しているかと言うと、さにあらず。
そう言った分野は、アンコモン、レアが主戦場であり、多色化したといえどもプレイする価値のある高コストの生物は稀である。

次は環境を代表する火力や除去を

《稲妻/Lightning Bolt(M10)》

前述した環境を規定する火力。
ほとんどの生物は《稲妻/Lightning Bolt(M10)》から逃れる事は出来ない。
言い換えれば、《稲妻/Lightning Bolt(M10)》を受けてなおテンポロスしない《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》や
アドバンテージロスしない《国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger(M10)》

《稲妻/Lightning Bolt(M10)》の直撃に耐える
《ロウクスの粗暴者/Rhox Brute(ARB)》
《ロウクスの瞑黙者/Rhox Meditant(CON)》
《野生のレオトー/Wild Leotau(CON)》

そもそも対象にならない《器用な決闘者/Deft Duelist(ALA)》
《ヴィダルケンの異端者/Vedalken Heretic(ARB)》
は評価に値する。


《苦悶のねじれ/Agony Warp(ALA)》

こちらもタフネス3までの生物を破滅させる。

《終止/Terminate(ARB)》

これに耐えられる生物はほとんどいない。

《破滅の刃/Doom Blade(M10)》

相手が黒くなければ。
通常はサイドボードだろうか。

全体除去があまりなく、生物も低コストに偏っているのであれば、環境の高速化は必然だ。

次は以上の前提を踏まえて、ゼンディカーの参入が環境にどのような影響を与えるかを見ていきたい。



《コーの空漁師/Kor Skyfisher(ZEN)》
《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》
《コーの奉納者/Kor Sanctifiers(ZEN)》
《コーの鉤の達人/Kor Hookmaster(ZEN)》
《未達への旅/Journey to Nowhere(ZEN)》
《カビーラの交差路/Kabira Crossroads(ZEN)》

これらは最近のトレンドを継承して、低コスト、高スペックな者達だ。
特に《コーの空漁師/Kor Skyfisher(ZEN)》《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》は環境の「鉄壁」の概念を変え得る。

《コーの奉納者/Kor Sanctifiers(ZEN)》は前述の《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》に近い存在で、対象には事かかないし、白緑と言う色に縛られる事もない。

《未達への旅/Journey to Nowhere(ZEN)》は環境にエンチャント破壊が蔓延しているのが向かい風だが、待望の白除去だろう。

《コーの鉤の達人/Kor Hookmaster(ZEN)》はテンポゲーを制する可能性を持っている。



《板金鎧の土百足/Plated Geopede(ZEN)》
《噴出の稲妻/Burst Lightning(ZEN)》
《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker(ZEN)》
《ゼクター祭殿の探検/Zektar Shrine Expedition(ZEN)》
《ぐらつく峰/Teetering Peaks(ZEN)》
《地鳴りの揺るぎ/Seismic Shudder(ZEN)》
《松明投げ/Torch Slinger(ZEN)》

高スペックな火力を持つ赤はコモンスタンダードの王者である。

今回は環境の安全圏の規定を変え得る《噴出の稲妻/Burst Lightning(ZEN)》を得た。
以前はタフネス3を越えれば《稲妻/Lightning Bolt(M10)》に耐える事が出来た。

しかし、それは過去の物となる。

《終止/Terminate(ARB)》に加えて《噴出の稲妻/Burst Lightning(ZEN)》とあればタフネス4でも安心できない。
通常プレイでも2点と、環境的に意味は大きい。

《板金鎧の土百足/Plated Geopede(ZEN)》
これも前述の《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx(ZEN)》とあわせて《器用な決闘者/Deft Duelist(ALA)》を超える事が出来る。

全環境においては余剰の土地は回顧に当てる事が出来た。
今はそのポジションが空白だが、上陸がその空白を埋めるかも知れない。

《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker(ZEN)》
《ゼクター祭殿の探検/Zektar Shrine Expedition(ZEN)》

先制攻撃の前には無力だが、ビートを加速させる。
特に《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker(ZEN)》は奇襲隊の名に相応しい。

《ぐらつく峰/Teetering Peaks(ZEN)》

タップインながら、スペルのような土地。
マナを伸ばす意味の希薄なコモンスタンダードにおいては副次効果の有無は大きい。
前述の《コーの空漁師/Kor Skyfisher(ZEN)》とは《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker(ZEN)》も含めて赤白で運用されるだろう。

《地鳴りの揺るぎ/Seismic Shudder(ZEN)》

このスペックは、コモンスタンダードにおいては事件だと思う。
赤白が隆盛の気配を見せるなら特に良いサイドボードになる。


《松明投げ/Torch Slinger(ZEN)》

《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu(PLS)》!!!
こいつドラフトで大好き。愛ゆえの注目。
一応環境にタフネス2があふれている事もあり、採用される可能性は十分ある。



《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator(ZEN)》
《グール・ドラズの吸血鬼/Guul Draz Vampire(ZEN)》
《魂の階段の探検/Soul Stair Expedition(ZEN)》
《不気味な発見/Grim Discovery(ZEN)》

《吸血鬼の裂断者/Vampire Lacerator(ZEN)》
《グール・ドラズの吸血鬼/Guul Draz Vampire(ZEN)》

黒待望の低マナ域。
だが《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》の前にアタックチャンスはあるのか・・・。

《魂の階段の探検/Soul Stair Expedition(ZEN)》
《不気味な発見/Grim Discovery(ZEN)》

貴重なアドバンテージカードである。
デッキ次第では十分に運用可能だろう。



《アイオーの廃墟の探検/Ior Ruin Expedition(ZEN)》
《乱動への突入/Into the Roil(ZEN)》
《鞭打ちの罠/Whiplash Trap(ZEN)》

《アイオーの廃墟の探検/Ior Ruin Expedition(ZEN)》は昨今弱体化の一途を辿るドローソースの継承者。
マナを使わずに起動条件を満たせると同時に、後半引いた時のニートっぷりが半端ない。

《乱動への突入/Into the Roil(ZEN)》
《鞭打ちの罠/Whiplash Trap(ZEN)》

前者は文句なく実用可能なバウンス。
後者は特殊なデッキで出番ありか。



《砕土/Harrow(ZEN)》
《カルニの心臓の探検/Khalni Heart Expedition(ZEN)》
《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》
《巨森の蔦/Vines of Vastwood(ZEN)》
《カビのシャンブラー/Mold Shambler(ZEN)》

《砕土/Harrow(ZEN)》
《カルニの心臓の探検/Khalni Heart Expedition(ZEN)》
《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》

スペックの高いマナ加速だが、コモンスタンダードにおいては伸ばしたマナの使い道がどうしても限定されてしまう。
青緑+αでマナを伸ばしつつ、ドローして、ファッティに繋げるデッキが出てくるだろうか。
その際は《放牧の林鹿/Grazing Gladehart(ZEN)》も有用だろう。

《巨森の蔦/Vines of Vastwood(ZEN)》

新しいコンバットトリック。
軽い上に相手の《終止/Terminate(ARB)》にまで対応可能。

《カビのシャンブラー/Mold Shambler(ZEN)》

《枝細工下げの古老/Wickerbough Elder(EVE)》の後継者。
キッカーは重いが、対象には困らないはず。

アーティファクト

《冒険者の装具/Adventuring Gear(ZEN)》

《冒険者の装具/Adventuring Gear(ZEN)》は間違いなく、今までの「鉄壁」の概念を崩す。

ゼンディカー環境では、若干ドローソースなどが追加されたが、それ以上にアグロデッキが得たものが大きい。

加速する環境にどのように対応するかが鍵であると思う。

・・・とどうにもまとまりきらないが、コモンスタンダードは面白いと思う。
興味を持った方はぜひ構築して、大会に参加してみて欲しい。

コメント

maa
maa
2009年11月17日22:53

今回のコモンSTDは面白そうやね。
個人的に優勝するであろうデッキは、赤白上陸かジャンドだと思う。
メインだと、多分赤白上陸が最強かな。けど、サイド後弱いんで、ジャンドがいいのかな〜って感じ。

とりあえず、環境のSolutionである、1マナ火力8枚を擁する赤は入れざるをえないと思います(笑)

くろわし
2009年11月17日23:12

こんばんは。
先日はドラフトピックのビジュアル化について情報ありがとうございました。
リンクさせていただきました。よろしくお願いします。


なるほど、コモンスタンですか。
除去でないマルチカラーのスペルについては触れられていませんが、続唱スペルや《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》はこの環境でも強そうですね。

ペンティーノ
2009年11月17日23:23

おおお、参考になります。MOはマイナーなフォーマット気軽に遊べるのがいいですよね。コモンスタンも面白そうです。時間の都合がつけばひとつデッキ作って参戦してみようと思います。

bun
2009年11月18日9:58

>maaさん
はい。面白そうです^^
使えるプールを見て、手探りでデッキを構築していくドキドキ感があります。
MOだとプールもボタン一つで抽出/ソートしてくれるのが楽ですね。

僕も本命は赤白かジャンドかなと思います。
マナベースが許せば、ナヤカラーの上陸デッキも形にしてみたいです。

>くろわしさん
お役に立てたなら幸いです。

《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》は強いですね。
環境的に《巨大化/Giant Growth(4ED)》VS《ショック/Shock(10E)》の構図が多そうな事を考えると、相手の行動を制限する事ができ、さらに魅力的に見えます。
今までの環境はビート全盛で、余剰な土地は手札にとっておくしかなかった為《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》の威力が削がれる事もあったでしょうが、これからは土地も有用なリソースになると思われるため《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》も相対的に強化されそうです。

それにしても《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》強いですね。青白で逆バージョンを作って欲しいです。
あ。いや。《アミーシャの口づけ/Kiss of the Amesha(ALA)》ではなくて。

続唱もそれぞれやり手ですね。

こちらからもリンクさせて頂きました。
よろしくお願いします。

>ペンティーノさん
そう言ってもらえると報われます^^
MOには独自なフォーマットが多くそれぞれ魅力がありますね。
Momir BASIC は特にMOならではですね。すごく無理すればリアルでも出来ますが。
実績あるデッキに手を加えるのも楽しいですが、ほとんど情報の無い状態からデッキを組むのも楽しいです。
ぜひデッキを作ってみて下さい。

PONだし
2009年11月19日11:06

見事な考察に感動してリンクさせていただきました。
大会にも是非参加してくださいね!
bun

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